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会社を派手に休んだ時の話

10年前の話。
社会人になり2年目に入った頃に、
精神的に参って1週間ほど会社を休んでしまったことがある。

当時、電子機器のメーカーでエンジニアとして働き、
仕事で活躍できる人になろうと意気込んでいたが、
実際は自分が思っているように仕事が進められず、焦る日々が続いていた。能力が足りていないと考え、
休みの日も技術書やビジネス本を読み、仕事のことを考える日々。
それでも上手くいかないと思うことが続き、理想とのギャップに苦しんでいた。
精神的にストレスが溜まりに溜まった結果、
ある時から朝になるとベッドから起き上がれなくなり、
会社に行けなくなってしまった。
電話もできなくて無断欠勤してしまった日もあった。

私は高校3年間、無遅刻無欠席。
大学の講義も休んだことがないといった感じで、自他共に認める真面目人間だった。
その時の絶望感は半端ではなかった。

休み続けて1週間ほど経った時、
「これだけ休んで、これから会社で期待されることはあるのか?… いや、もうないか…」
とふと思った。
その瞬間、色々やらかしたことや職場の人の目なんてどうでもよく思えた。私は幼少期から人の目を気にする性格で、
他人と比較し劣等感を抱えてモヤモヤすることが多かったが、
そういう過去からの蓄積みたいなものも含めてどうでもよく思えるようになった。
すると心がとても軽くなる実感が得られて、自然と会社に行こうと思えるようになった。
今振り返ると、
自分のレベルを悟り、(それまで自分の中で許せなかった)
人より劣る部分を認めることができた瞬間だった
のだと思う。

そんなこんなで会社に復帰できるようになった。
流石に無断欠勤のことはお叱りを受けたが、
職場の方々は普段通りに接してくれた(が、おそらく気を遣わせてしまっていたと思う…)。感謝しかなかった。
それからは、少しずつ自分軸で物事を考えたり、
行動ができるようになった。
仕事が上手くいっていない時でも、
休日は別のことをして休めるようにもなった。
不思議なことに、意気込んでいた時よりも仕事で多少成果も出るようになった。

そもそも昔から、マルチタスクが苦手でテキパキ何かできるタイプでもないし、劣等感をプラスの原動力にできるようなタイプでもなかった。
それを社会人になってから努力して変えようと考えたのが間違いだった。

何かを変えようとする意識自体は悪くないことだと思っている。

ただ、変えたいと思う動機が、
「自分軸 (自分が成長したいから変えたい、とか)」であるのか 、
「他人軸(あの人ができるから自分も変わらないといけない、とか)」
であるのか。
そして、変えようとしている対象がそもそも、
「変えられるもの/こと」 であるのか、
「変えるのは難しいもの/こと」であるのか
を認識して、考えた方がよかった
というのが今になって思うことだ。
私の場合、いずれも後者の動機で(又は、対象を)変えようとしていることで、苦しんでいたのだと感じる。

例えば、”変えるのが難しい対象”というものの1つは「気質」のようなもの。
いわゆる ”生まれ持って備わっている”と、ある程度根拠があって言われるようなものが苦しみの要因となっている場合、気質自体を変えるのは難しいので苦しんでしまう。だから、そういったものは潔く諦めた方がいい。(私の場合は)そのように考えるようにすると、一旦気を楽にできる。
しかし、だから仕方がないと言うのではなく、その対象のことを理解することで変えていける(対処できる)ことがあるので、そちらを変えていく方に頭を持っていくように意識している。
「気質から生まれてしまう感情」はどうしようもなけど、
その「感情に対しての向き合い方」は変えていける
部分 なので、
そちらを変える方法を考える。というような意識だ。
そんな感じで、(気質に限らず)変えようとしても仕方が無いものを自分の中で判断して、そこは諦めるというのを自分の基本ルールにするようになってから、苦しむことも減ってきている。

とはいっても、劣等感や憧れみたいなものを感じて焦り、
他人軸で動こうとしてしまう瞬間が定期的にきてしまう。
そんな時私は、
この"派手に休んだ"時のことを思い出すようにしている。
ちなみに、タイトルにも付けたこの "派手に休んだ” というのは、
当時 休み明けに上司から「派手に休んだね」と言われたのを思い出したので。
上司なりに気を遣い、冗談っぽく言ってくれたのだと思う。

休んだ後も変わらぬ対応をしてくれた当時の職場の方々に
今でも感謝している。


【自分を追い込んでしまわない為に、私が思うこと】
・他人軸ではなく、自分軸で成長を望んでいるかを考える。
・そもそも変えるのが難しいことがある。それを変えようと考えるのは諦める。

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