死んでしまった母が措置入院で隔離病棟に入れられた話
こんにちは! 猿田信司です。
いろいろありましたが、両親が同じ施設、
特別養護老人ホーム(特養)に
入ることができました。
それも、施設の方の好意で、
両親を2人一部屋の
同じ部屋にしてくれました。
これで一安心、と思っていましたが、
そうではありませんでした。
施設からの連絡
特養に入って一か月ほどした時です。
特養の方から、電話がありました。
母が入院した、という連絡でした。
「え? 何か病気?」
電話では、詳しく話してくれなくて、
「急いで来てください」と言われました。
わけがわからないまま、会社を午後から休み、
両親が入っている特養に向かいました。
特養で話を聞いてみると
特養に着き、話を聞いてみると、
「母が父に暴力をふるっていた」、
ということでした。
同じ部屋のせいか、母が父に
パイプ椅子を投げつけたり
していたそうです。
急に環境が変わって、
ストレスがあったのかもしれません。
そのため、緊急で、特養近くの病院に
母を入院させたそうです。
「措置入院」というやつです。
本人の意思とは関係なく、暴力をふるったりする
危険な患者を、無理やり入院させる制度です。
見た感じでは、父がケガをしていたり、
ということもなかったので、直接暴力を
ふるっていたわけではなさそうで、安心しました。
しかし、病院で入院の手続きが必要で、
親族しかできないということで、
次は母が入院している病院へ向かいました。
措置入院の手続き
特養から、車で30分ほどの、
母が入院しているという病院にやってきました。
病院の受付で聞いてみると、別室に通されました。
「ええぇぇぇぇ、何事?」
別室では、相談員の方から、入院の手続きや、
措置入院についての話がありました。
措置入院させるには、私が母の保護者になる必要があって、
それには裁判所での決裁が必要なんだそうです。
その手続きも、病院でやってくれるそうなので、
私はわけもわからないまま、
大量の書類にサインし、ハンコを押しました。
小一時間ほど、書類と格闘し、
やっと母に会えるようになりました。
隔離病棟
案内されたところに行ってみると、
インターフォンがありましたが、
入口が見当たりません。
インターフォンで聞いてみると、
「名簿があるので、名前を書いてください」
と言われました。
言われたとおりにすると、
ガチャっという音がしました。
インターフォンのすぐ横が、
出入り口になっていて、
鍵がかかっていたようです。
私は、ここが隔離病棟であること
に気付きました。
このドア以外には、出入りができず、
常に鍵がかかっていて、
中から出られないようになっていました。
正直、母が隔離病棟に入れられていたのは
ショックでした。
しかし、暴力をふるっていたそうなので、
やむを得ないのかな、とも思いました。
隔離病棟の中
中に入ってみると、ごく普通の病棟でした。
むしろ、ちょっとキレイだなと思いました。
しかし、なんとも言えない、変な臭いがしていました。
どうも入っているのは、母と同じような
お年寄りばかりでしたから、
そのせいだったのかもしれません。
母がいたのは、6人部屋でした。
とても、暴力をふるっていた
とは思えないくらい穏やかな感じでした。
私を忘れた母
話をしてみましたが、どうも私を、
理解していないようでした。
なぜ、そう思ったのかというと、
私のことを、母の弟、私から見ると、
おじさんの名前で呼ぶからです。
ついに、母の認知症は、息子の私すら
わからなくなってしまいました。
その日は、母としばらく話をして、
帰りました。
必死でこらえていましたが、
隔離病棟を出てすぐ、
私は号泣してしまいました。
隔離病棟に入れられた母。
私のこともわからなくなった母。
隔離病棟に入れられた母がかわいそうなのか、
私のことをわからなくなったことなのか、
自分でもよくわからない涙でした。
ただただ、ショックでした。
暴力をふるわなくなった母
母は一か月ほど、隔離病棟に入院していましたが、
退院してからは、特養で父と別の部屋にした
ことも良かったのか、暴力をふるうことは
全く無くなりました。
投薬治療と聞いていましたが、何をどうしたら、
暴力をふるわないようになるんでしょう?
薬で、脳を変化させた?
ちょっと恐ろしくなりました。
その後も、特養には私もちょくちょく行っていましたが、
母は、私がわかる時と、わからない時がありました。
常に忘れているわけではなく、
思い出したり、忘れたりするようです。
それでも、自分の息子すらわからなくなる、
認知症の恐ろしさを感じました。
認知症は、死への恐怖を和らげるためになる
とも言われています。
母が、少しづつ死に近づいていることを、
私は実感していました。
最後までお読みくださり、
ありがとうございました。
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