人物のディテールを突き詰めること 〜デヴィッド・フィンチャー監督『ザ・キラー』感想
まず導入からしてとんでもない。任務を遂行中の殺し屋の生活ルーティンを、彼の心の声をバックに見せていく。たったそれだけなのに、こちらの興味を飽きさせないし、映画を観ている内に我々は、この殺し屋の人となりを自然と理解することになる。
その後の展開として、殺し屋は任務に失敗し報復を受ける。その後殺し屋の復讐劇が始まっていくわけだが、そんな展開でもこの映画は感傷的にならず、殺し屋の行動を淡々と見せていく。その淡白さがより作中で起こるイレギュラーを際立たせ、作品をドラマチックにして