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ビートルズとクリームティー|ティーハウス巡礼/ロンドン・ナショナルポートレートギャラリーにて


今回、3つの目的でイギリスへ来た私。

滞在期間は2週間。

3つの目的を達成するには、わりと短い。

時間に余裕があれば「ロンドンのギャラリー巡り」を決めこみたいところだが、そういうわけにもいかず。

事前に Time Out Londonで催しをチェックした結果、
今回はナショナル・ポートレイト・ギャラリーで開催中のポール・マッカートニー写真展へ行くことにした。

実はこの写真展、来年は日本へ巡回するらしい。

それなら、ロンドンでしか見られない展示を観ておくべきでは、、、

でも、ビートルズのことだから日本でものすごく混雑しそうだし、自分がその頃どうなっているかも分からないので、やっぱり現地で行っておこうと思った。

渡英のたびに訪れる
National Portrait Gallery。
すなわち4年ぶり。

いざチケットカウンターの前に立ち、入場料£22(4,000円以上!)と聞いて思わず腰が引けてしまった…が、
決めたからには、初志貫徹。

(日本展では一体いくらになるんだろう?)

展示室へ足を踏み入れると、天井の高い、重厚な石造りのギャラリーの雰囲気と相まって「そこにビートルズがいる」魅惑の異空間に、一気に惹きこまれた。

ロンドン展は撮影自由でした
(フラッシュは禁止)。

1963~64年、まさに猛烈なStome=ビートルズ旋風の真っ只中にいたポール・マッカートニーが、当時の趣味だったカメラで、テレビ番組の収録現場や海外ツアー中の舞台裏でのメンバーの素顔、行く先々での狂乱ぶりなどを「ポールのまなざし」で捉えた写真の数々。

面白くないはずがない。

ポールのカメラの腕がどうのこうのと言うより、ポールがいかに感受性豊かで人情味あふれる(そして可愛い女の子に目がない)人かということが、彼が撮影した写真を通じてダイレクトに伝わってくる、
そんな写真展だった。

例えば、ビートルズを執拗にカメラで追いかける今でいうパパラッチ達を、逆にポールの側から撮影している写真が何枚も登場するのだが、あの狂乱ぶりを逆に楽しむ柔軟な発想の転換力、自分を取り囲む「異様な状況」に対する深い洞察力、そして、撮られたカメラマン達の「1本取られた!」と言わんばかりの笑顔に、ポールの「人間力の高さ」をみた。

そして、私が特に印象に残ったのは、ジョンの「才気と憂い」に満ちた横顔を最短距離でとらえた1枚。

ジョンに対するポールの親愛と尊敬の気持ちが滲みでていて、
胸が熱くなった。

これまで沢山観てきたジョン・レノンのポートレイトの中で
最も美しい1枚だと思う。
(ぜひ間近で観てほしい)

たっぷり時間をかけて観終わった後は、カフェで一服。

ナショナル・ポートレート・ギャラリーのカフェは、昔から私のお気に入りだった。

ところが、そのカフェがガラリとリニューアルされて
「オードリーグリーン」という全然違うカフェになっていた。

以前のギャラリーカフェ
(2008年、モノクロフィルムで撮影)
現在の
Cafe Audrey Green

ここで今回の旅の目的③(改めて)本場のティータイムを考察すること。
を実践する最初のチャンスがおとずれた。

色とりどりの菓子に目移りするも…

今回の旅では「考察」のため、オーダーするのはクリームティーまたはアフタヌーンティーと決めている。

それに、かつてのナショナル・ポーレート・ギャラリーカフェのスコーンは、ロンドンのカフェの中でも特に美味しいと思っていた。

メニューに「クリームティー」と書いてあるのに紅茶がセットになっていないのには、ちょっとガッカリ(スコーンと紅茶がセットになってはじめてクリームティーといえるので、別料金ならメニューにはただスコーンと書くべき!)

けれど、

味は、とても良かった。

たぶん、私が好きだった昔のカフェとレシピは同じだと思う。

なにしろ、フレッシュなクロテッドクリームが惜しげもなく付いてきて、
たっぷり塗っていただく現地のスコーンは、やっぱり格別!

写真展で展示中のポールが写したジョージ・ハリソンのスナップショットを愛でながら
なんとも贅沢なティータイム。


お茶を済ませて、常設展へ。

入場無料だが
こちらも凄い作品ぞろい。
ジョージ6世一家のティータイム。
右から2人目が即位前のエリザベス妃。
ティータイムは美味しいだけでなく
「幸せ」の象徴。


私にとって、ヴィクトリア朝時代のウェディングフォトや、その時代に既に「ティータイムポートレイト」まで撮影されていたのを観られたのが大きな収穫だった。

時が過ぎても後々まで残る
写真-とりわけプリントされた形あるモノとしての「写真」の素晴らしさ・尊さを、再認識。

今度は私たちが次の世代へ
「写真」を残していかなくては。

そんな思いを胸に、ギャラリーを後にした。

ギャラリーから
Leicester Squareへと続く道。



【おまけ】

ナショナル・ポートレート・ギャラリー前の土産物店で 、2019年に渡英した時にポートベロー・マーケットで出会ったものの買いそびれた「エリザベス・ボウイ(アラジン・セイン)」Tシャツと再会。
今回は迷わず購入。

デビッド・ボウイも女王も、もう本当のスターダストになってしまったけれど。


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