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飛んで。流れて。考えた。

ずっとずっと我慢して、外出しないようにしていて。それでも特に我慢が苦じゃなかったと思っていたのにな。
飛行機がゴゴゴゴゴといういつもの音がして、やっと機内誌から、目を窓に移動させた。そして、窓の奥に。 

ふぁ。

 浮いた。
そして、徐々に離れていく地上。 曇っていたはずなのに、まぶたのあたりから感じる光。 飛行機に乗っている。飛んでいる。それを実感した途端。
自分の中なのに、どこからくるかわからない気持ちがグッとやってきて、気がついたら、左目尻から、涙が出ていた。
窓にへばりついて。外をずっと見ていたら、「飛行機に乗れるという生活が戻ってきたのだ」という気がしてきた。嬉しかった。そして、実は我慢していたのだと知った。知るより先に、涙が出ていたのだった。
普段、ものごとはココロを通して考えていたつもりだったけど、今回は間違いなく脳だった。

 飛行機は、涙とは逆に、どんどん太陽に向かっていた。


ところで、「涙が出た」なんて、嘘っぽいような大袈裟なような気がするから、「涙ぐんだ」と表現した方がいいのではないかと、誰に対してなのかわからないが、そんなことを脳裏で考えていた。

 wacana*


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こんにち東京都は感染者の数が増えてきており、
気軽に旅行できる状況ではない、のも理解しております。
2020.7.9

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