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広がるイノベーションと、広がらないイノベーションの違いはどこにある?

ビジネス系メディアでよく出てくる「あ、これ流行りそう」逆に「あ、これは話題になってるけどブームで終わるな」という感覚ありませんか?リサーチを繰り返していると、言語化しにくいけれど、確かに感じる感覚があります。

私たちも多くのクライアントさんとご一緒させていただく中で、トレンドリサーチという形を通じて、様々な先進的なサービスを知ることになります。
しかし、その全てがその後世の中に普及したかというと、そうではありません。なんなんでしょうね、あの「来る / 来ない」っていう感覚。

そんなことを考えていたとき、ちょっと前に出てた一橋ビジネスレビューに、その「本当にその流行が来る/来ない」を言語化してくれる論文を見つけました。

一橋ビジネスレビューの2022年夏発行、一橋大学イノベーション研究センターの吉岡(小林)徹さんが書かれている「イノベーションの普及のための定石」です。

詳しくは購入の上、読んでもらえたらと思いますが、特に私が納得感のあった部分を私なりに意訳してお伝えします。紹介されている事例も興味深く、理解が進むので、ぜひ読んでみてください!(ちなみに他の記事もとても刺激的でした、おすすめです。)

①既存の解決策より優れている

当たり前ですが、既存のやり方よりもコストや機能の面などで優れている必要があります。新しいやり方=イノベーションを受け入れること、今すでにやっている方法でなく新しい方法を取り入れることは私たちにとってストレスのかかることです。乗り換えさせるためには、今ある解決策よりも優れている必要があります。

②現在の行動からの変更が少ない

スイッチングコストという言葉もありますが、生活に深く根付いたものであればあるほど、今ある行動システムから新しい行動システムを構築することは、非常にストレスがかかります。
同じシステムの中で移行させるならともかく、新しいシステムに移行させることは、移行する量に応じて、受け入れることが困難になります。

③シンプルでわかりやすい(使い方がわかる)

私たちは新しいものをいきなり新しいものとしてまるまる受け入れることはかんたんではありません。むしろ、既存のものと結びつけてその新しいもの=イノベーションを受け入れようとします。
よく新規事業アイデアを「XXXのような〇〇」といったメタファーなどで表現するのは、良いアプローチではないでしょうか。

④気軽に試せる(便利さを体験できる)

新しいものを人々に受け入れさせるために、いきなり「XXXXX円」を買ってください、といって受け入れてもらうのにはハードルがあります。
最近の有料のソフトウェアでは、2週間は無料で利用できるなどが当たり前なってきました。人々が新しいものをスムーズに受け入れられるように、「ちょっと試してみたけど、これって便利だな」と感じてもらえるようにしておくことも重要とのことです。

⑤他の人が利用しているのが目に見える

新しいやり方が発明されたとき、それを使っていて便利さや豊かさを享受している人が見えていることも重要とのことです。「あの人の使っているあれってなんだろう」「へー、便利そうだ」と感じてもらい、「私も使ってみよう」と真似するような流れをつくれると良いそうです。
ソースティン・ヴェヴレンの顕示的消費のような、それを持っていることがステータスであったり、所属意識をくすぐるものだとよいのかもしれません。


まとめ

日々、クリエイティブな人たちが新たな解決策やサービスを生み出しています。そのすべてが私たちの暮らしに浸透するわけじゃないですが、そんな素敵な発想やひらめきがちゃんと浸透するにはどうすればいいか、それを見極めないと行けない人は、ぜひこういった視点をもって社会を覗いてみると、ヒントが見つかるかもしれませんね。


そういったリサーチに興味があれば、気軽にご相談ください!それでは!


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