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「アオアシ」に学ぶキャリア教育6(最後にやさしいにほんご つき)


アオアシ 第2巻 小学館

さて、第2巻に入っていくのですが、よく考えからかなりネタバレ前提で話を展開していたので、軸足をキャリア教育にスライドして、話をしてこうと思います。

第8話 挑戦

ここでは、最終試験がユース生との試合であることが明らかになります。動揺するセレクション生。相手は、高校生でしかもプロの卵たち…自分とは違い過ぎる相手に、セレクション生は怖気づきます。

そんなセレクション生に向けて、福田監督は「格上とやるのがサッカーのだいご味ではないか」と語ります。

ここで大事なのは、「現場主義」です。現場主義とは、その実際の仕事で起こる場所を大切にする考え方で、「まずはやってみる。」という姿勢です。

村松尚登の「スペイン人はなぜ小さいのにサッカーが強いのか (SB新書)」では、「戦術的ピリオダイゼーション理論」というものが紹介され、簡単な言葉で表現すると「サッカーはサッカーをすることでうまくなる」といっています。

一瞬、耳を疑うようなシンプルな言葉ですが、もう少しイメージしやすくすると、そもそも一つのボールをめぐって2つのチームが争うので、サッカーというのは基本的に「予測不可能」です。ここでいう「予測不可能」というのは、無秩序や混沌を意味するカオスではなく、複雑系を意味するカオスであると言えます。(「複雑系」とは何か (講談社現代新書) 新書 – 1996/11/20
吉永 良正)

サッカーでは、日本人選手はテクニックがあるのに、サッカーが下手だと言われることがあります。それは、「その状況に合った判断、プレーの選択」の質が低いからです。それは、能力ではなく「練習の質」といってよいでしょう。村松さんは、動かないコーンをすり抜けるドリブルの技術は、ディフェンスが動く試合において役に立たないだろう、という当然のことを言っています。

なので、試合をするのが一番上達する。それは、キャリア教育における「現場主義」の考え方と非常に似てます。「サッカーはサッカーをすることでうまくなる」ように「仕事は仕事をすることでうまくなる」のです。

実は、この流れは学校教育でも取り入れられていて、義務教育段階の「職業体験」や高等学校や大学等での「インターン」や「バイターン」(アルバイトの時間を授業の単位として認める)の背景には、仕事そのものに触れる機会を増やし、学習者本人が「学ぶ」ことが仕事や社会につながることを意識する仕掛けができています。

「仕事は仕事をすることで上達する」

いろいろなことを細分化して、技術の習得を促すことが多い日本でのキャリア教育において、大事にしてほしい考え方だと思います。


【やさしい にほんご ばん】

はたらく ことを べんきょう するときに たいせつな ことは、「しごとは、しごとを することで じょうずに なる」という ことです。

パソコンが できるように なってから、とか えいごを はなせるように なってから、という かんがえかた では ありません。

なぜなら、しごとに よって ひつような ちからが ちがうから です。

まず、あなたが したい しごとが どのような ことを するのか。 そのために、 どんな ちからが ひつようなのか を しること を まず さいしょに やりましょう。

いきなり やとってもらう ことが むずかしい かも しれません。なので、じぶんが やりたい しごとの アルバイト や ボランティア、おてつだい でも いいので、まず その しごとを やって みましょう。

まず、その しごとを して、 そのしごとを とおして べんきょう することを 「現場主義(げんばしゅぎ)」と いいます。

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