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Raspberry Pi Pico(GP2040)でアケコンを作る(3) アケコンの中身をGP2040に交換する

ここまでアーケードレバーとボタンを木工の天板に取り付けて、GP2040を書き込んだRaspberry Pi Picoを介してパソコンで動作することを確認しました。今回は実際のアケコンで手ごろなものを購入し、清掃ついでに分解してRaspberry Pi Picoに交換します。

◇ アケコン選び

今回アケコンを選ぶにあたり条件としたのは以下の4点です。

  • 天板を開けて配線を容易に変更できる

  • 5000円以下

  • 三和製のアーケードレバー、ボタンを使用している

  • ボタンは山型配置

  • 8ボタン(Select、Startボタンを合わせて10ボタン)

右が山型配置

天板を容易に開けることができる設計になっているということは、ボタン交換を前提としているということです。配線の交換を想定しているということは、交換部分がはんだ付けではなくコネクターを使っている可能性が高いため交換作業が楽になります。また今回はアケコンのケースさえ問題なければ残りの部品はこれまでの検証で用意しているので、5000円以下で収まる中古品を探しました。三和製のアーケードレバー、ボタンと山型配置のボタン、8ボタン構成は前回までの構成と近いものにしたかったので条件に入れました。

これらの条件で検索すると選択肢は2つに絞り込まれました。いずれも10年落ちのPS3時代に発売したものです。今回は中古の数が多いこと、本体サイズが小さいことからMad Catzのファイトスティックを選択しました。

MadCatZは2017年に破産(2018年にMad Catz Global Limitedが香港で設立され商標取得)しているのですが、中古は圧倒的に多いというのは相当なしくじりをして倒産したことが想像できます。

Mad Catz ソウルキャリバーV アーケード ファイトスティック ソウルエディション(ARCADE FIGHTSTICK TE S)
HORI ソウルキャリバーV 対応スティック

◇ 掃除と中身の確認

購入してきたものをセスキ炭酸ソーダ配合のウェットクリーナーで汚れを拭き取った結果、大変きれいになりました。セスキ炭酸ソーダに関してはこちらも見ていただけると幸いです。

中古で購入したアケコンを拭き掃除後

一番汚れていたのは天板と本体の間に入っている下のフレームでした。ここには天板との擦れによる樹脂の粉末や前のユーザーさんの皮脂がたまっていました。なお天板表面は拭いていただいていたようで、最初からきれいでした。

天板と本体の間に挟まっているフレーム

早速天板を外します。天板に六角ねじが6個ありますので、これを3mmの六角レンチで取り外します。数カ所ねじが緩いところがありましたので、前のユーザーさんは天板は開けたのかもしれません。

天板を開けたところ

中身のジョイステックレバーとボタンはすべてコネクターで接続されていました。これを抜いてしまえばジョイステックレバーとボタンはそのまま使えます。左上の基盤がアーケードレバーやボタンの入力をUSBでPS3に情報を送るもので、右下の端子台はボタン操作を左上の基盤に送る前に情報をいったん集めるものです。いずれもGP2040に置き換えますので外します。

ボタンのファストン端子を抜いているときに気が付いたのですが、本体内部から出ているUSBケーブルはケーブル1本分の太さの穴からケース外に出ていることが分かりました。

USBケーブル1本分の穴からケース外部に出ています(赤丸部分)

このままでは不要となる基盤を取り外せないため2案を考えました。

  1. USBケーブルを基盤から外す(切る)

  2. USBケーブルが通っている穴を広げる

今回は「USBケーブルが通っている穴を広げる」を採用しました。なぜならばRaspberry Pi Picoをアケコン内部に入れるときにRaspberry Pi PicoのMicro-USB B端子を本体内部に通したいからです。そこで四角の穴で拡張することにしました。形にこだわりがなければドリルで穴を複数開けて、ニッパーで穴をつないで広げた穴をやすりで仕上げます。きれいな四角穴を開けるのであれば、このあたりを参考にしてください。

分解した本体は以下のように構成されていました。本体底面の封印シール内にネジが一本入っています。また本体底面カバーに白くなっている樹脂パーツがありました。はじめからなのか、ここの強度が弱いのか分かりませんが、Raspberry Pi Picoを固定するときにこのあたりには穴を開けない方が良さそうです。

天板(三和製JLF-TP-8YT-SK、OBSF)
天板を乗せる樹脂パーツ
本体上面、側面カバー
本体底面カバー(画面中央の白いところは初めからこのようになっていました)
本体底板(封印シールは中央下)

前回作成したRaspberry Pi Pico、ブレッドボード、配線を文字通り放り込みました。中身のレイアウトは見直し必須ですが、今回はこのまま突き進みます。

アケコンに放り込まれたRaspberry Pi Pico

ジョイステック・レバーの配線が前回はコネクタを右だししているのに対してMad Catzのファイトスティックは左だしのため配線が以下のように変わります。内蔵基盤の左下に記述があります。(GND,R,L,U,D)

1:Common(GND)
2:右(GP4)
3:左(GP5)
4:上(GP2)
5:下(GP3)

Mad Catzのファイトスティックの基盤

Raspberry Pi Picoを放り込んだMad Catzのファイトスティックを組み立てなおしました。左上の各種ボタン類を取り除いたので空いてしまいました。ここは目張りではなく、何かを入れたいと思います。

GP2040に交換したMad Catzのファイトスティック

アケコン内部は酷い状態ですが、前回と同様にパソコンで問題なくジョイステック・レバーとボタンが動作することが確認できました。

次回は積み残した課題を対処していきます。

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