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ウズベキスタンへの片道切符 III Samarkand【完結】
Rahmat (ラフマット)!
ウズベキスタンで過ごした8日間、この言葉をたくさん使った。ウズベク語の「ありがとう」
ひょんなことからウズベキスタンに行ってきた写真家が綴る「ウズベキスタンへの片道切符」
今回はウズベキスタンの第二の都市サマルカンドへ行ってきたお話。これにて完結。
前回のブハラ編はこちら
サマルカンドの名が持つ響き
サマルカンド、その名の持つ響きと言ったら何にも言い難い魅惑を感じる。私はRPGゲームはしないので、他の人と違った意味でこの名前に魅力を感じていた。
日本とはかけ離れた文化を持ち、異国情緒あふれる街並みをたくさんの荷物を持った人たちが家路へ急ぐ。私が持つイメージの中のサマルカンドはアラブの国のような都市だった。
実際、サマルカンドは中央アジア最古の都市の一つ。ウズベキスタンの他の都市と同様にむかしむかし、13世紀にモンゴル帝国に街を破壊しつくされてしまった。こんなに美しい街を破壊するなんて私の感覚では理解不能だが、800年も前は世界中が略奪と支配に溢れていたのだ。
その後の14世紀、ウズベキスタンを訪れると何度もその名前を聞くことになる、ティムール氏があちこちの職人を連れてサマルカンドの街を再建させた。ティムールはウズベキスタンの英雄であり神のような存在である。
シャーヒズィンダ廟群
廟という、日本人には聞き馴染みのない言葉。
「びょう」と読み、先祖の霊を祀る建物のことを指す。その名の通りシャーヒズィンダ廟群は、たくさんの霊が祀られている場所になる。
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シャーヒズィンダ廟の青
その青の美しさはサマルカンドのアイコニックな場所ともなっており、後述するレギスタン広場と共にサマルカンドの代表的な観光地である。
シャーヒズィンダ廟群入場料は
40000スム(2024年1月時点で約420円)
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青のサマルカンドの名の通り、緻密な作業を想像させる青いタイルで敷き詰められた圧倒される廟の入り口。その濃淡のある何色もの青で装飾された建築物が異国に来たことを教えてくれた。
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サマルカンドには実質4日間滞在したが、2度も訪れたほど魅力的な場所であり、撮影が楽しい場所でもあった。
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この場所でもウズベキスタンの女性に声をかけられた。「一緒に写真撮って」と自撮りを頼まれ、快く引き受ける。そのあとで「私もあなたたちを撮りたい」と頼むと、英語が伝わらなくても笑顔で撮らせてくれた。
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旅の間に気がついたことは、ウズベキスタンの女性の多くが前歯を金歯にしている。ナウいおしゃれなんだろう。出会う人出会う人ほとんどがキラキラ光らせていた。その歯を見せてほしくて、ジェスチャーで伝えた。
あなたの
【女性に向けて手のひらを上に向ける】
前歯
【私の歯を指さして再び女性に手のひらを向ける】
素敵だから
【胸に手を当てbeautifulと言う】
撮らせてほしい
【カメラを持ってシャッターを切る真似をする】
伝わったか伝わってないかはわからない。でも彼女らは笑顔を見せてくれた。たまに口を閉じて笑う女性もいたのでその時は、私が口をイーにすると歯を出してくれた。
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なんと愛おしい瞬間なのだろう。
遠く離れた国で言葉が通じない人たちとコミュニケーションをとりながら撮影させてもらうことの体験はかけがえのないものだ。
これだから、旅はやめられない。
シヨブバザール Siyob Bozor
サマルカンドにおいて最大のバザール。市場である。前述したシャーシズィンダ廟群の西側にあり歩いていける距離にある。
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日本から到着した都市、タシケントにあるチョルスーバザールと比べるといくらか観光客向けになっている。お土産の陶器やお菓子も売っていたりして見ているだけで楽しめる場所だ。
それだけではない。奥に行けばローカルたちのための日々の食材も売っていて、市場の屋根のない路上にも縦横無尽に店を広げている。
