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そもそも、「戦略」って何?
今回もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
今回は、「戦略」について考えてみたいと思います。
「戦略」って至る所で耳にしますよね。経営”戦略”、事業”戦略”、マーケティング”戦略”など、ビジネス上で散見される言葉の一つです。
ウェブ解析士の公式テキストにも度々登場します。
しかし、よくよく考えてみると「戦略」という言葉がすごく抽象的で、その実態がいまいちよくわからない。ってことありませんか?
そこで、この記事を通して「戦略」という言葉について理解を深めていただけたらと思います。
「戦略」って何?
「戦略」の定義も様々ありますが、ここでは有名マーケターの森岡毅氏の定義を拝借しましょう。
戦略とは、目的を達成するために資源(リソース)を配分する「選択」のこと。
太字は「中の人」による
ここで、「戦略」を設定する際の前提が提示されています。それは「目的」がないと「戦略」は立てられない。ということです。
目的を達成するために立てるのが戦略ですから、まずは目的を正確に理解することが戦略立案の第一歩なのですね。
そして、もう一つ大事なワードが出ています。「選択」です。
目的にたどり着くために、「これをやろう」というものを決めるのが「戦略」です。裏を返すと、「これはやらない」と明確に線引きをする行為です。
まとめると、「目的に到達するための方向づけ」が戦略になります。
行き先が決まったら、地図を広げてどのような道筋が考えられるか検討しますよね。ビジネスには地図はありませんから、行き先と現在地を確認して、どちらに進めばいいのかを方向づける必要があります。
進む方向を決めるということは、進まない方向が出てきます。
この時、全方向に進もうとすると、その場から動けなくなります。なので「選択」が大事なんですね。
「戦略」と「戦術」
「戦略」と似たような言葉に「戦術」という言葉があります。
実務では、時に混同して使われますが、レイヤーレベルの違いを理解しておきたいところです。
上述しているように、「目的」があってそれに達するための方向性を「戦略」と位置付けると、「戦術」は目的に近づくための具体的な手段を指します。
例えば、皆さんが東京にいるとして、目的地を京都に設定します。
この時「西に進もう」とするのが戦略です。
では、戦術はどうでしょうか?
この場合、「東名高速道等を利用して車で西に進む」や「東海道新幹線を利用して鉄道で西に進む」といったアクションプランが戦術に該当します。
戦術の選び方はリソースや置かれている環境に影響されます。
例えば、「京都へ向かうのが予算潤沢な一人旅」なら車より新幹線を選ぶでしょうし、「お金はないけど時間はある、学生4人の旅行」なら高速代を割り勘したほうが安く上がるので車という選択をするかもしれません。
ここまでで、「戦略」と「戦術」どちらが上位にあるかお分かりでしょう。
そう、「戦略」です。
下の図を見てください。
![](https://assets.st-note.com/img/1656292755605-SdZgmfzFZN.png?width=800)
どんなに戦術が良くても、進むべき方向性=戦略が悪いと、目的地が遠ざかってしまい、目的達成は叶いません。
まだ戦略・戦術共に悪い方が「目的地からの距離」という面では修正が効きます。
「戦術」を有効に活用するためには、正しい「戦略」が必要になります。「戦略」の前提には「目的」があります。
すなわち、「目的」→「戦略」→「戦術」というレイヤー構成になります。
「悪い戦略」とは?
正しい戦略設計が必要だということは分かりました。でも、どんな戦略が良くて、どんな戦略が悪いと判断するのでしょう?
それがわからなければ、戦略を実行するのに躊躇しますよね。
リチャード・P・ルメルトによると、悪い戦略は以下の4つの特徴を持ちます。
・空疎である
戦略構想を語っているように見えるが内容がない。
・重大な問題に取り組まない
問題そのものの認識が誤っていたら、当然ながら適切な戦略を立てることはできない。
・目標を戦略と取り違えている
単に願望や希望的観測を語っている
・間違った戦略目標を掲げている
重大な問題とは無関係だったり、単純に実行不能だったりすれば、間違った目標と言わざるを得ない。
詳しい内容は、引用文献を参照いただくとして、ここでは”悪い”とされる条件を認識してください。引用文献では豊富な具体例が紹介されているので、非常に参考になりますよ。
戦略を思いついた際は、「綺麗事でまとめていないか?」「取り組むべき問題が見えているか?」「目標と戦略は区別できているか?」などを自問してみると良いかもしれませんね。
引用文献↓
「良い戦略」とは?
