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ものづくりには失敗がつきもの。それを超えてモチベーションにしていくものづくり。EMARF学生アンバサダー紹介vol.2

VUILDがローンチした日本初のクラウドプレカットサービス「EMARF」を使い、「ものづくりの文化を広げる」とともに、「学生ひとりを独立した企業家に育てる」ことを狙いに3ヶ月に渡り活動するEMARF学生アンバサダー。7月頭にスタートをきってから、約2ヶ月が経過しました。

7月末には月次報告会を終え、残り2ヶ月の活動予定をメンバー同士で共有。活動期間残り1ヶ月を残した今、このnoteでは、多くの応募のなかから選出された10組のアンバサダーの方々にインタビューを実施し、応募当時の思いと、これまでの活動、そして今後の活動予定について伺いました。

第二弾は、より良いものづくりへの審美眼を磨きながらトライアンドエラーを繰り返しものづくりの可能性を模索する隆範さんと、家具量販店で買えるものを代替するDIYへの葛藤を経て、既存部材を拡張するものづくりを楽しめるようになった日野裕輝さんのインタビューをお届けします。

ギリギリを攻めることでトライアンドエラーを繰り返し、ものづくりの可能性を模索する 隆範

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ー 大学で学んでいることを教えてください。

名古屋の名城大学で建築を学んでる隆範です。建築や設計、ものづくりが好きなのですが、そのうち大学のなかだけだと実際にものをつくる機会があまりないことに気がつきました。ならば、自分でその機会を作ればいいと思い立ち、大学から予算をもらってプロジェクトを立ち上げたり企画をしたりしています。

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茶室を作るワークショップ「アーキテク茶会」

将来的には建築家になろうと思っているのですが、より良いものをつくるためにはより質の良い建築や空間を見る必要があると考え、一年間大学を休学して世界一周することにしました。世界一周と言っても、良い建築を沢山見たい一心でどんどん進んでいくうちに、気がついたら地球を一周していたというのが正しいです(笑)。

世界一周

世界一周の最初にシベリア鉄道走破(左)世界一周の最終地点のソーク研究所(右)

帰国後、世界一周を経て自分がどこにいるべきかということを考えた時、より人間味を感じることができて、次の時代を考えられるような場所がないかと探した結果、三重県の伊勢に行き着きました。

僕は生まれも育ちも名古屋なのですが、大学の授業がオンラインになり場所が問われなくなったので、そこに借りた何もない部屋に、学生アンバサダーとして家具をつくって行きたいと思っています。

そんな感じで、自分が良いものをつくるために何をすべきかというのは常に考えていて、大学の枠を飛び出して自主的に動いてます。

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ー アンバサダーに応募したきっかけを教えてください。

募集を見て、僕がやるしかないだろうと思いました。というのも、デジタルファブリケーションに関しては周囲に比べてわりと先行してやってきたという自負があり、そもそも、ものづくりが好きという気持ちは他の人よりかなり強いんじゃないかと思っていたからです。

僕が通っている大学にはレーザーカッターや3Dプリンターなどのツールは整備されておらず、設計課題などにおいてデジファブを使う機会はありません。僕はそれに対して課題意識を持っていて、だからこそ、自分が率先して学外でデジファブツールが使える場所に行く、そしてそれらを使いながら設計するということをやってきました。

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また、EMARF3.0が発表されたときは、革新的というか来るべき未来が来たという感覚でした。今までなかったものが世に出てその認知が広がっていくということは時代が変わる瞬間であると感じたので、この波に乗るしかないと思いました。

ー 現在制作しているものについて教えてください。

実は、7月に完成する予定で進めていた「Hemp-T Table(ゆらゆら揺れるテーブル)」がまだ完成しておらず、切削をかなり多用していたことからモデルが複雑になってしまったこともあり、スケジュールが押している状況です。

今はそのモデルの修正と同時並行で棚をつくっているのですが、最初の失敗を経てEMARFやShopBotの特性がだんだんわかって来たのでスムーズに進み、今はモックアップを制作したところです。

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やはり、最初は特性を理解するのに苦労するということを実感しました。でも、できるだけアンバサダーとしてギリギリをせめて行きたいと思っているので、そのラインを明確にするために、「Hemp-T Table」は修正しながら完成させたいと思っています。

ー 9月の制作予定を教えてください。

オリジナルのものをつくった7月、8月とは異なり、9月は既製品に対してEMARFでハックするということができないかと思っています。具体的には、EMARFを使うことで既製品に新しい機能や価値を付与してあげて、新しい振る舞いを産み出したいと考えています。

手始めに既製品のベッドをハックしようと思っていて、シンプルだけどベッドとしての機能しかない勿体なさみたいなところを、ベッドのフレーム自体を一つの基礎に見立てることで、そこに何かを新しく生やすということをしようと思っています。

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ー EMARFアンバサダープログラムの前半を終えた感想を教えてください。

プログラムがはじまる前は、自分だけのオリジナルをつくることができる、ある意味「力の入ったものづくり」のような印象をEMARFに対して持っていました。ですが、実際にEMARFを触って発注してみると、非常に手軽でスピード感があると感じました

EMARFでのものづくりは、ものをつくろうとするのではなく、生活の中で生じた不具合や違和感などといった小さい欲求のようなものに対してすぐに行動することができる、そんな気軽さがあり、まだまだ多くの可能性があるのではと思いはじめました。

ー 今後やりたいことはありますか?

