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「SBINFT Mits」開発に寄せた想い - マーケティングも含めた総合NFT運営支援を(コラム)

マーケットプレイス運営からコンサルティングまで、NFTに関する様々なサービスを展開するSBINFT株式会社は2023年9月、総合NFT運営支援サービス「SBINFT Mits(ミッツ)」オープンベータ版の提供を開始しました。「NFTを通じてWeb3のインフラを整えたい」と話す事業戦略室長の中村恭一郎さんと営業推進部長の葛西駿さんに、SBINFT Mitsの狙いとNFTに寄せる思いをうかがいました。


NFTプロジェクトは「社会にどう浸透させるか」が大事

――SBINFTはこれまで、パートナーとどのようなNFTプロジェクトを立ち上げてきたのでしょうか。

葛西:例を挙げると、株式会社ローソンエンタテインメントは2022年12月にローソンチケットのサービス「LAWSON TICKET NFT」をリリースしています。コンサートやスポーツ、演劇などのイベントチケットをNFTにして販売するサービスで、SBINFTが技術協力をしています。このサービスは、「イベントチケットを記念として手元に残しておきたい」というユーザーからの声を受けて開発され、ユーザーは希少性の高い画像や実際の会場の座席情報などが記された“自分だけの記念チケットNFT”を保管できます。

「竹原アートプロジェクト2022」(2022年10月~2023年1月開催)の企画協力社だった寺田倉庫株式会社には、SBINFTからNFTアートに関する技術支援をしています。広島県竹原市内のたけはら町並み保存地区を訪れると、竹原にちなんだ8種類のNFTアートがもらえ、NFTアートを提示することで竹原市内の一部飲食店や施設で特典が受けられるようになっていました。

他にも様々な業界の企業や自治体と取り組みが広がっています。

――NFTそのものの話をすると、2021年3月にBeepleのNFT作品が約6,930万ドル(当時約75億3,000万円)で落札されたことが報道され、NFTアートのブームが起きました。パートナー(顧客企業)から「NFTで何かをしたい」など、漠然とした相談を受けることもあるかと思われます。NFTプロジェクトをパートナーに提案するに当たり、まずはどんなことを伝えていますか。

葛西:一番は「社会にどう浸透させるかが大事」だと伝えています。NFTを売って終わりではなく、その先にどういう目的があるのかをパートナーとよくすり合わせ、具体的な提案をしています。例えば、NFTを売った先で人を集めてコミュニティ作りをしたいのか、そのコミュニティを使ってさらに自社のサービスをより広く展開したいのか、などです。その流れでNFTをどう活用するのかしっかりパートナーと一緒に考え、提案につなげています。そうしたパートナーとのやり取りの中で、SBINFT Mitsの構想ができ上がっていったという経緯があります。

パートナーからの悩みに応えるプラットフォームを

――具体的にSBINFT Mitsはいつ頃、どのようにして事業化したのでしょうか。

葛西:最初のきっかけで言うと、2022年10月に新しく事業戦略室ができたのが大きかったと思います。Web3業界でSBINFTはどうポジションをとっていくのか、今後の事業をどう展開していくのかなど、合宿なども経て深く話し合う中で、私自身がパートナーからいつも質問されることをチームに共有しました。「これからNFTを発行したいけど、NFTを活用していけばいいのか分からない」「すでにNFTは発行しているけど、NFT所有者に対して何をすればいいか分からない」「どうNFTを管理したらいいのか分からない」など、パートナーは様々な悩みを抱えていました。これらの悩みを解決できるプラットフォームの構築について議論が深まり、一つの企画書にしてチームに共有し、そこをたたき台としてSBINFT Mitsの構想が広がったというものです。

中村:プラットフォームの構築に当たってイメージしたのが、各々のNFTプロジェクトを横軸にして、各プロジェクトを「どう楽しむか」「どう活用するか」「どうマーケティングするか」といった観点から縦軸で結ぶということです。そうした縦軸のユーティリティを具現化できれば、色々な企業やプロジェクト、人にブロックチェーンの世界に入ってもらいやすくなるのではと考え、分かりやすいプラットフォームを作ろうというのが最初の議論でした。

――パートナーからどんなニーズがあり、それをSBINFT Mits でどう実現したのか気になるところですが、先にSBINFT Mitsそのものについてうかがいます。SBINFT Mitsというネーミングにはどんな思いが詰まっているのでしょうか。

葛西:実は最初の企画書では、NFTを保有するファンのためのサービスという観点から「SBINFT Fans(ファンズ)」と名付けていました。ファンのために様々なリアルな体験を提供することをコンセプトにして構想を膨らませたからです。しかし実際はファンだけではなく、NFTプロジェクト側にも様々なリアルな体験を生み出すことができます。ファンとNFTプロジェクト、そしてSBINFTも加わり、各ステークホルダーが「Meets(出会う)」するというところからインスピレーションを得て「Mits」に改め、SBINFT Mitsとなりました。