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ウズベキスタンに渡り、1週間近く過ごしているとなんとなくわかってくる特徴的な文化。
例えば女性と男性が入り混じったグループ行動はしない(夫婦2人はある)とか、野菜が豊富にあるが基本的に生野菜を食べないとか、素の状態ではみんな笑顔を見せず無愛想な表情をしているが不機嫌な訳ではないとか。
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写真を撮る人たちにとって旅先での撮影は何よりも重要だと思う。寝ずにスナップや景色を撮っていたいという人も多いのではないだろうか。
しかし撮影することだけに必死になりすぎて、自分の中に何も情報を残さないとそれは「ただの記録写真」になる。
なぜそこに映る景色や人々を残そうと思ったのか、そこに映る"被写体"の裏にはどのような背景があるのか、その国の特徴や歴史とともに写真を自分の中に残せたらより一層深くその国や写真に情がわく。ともすれば、その情が見る人に何かを伝える必要なものだと思うのだ。
レギスタン広場
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またの名をレギスタンスクエアと言う、この場所はサマルカンドを代表する建築物である。
3つのメドレセ(大きな板状の門のようなもの)が向き合っているのはウズベキスタンでもここしかない。
上の写真は入場料を払わずに撮れるが、中に入るにはチケットが必要。今回は2度ここに訪れたが昼間に1度、夜に1度中へと入った。ライトアップされた広場はまた違う美しさがあるが、この日たまたま雪が降り始めた。
2024年は日本のみならず世界的に暖冬であったためウズベキスタンでも、ほとんど雪に出会うことはなかったし気温も10〜14度ほどあった。
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深い幻想を抱かせる雪のレギスタン広場は時間を忘れさせた。動画にも収めたので気になる方はぜひこちらも見てほしい。
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何度足を運んでも、その美しさに圧倒される。
中央アジア、シルクロードのオアシスとして栄え、破壊王チンギスハーンによって壊滅させられても、ティムールによって再建され約700年の間その美しさを保っている。
それはサマルカンドの住民たちやウズベキスタンの人たちが、「文明の十字路」といわれた歴史あるサマルカンドを残したいという強い思いもあるからだろうが、何より彼らがウズベキスタン人であることに誇りを持っているからに他ならない。
レギスタン広場はサマルカンドの中心地であり、砂の地という意味を持つ。破壊された後、砂地から再建した多才で誇り高きティムールの強い希望を表しているように思う。
やや大袈裟な物言いになるかもしれないが、雪降るレギスタン広場で無心で撮影しながら、ふと「生きてこの景色を見れてよかったな」と思った。"次"があるかはわからない、"いつか"も来るかわからない。今この世界を見ることができてよかったと素直に思ったのだ。
旅の終わりに
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旅は裏切らない。
それはパックツアーではなく航空券から何から何まで自分で作り上げた旅だからということもある。
可能な限りの事前リサーチとリスクヘッジ。ルートやスケジュールの管理をすることを自分がこんなにも得意だと思っていなかった。学生時代は苦手分野だったからだ。
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旅はいつだって裏切らない。
それは目を瞑っていても動ける自宅を飛び出て、言葉の壁を乗り越えた自分に小さくても確実な達成感を与えてくれる。
旅はいつも私も支えてくれる。
ひとつひとつ旅が終わるごとに、自分の中での挑戦が湧き上がってくるのを感じる。旅が私を支えているのではなく、自分自身の足が強くなっているのかもしれない。
2024年のはじまりにウズベキスタンへ行った。
それは私の長い人生においてほんの一瞬のことだったかもしれない。おそらくそうなのだろう。
しかしウズベキスタンが持つ懐の広さと愛深き人たちの思い出は、これから旅を続ける上で大きな指標となるだろう。
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さぁ、次はどこへ行こうか。
まだ見ぬ世界へ
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