見出し画像

DAOのメンバーから資金を集め、収益を分配する場合、注意すべき法的問題はありますか?

Web3やブロックチェーン技術に関して、よくある法規制の疑問に「法律事務所ZeLo・外国法共同事業」の弁護士がワンポイントで糸口となる考え方を紹介します。Web3事業開発のヒントにぜひご活用ください。

Q:DAOのメンバーから資金を集めてDAOの活動を通じて得た収益を分配する場合、注意すべき法的問題はありますか?

A:いわゆる集団投資スキームに該当しないかが問題となります。

集団投資スキームに該当する場合、原則として、DAOメンバーから資金を募集するために第二種金融商品取引業の登録が必要になります。また、資金の出資に応じてトークンを付与し、当該トークンをもって収益の配当を受ける権利を表章する場合には、「Q:DAOを立ち上げるにあたり、注意すべき主な法的論点は何ですか?」で解説した有価証券届出書の提出義務を負う可能性があります。

集団投資スキームは、(1)金銭等(暗号資産を含みます。以下同様です。)を出資又は拠出をし、(2)金銭等を充てて行う事業を行い、(3)当該事業から生じる収益の配当又は当該事業に係る財産の分配をするスキームをいいます(金商法2条2項5号)。DAOメンバーから資金を集めると(1)に該当し、その金銭を充てて行う事業はどのような事業でもよいため、集めた資金で事業を行えば(2)にも該当し、収益の配当(分配)があれば(3)にも該当するため、集団投資スキームに該当します。

集団投資スキームに該当しないようにするためには、DAOメンバーから固定された利息による貸し付けで資金を集める方法が考えられます。貸付は金銭等の出資又は拠出ではないと考えられているためです。ただし、形式上貸付であっても、利息が事業の成果に連動するなど、実質上は金銭等の出資又は拠出とみられる場合には、集団投資スキームに該当することになります。

また、金銭等の拠出を行ったDAOメンバーに無条件で収益を配当するのではなく、一定の業務を行うことを条件として、それに応じた金銭等を与えることも考えられます。業務の対価として金銭等を与えるのであれば、収益の分配には該当しないためです。

このように、集団投資スキームに該当しない方法はいくつかありますが、出資や収益分配を制限するなど「投資ファンド」的性格からは離れることになります。DAOのメンバーから資金を集めてDAOの活動を通じて得た収益を分配するような「投資ファンド」的活動を行う場合には、通常、集団投資スキームに該当することになりますので、そのようなスキームの実行には十分な注意が必要です。


監修者:法律事務所ZeLo・外国法共同事業
法律事務所ZeLoは、2017年3月に設立された企業法務専門の法律事務所です。「リーガルサービスを変革し、法の創造に寄与し、あらゆる経済活動の法務基盤となる」を組織ビジョンに掲げ、スタートアップから中小・上場企業まで、企業法務の幅広い領域でリーガルサービスを提供しています。Web3分野においては、黎明期から築き上げた豊富な知見・実績を活かして所内に専門チームを組成し、関連する広範な法規制動向やリスクを把握し、最新の実務に精通した法的アドバイスを提供しています。このほか、グループファームであるZeLo FAS株式会社と税理士法人ZeLoと連携し、M&Aやファイナンスなどにも強みを有しています。


「DAO」の概要や技術、法整備など、基礎となる知識を盛り込んだ動画のWeb3教育コンテンツは、AI・デジタル人材育成プラットフォームを展開する株式会社zero to oneのプラットフォーム上で展開する予定です。提供を開始する際には、noteなどを通じてご案内いたします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?