9つの機能と16企業・サービスのローンチパートナー

――SBINFT Mitsは「NFTプロジェクトの総合支援サービス」とのことですが、具体的にはどんなことが可能なのでしょうか。

葛西:2023年9月現在、SBINFT Mitsオープンベータ版で想定しているのは、「NFT所有認証機能」「投票機能」「抽選機能」「Discord(コミュニケーションツール)連携機能」「ミッション(イベント)機能」「スタンプラリー機能」「分析機能」「アンケート機能」「物品配送機能」という機能です。我々としても発見だったのは、分析機能を用いることでNFTをマーケティングに活用できるということです。今はまだチーム内で検討中ではありますが、NFTプロジェクト側にとって有益な分析ができるような設定を検討しています。具体的にどんなサービスを提供できるかを検証するという意味でも、全ユーザーを対象としたオープンベータ版の提供開始に先駆けて、同年8月から16企業・サービスのローンチパートナーと一緒にサービスの開発に着手しています。

SBINFT Mitsの主なサービスとステークホルダーの関係

――ローンチパートナーは具体的にSBINFT Mitsをどう活用しているのでしょうか。

葛西:最初の取り組みとして、「投票機能」や「ミッション機能」から検討しているパートナーが多い傾向があります。例えば、株式会社HealthCareGateでは薬服用記録アプリ「DrugN」を展開しており、アプリユーザーにNFTを配布することを構想しています。そのNFTを用いてユーザーにアプリの使い心地に関する投票を行い、アプリを使いたくなるようなミッションを設定することからSBINFT Mitsを活用しようとしています。

アプリやウェブサイトの制作を担う株式会社I.C.Eもミッション機能を活用し、特定のYouTubeやウェブサイトを見ると特典がもらえるという仕組みを考えています。また、I.C.EはDiscordに力を入れていることもあり、NFT保有者にDiscordへ参加してもらうための一つの導線として、ミッション機能を使うことも想定しています。

NFTプロジェクトの「BONSAI NFT PROJECT」では実施するリアルイベントにどれだけNFT保有者が参加しているのかを知りたいというニーズがあり、投票機能を用いてデータをとるとともに、NFT保有者にイベント参加をアピールする取り組みをイメージしています。同じくNFTプロジェクトの「KawaiiGirlNFT」では、X(旧Twitter)をフォロー&リポスト(リツイート)すると特典がもらえるようなミッション機能からSBINFT Mitsの活用を考えています。

――個々の機能としてはこれまでにもあったものもあると思いますが、SBINFT Mitsだからこその魅力や特長はどんなところだと考えていますか。

中村:各々のサービスに関しては、確かにすでに事業として展開している企業はありますが、一つのサービスでトータルサポートを受けられ、かつ、複数のローンチパートナーとともにスピード感を持って事業化しているという点では他にはないと我々も自信を持っています。先の話の中でSBINFT Mitsの構想前に社内で合宿をしたと言いましたが、その時にSBINFTの経営陣や主要メンバーの中で共通していたのは、単にNFTを買ったり売ったりする場を提供するビジネスからどう脱却し、どう幅を広げられるかということでした。その結果としてSBINFT Mitsがあります。だからと言って、NFTマーケットプレイスに取って代わるというわけではありません。NFTプロジェクトやNFT保有者の目的に合わせて、NFTマーケットプレイスとSBINFT Mitsが併走するイメージで考えています。

葛西:NFTプロジェクトやNFT保有者の目的が何かによって事情は変わってきますが、例えばSBINFTが従来から展開しているNFT事業コンサルティングだと開発工数によって個別に費用が発生していたものが、SBINFT Mitsオープンベータ版であれば月額のランニングコスト(2023年9月現在、ローンチバートナーは無償)のみで費用を抑えられるというケースもあると思います。SBINFT Mitsはパートナーを増やしていきながらアップデートをしていき、2024年には正式版をリリースして有償化したいと考えています。

――SBINFTでは社名に「NFT」とあるように、SBINFT Mitsなど今後もNFTに関連した事業展開を拡大していくかと思われますが、NFTはどんな未来を切り開くと感じていますか。

中村:SBINFTとしては、NFTを活用した様々なアクティビティを色々な企業やプロジェクトを通じて楽しめるようにインフラを整えたいと考えています。これまでNFTは投機売買の対象であったり、「NFT=アート」と捉えられたりと、人によって印象に偏りがあるものだったと思います。そうではなく、究極的にはNFTが主体ではなく、NFTを用いて様々な活動をしたいと考える企業やプロジェクト、ユーザーが主体となっていくように、我々はブロックチェーン技術を用いてインフラを支えていきたいと考えています。日本はアニメやゲームなど優れたIP(知的財産)を持っており、NFTなどのWeb3の世界と相性が良いとしばしば言われます。ただ、優れたIPゆえに海賊版も出回り、日本の大手企業がWeb3参入に二の足を踏むということも起きていました。海賊版の排除など安心して取り組める環境が整備されれば、優れたIPという日本のアドバンテージが結実する未来がくるだろうと思っています。


取材協力:SBINFT株式会社

2015年5月に株式会社スマートアプリとして設立し、2021年9月にSBIホールディングス株式会社の連結子会社となり、社名をSBINFT株式会社に変更。「ブロックチェーンサービスで革新的な体験を世の中に」を掲げ、NFTコンサルティング事業やNFTマーケットプレイス「SBINFT Market」の運営、NFTマーケットプレイス機能をWebAPIで提供する「TOKEN CONNECT」の開発などを通じ、NFTを活かすビジネスの研究・開発を進めている。2023年9月にはNFTプロジェクトの総合支援サービス「SBINFT Mits」オープンベータ版の提供を開始した。

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