僕自身は今後も変わらないとは思うのですが、EMARFを使ってものづくりの可能性を実証した身として、何かをつくるということに対して、自分の経験から誰かの背中を押していけるような存在になれればと思っています。

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次は日野裕輝さんをご紹介します。家具量販店で買えるものを代替するDIYへの葛藤を経てたどり着いた既存部材を拡張するものづくりとは?

EMARFが可能にする既存部材を拡張するものづくり 日野裕輝

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ー アンバサダーに応募したきっかけを教えてください。

昨年のSDレビューでVUILDの作品を見て以来EMARFのことは知っていたのですが、当時リリースされていた「EMARF2.0」だと自由度は低いかなと思っていたんです。ですが、EMARF3.0では2.0に比べ自由度が高くなっていたので、よりDIY向きになったのかなと

僕は大学で計画学を学んでいるのですが、実際に手を動かしたいという欲求と、以前舞台美術をやっていた繋がりもあって、ときどきDIYの依頼を受けていたんです。ものづくりの自由度が上がると言う点は、アンバサダーに応募した決め手の一つとなりましたね。

ー アンバサダーに応募する以前から制作の依頼はあったんですね。

ありました。でも、それは全部手作業でやったりとか、なんなら僕が某家具量販店を斡旋するというパターンでしたね。「それ、あそこのお店にあるんじゃない?」っていう(笑)。こんなこと言われたら友達をやめたくなると思うんですけど、でもEMARFを得てからは、「ぜひ作らせて!」と言えるようになりました

ー 頂いていた依頼内容と日野さんのやりたいことが合致したと。

そうですね。僕が掲げている”既存部材の適用”というコンセプトはまさにそこで、例えば、単なる箱を作るのに多分EMARFは使わないと思うんですよ。失礼かもしれないですが、箱が欲しいと思ったら家具屋に買いに行くと思うんです。一方で、その箱が25個入る5列5段の棚が欲しいとなったら、それは一般的にはあまり取り扱っていなくて、多分EMARFを使うだろうと。何かを引っ掛けるフックが欲しくなったら100円ショップに行くと思うんですが、その受け口となる壁に何か作ろう、というのはEMARF向きかなとか、考えたりしています。

ー ものづくりのモチベーションも上がったんですね。

モチベーションは全然違います。ツールを持っているか持っていないかだけで、見る景色が全然違ってくる。最近DIYが流行っていますが、家具屋さんに行ったときに、自分でつくれるものとつくれないもの、拡張できるものと拡張できないもの、その感覚みたいなものを不意に考えていて。だから一緒に散歩していると楽しくないと言われたりもするんですけど(笑)。そういう意識のようなものは変わったかなと思います。 

ー アンバサダーとしてこれまでに制作したものを教えてください。

僕は自宅のマンションの防災防犯担当理事をやっているのですが、最近導入された止水板の保管器具を作りました。一般的に止水板はフレームがゴムでできていてデリケートなのですが、そのままだと保管にかさばってしまうので、僕が補完のための器具を作ることになりました。

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実は保管器具の前にもEMARFで別の家具を制作したのですが、オフセット値をミスってしまい、切り出した部材同士がうまくはまらないというアクシデントがありました。今回は、組み立て時にクライアント(管理組合)の前で失敗したくなかったので、家で事前に一部を組み立ててみました。その結果うまくいったので良かったです。オフセット値は常にドキドキで、うまくいってからは楽しかったですが、うまくいかなかった時は地獄でした(笑)。

ー 現在制作しているものはありますか?

友人宅のベランダに温室を作る企画が進行中です。もともとベランダをなんとかしたいという思いがあったみたいで、僕のほかにもう一人建築を学んでいる候補がいたみたいなのですが、EMARFの強みが決め手となり僕を選んでくれました。

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ー 決め手となったEMARFの強みというのは?

形の自由度と、施工の楽さ、あとは見栄えの良さなどですかね。手すりが金属なので、本当は柱を2本立ててロープで縛ったり結束バンドで留めたりすれば十分固定できると思うのですが、それは見栄えが悪かったりするので、EMARFを使えばちゃんとおさまりを考えられるというところも魅力だと思います。

正直、釘やインパクトを使えばなんでも形になるとは思うのですが、CNCルーターでやってるが故におさまりがいいというのが、EMARFの圧倒的な強みだと思っています。実際にベランダでは、金属製の手すりを拡張して構造を支える部材をEMARFでつくることにしています。EMARFで全部をつくるのではなく、既存部材や既存製品の規格と関わる部分をつくれるのが、僕の感じている魅力です

ー 今後やりたいことはありますか?

車の内装の案件も進んでいます。車の内装は全然直角がなく市販の家具だとお手上げなので、曲線に強いEMARFとは相性がいいと思います。曲線しかなかった車内に新しく構造物を継ぎ足せるように直線を作り出してあげることもEMARFの新しい使い方であると思います。また、ハイエースはどれも形が一緒なので、1つパターンを作ってしまえば車のDIYを始めるスターターキットとして売り出せるんじゃないの?というのを頭の中に描いています。

最初のオフセット値の失敗がトラウマなのですが、それはもう克服できたと思っているので、今後もガンガンものづくりしていきたいです。

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