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ヴィクトリアンケーキはイギリスの母の味(レシピ付き)



そんなわけで、イギリスへ来た私。


今回の旅の目的は3つ。

①イギリスの「家族」に会うこと。

②スコットランドでウェディングフォトを撮影すること。

③(改めて)本場のティータイムを考察すること。


①の目的のためイギリスに到着した翌日、さっそく電車に乗って、ロンドン郊外、ケント州のベクスリーという町に住む私のイギリスの「家族」、リチャードソン夫妻に会いに行くことにした。

彼らとは、私のロンドン留学時代(2002年)、たまたま知り合った。

イギリスでは、花の美しい一般家庭の庭を、入場料1ポンドほど払って見学させてもらう「Open Garden Day」というイベントが、あちらこちらで催されている。
その入場料は、病院など地域の福祉施設に寄付される仕組みになっている。

ガーデニングと寄付が盛んな、実にイギリスらしい催しだ。

その「Open Garden Day」で出会ったのが、リチャードソン夫妻。

「失礼ですが、あなたは日本人ですか?」
と突然声をかけられ、話を聞くと、彼らの娘さんが今、英語教師(JET Program)として日本へ赴任中だという。
しかも、赴任先が、私の生まれ故郷の熊本なのだと!
小さな町での奇跡のような縁に当然、話が弾み、
日を改めて彼らの自宅へお茶へ招かれ、
20年以上たった今なお、お付き合いが続いている。

私の印象では、イギリスの人たちは、いわゆる「お愛想」や社交辞令をあまり言わない。

それが冷淡に思えて、傷ついたり、寂しくなったりすることも、正直ある(これについては日本人だけでなく他の外国人留学生からも同じようなことを聞いた)。

でも、その代わり、彼らの「愛想」には嘘がない。

「また会いましょう」と言う時は心からまた会いたいと思っている時だし、「いつでも相談に乗る」と言ってくれたらものすごく親身に相談に乗ってくれる。

基本的に相手の言うことは何でも言葉どおりに受け止める私としては、そんな彼らの気質は、付き合っていて心地が良い。

実は前回(2019年)の渡英で、お恥ずかしい話だが私はクレジットカードを忘れてくるという前代未聞の大失態をやらかし、リチャードソン夫妻に泣きついてしまった。
その時、お父さんのロイが最初に一言だけ「なんてこった!」と呆れてみせ(それがまた私をホッとさせた)、その後は全く平然と、でも、自分の娘にするように金銭的にも精神的にもサポートしてくれたのには涙が出た。

もちろんリチャードソン・ファミリー(夫妻の娘さん達を含め)は、私が出会ったイギリスの人々の中でもとりわけ心が温かく素晴らしい人たちなのだが、個人差があるとはいえ根本的に、これが「イギリス人気質」だと私は思っている。

縁のない人とは、それまで。
縁のある人とは、とことん。

とてもシンプル。

これって、「アンティーク好き」にも通じる気質ではないだろうか。

Bexleyという、ロンドンのベッドタウン的
小さな町にあるRichardson夫妻の家。
彼ら自身もまたガーデニング好き。


さて
時間を見計らって行ったわけではないが(笑)
ちょうどお茶の時間にリチャードソン家に到着。

すると、お母さんのジュディが、手づくりのヴィクトリアンケーキを焼いて待っていてくれた。

いつもはトッピング無しだが
今回は4年ぶりの再会を祝して
ダブルクリームとチェリーの飾り付き♪


「ヴィクトリアンケーキは(パウンドケーキと違って)、トップは膨らませず平らに、生地もふわふわでなく、びっちり詰まった感じに焼き上げるのが大事。」

「ケーキの間にジャムとクリームをサンドするタイプもあるけれど、ジャムだけをサンドするほうがオーソドックスだし、クリームは味の劣化が早いので無い方が美味しさが長持ちする。」

などなどー

ヴィクトリアンケーキの極意を、私は彼女から教わった。

この、素朴な見た目。

そして、口に入れたとたん、作った人の心の温もりが伝わってくる優しい風味。

どんな豪華なケーキより
イギリスの「母」が作るビクトリアンケーキが私にとっては1番!

この人々
この味が忘れられなくて
また戻って来たくなってしまう。

Richardson家でいつも泊めてもらう部屋の窓から見た、朝1番の眺め。
あゝまごうことなき此処はイギリスpart2。



【レシピ】イギリスの母のヴィクトリアンケーキ


本当は教えたくないくらい(笑)作り方は簡単。
コツは生地の「まぜ加減」くらい。
だから気負わず簡単に作れ、
「まぜ加減」によって作り手の個性がでる_
まさにスコーンと一緒。
これぞイギリス菓子!



①卵、中3個の重さを図る

②同量の小麦粉、砂糖、バターまたはマーガリン

③バニラエッセンス…Tea Spoon(=小さじ)×1

④ベーキングパウダー…Tea Spoon×3

⑤上記①~④を泡だて器で空気を入れるように(強度を切り替えながら)、約2分間、攪拌。

⑥直径18~20cmの丸い焼型に生地を流し入れ、中火(ガスオーブンで180℃)で25分間焼く。

⑦焼きあがったら、型から外して網の上に乗せ、冷めたら生地を半分に切って、間にジャムをサンドする。
どんなジャムを挟んでも良いが、定番はイチゴジャム(やっぱりベリー系のジャムが1番合う)。

⑧最後に粉砂糖(お好みでクリームやフルーツ等)で表面をお化粧して、
できあがり♡

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ジュディの言葉や「まぜ加減」を思い出しながら、私も京都で焼いてます。








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