「悪い戦略の見分け方はわかったから、良い戦略の見分け方も教えてよ」とお思いですか?
安心してください。これについては森岡毅氏が紹介してくれいています。
森岡氏曰く、4つのSというものさしで評価できるそうです。
Selective(選択的かどうか)
やること・やらないことを明確に区別できているか
Sufficient(十分かどうか)
投入する経営資源がその戦局での勝利に十分であるか
Sustainable(継続可能かどうか)
短期ではなく中長期で維持継続できるか
Synchronized(自社の特徴との整合性はあるか)
自社の特徴(強み・弱み、経営資源の特徴)を有利に活用できているか
太字は「中の人」による
実際には4つ全てをクリアしなくても、いくつかをクリアすれば有効性があるそうです。
逆に、これら4つのSを一つもクリアしていないのであれば「悪い戦略」ということになります。
「良い戦略」を作るには?
ここまでくると、「良い戦略」と「悪い戦略」の見分け方はわかったけど、「良い戦略」を作るにはどうしたらいいの?って疑問湧きますよね。
良い戦略の基本構造は以下の3Stepです。
1)診断
状況を診断し、取り組むべき課題をみきわめる
2)基本方針
診断で見つかった課題にどう取り組むか、大きな方向性と総合的な方針を示す
3)行動
戦略と一貫して行動に起こすために、戦術レベルまで分解し、実際に行動する
まずは、ウェブ解析士認定試験公式テキストの第2章や、当noteの以前の記事で紹介したようなフレームワークを活用しながら状況を分析して「診断」を行います。
次に、診断で導き出されたデータをもとに自分なりの解釈を加えて、「基本方針」を定めます。
最後に、戦術レベルまで具体性を持たせ、実行します。
お医者さんに例えると、
1)問診や検査によって診断して、病名を推定します
例えば、「風邪」だとしましょう。
2)病名が分かれば、治療方針を選定します
「風邪」の場合、ほとんどは投薬治療でしょう
3)投薬治療ということで、処方箋を出します
「葛根湯」など処方された薬を飲むことで、患者は快方に向かいます
というようなステップで行います。
戦略策定者は、ドクターなんですね。
ウェブ解析士的には、デジタル戦略においての下図のような感じが馴染みやすいかもしれませんね。
![](https://assets.st-note.com/img/1656296811351-ZzRrLr9oSw.png?width=800)
「環境分析と展開」ではフレームワークを活用して「診断」を行います。
「デジタル化戦略の決定〜KGI・KSF」までが「基本方針」の設定です。
「KPI」で実際の行動管理を行います。
図に落とし込むとこんな感じです。
![](https://assets.st-note.com/img/1656298826807-wJ81c5C286.png?width=800)
まとめ
途中、小難しい話になってしまいましたが、この記事の概略は以下の通りです。
戦略とは「目的に到達するための方向づけ」です。それに対して、戦術は「目的に到達するための手段」です。
良い戦略=正しい方向性を決めることで、戦術が生きてきます。
また、良い戦略かどうかを判断するためには「4つのS」というものさしが有効で、「診断・基本方針・行動」という基本構造が良い戦略を生み出します。
![](https://assets.st-note.com/img/1656298315813-Yb9MXNJC6c.png?width=800)
以前の記事でご紹介した、森岡氏が手がけたUSJの例で説明すると、
【「映画のテーマパーク」から「エンターテイメントのセレクトショップ」へ転身する】という方向性が戦略になります。
一方で【ハリーポッターのアトラクション】や【エヴァンゲリオンのアトラクション】など集客するために取り組んだ具体策が戦術になります。
USJのSTP分析について↓
あとがき
あの、まず言わせてください。
先週から今週にかけてフォロワーさんが増えました!
ありがとうございます!!
毎週、「頑張って記事書こう!」って思ってますので、引き続きお付き合いいただけると幸甚です。
さてさて、今回の記事に関して。
何気なく使っている言葉でも、よくよく理解していないものってありますよね。そういう言葉って往々にして抽象的なので、わかったような、わからないような感覚になります。
中の人にとって「戦略」もそのうちの一つでした。
一般的に、どういった使われ方をしているのかを理解した上で、自分なりの定義を持てると良いなと思います。
(本当はカスケード・ダウンまで触れたかったけど、文量多くなりすぎるのでこれはまた別の機会に。)
また、フレームワークはいつ・何のために使うのかというと、戦略を正しく設計するための「診断」に使う。という、以前書いた下記の記事とのつながりも理解していただけると良いなぁと思ってます。
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