動物看護師に起こるグリーフとは
プロフェッショナルグリーフ、という言葉があります。
グリーフ、という言葉を聞くと、きっと私たち動物看護師は飼い主さんの姿をイメージするかもしれません。
しかし、このグリーフは、動物看護師自身にも、とても身近なことなのです。
今回は、このプロフェッショナルグリーフについて、書きたいと思います。
プロフェッショナルグリーフとは、職業柄起こるグリーフのこと。
大切な人を失った時の深い悲しみ、喪失感により気持ちが不安定になったり、不調をきたすことをグリーフと言いますが、看護師や介護士、医者、獣医師、そして動物看護師など、死と関わることの多い職業に携わる人に使われる言葉として、プロフェッショナルグリーフという言葉があります。
私は2018年10月、4年のブランクを経て動物病院で仕事を始めました。
日々、動物病院で仕事をしていて、改めて命の尊さ、重さ、素晴らしさを感じています。
臨床の場に復帰して改めて気づかされたことは、動物看護師という職業は、日々、生と死と向き合う中で、気づかないうちにそれがストレスとなり、心の中に重くのしかかっていく、ということ。
私自身も、過去に担当していた子が亡くなった時、辛い体験をしました。
しかしながら、命との向き合い方を知ることは、仕事を続ける上でとても大切なことですが、決まった答えがある、というものでもありません。
動物の数だけストーリーがあり、私たちは皆、それぞれのめがねを掛けていて、見えている世界は異なります。
プロフェッショナルグリーフを知ることから
まずはこの言葉を知る事が大切です。
そして、自分自身に当てはめて考えること。
私の場合、1人の時間を作り、動物たちの死と直面したその状況を、心の中で振り返り、目を閉じて、ゆっくり考えてみます。
もちろん、向き合える時になったら、です。
時間を作り、ゆっくり振り返ることで、私がその時抱いた心の声に、耳を傾けます。
あの時の、悲しみ、良かったと思えること、後悔、ご家族の姿、動物の姿、自分の対応、周りの状況など。
タイムマシンで過去に遡り、ゆっくり思い出します。
そして、そこから私は何を得たのか。を考えます。
私は動物看護師として、これまで沢山の動物たちから、命の数だけ学びを得てきました。
その学びを未来に活かすことが、私の仕事における原動力でもあります。
自分なりの受け止め方を知っておくことで、自分自身を守ることも出来れば、糧にもなっています。
プロフェッショナルグリーフという言葉を広めたい
先ほど触れた、担当していた子の死を目の当たりにした時のこと。
あの後、しばらくの間、私はペットロスだったのだと、後になって気がつきました。
(このエピソードはまた別の機会に。)
死は2回、訪れる
いつか誰かの仰っていた言葉に、こんな言葉があります。
1度目は、命がなくなった時。
2度目は、誰からの記憶からも消えた時。
今後、何かの形でその子たちが生きた証を残したい、と思っています。
心の中でも生き続けている子たち。
その生きた証を文やイラストに残し、また誰かの、心の中で生き続けることは、その子の新たな人生でもあると。そんな風に思います。
また、私たちが飼い主さんから、亡くなられた子の思い出話を聞く事で、飼い主さんの心を癒していることと同じく、
日頃の動物看護師さんたちの悲しみや想いを受け止めてあげたいなと、思っています。
それは、動物看護師である私達にとって、心の負担を減らす、救いにもなるのかなと考えたりもしています。
その方法を、VTLinkと、共感して下さった動物看護師の皆様とで、考え、作り上げたいと思っています。
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