サピエンス全史マガジン1

サピエンス全史 #1 認知革命

いらすとや図解シリーズ第一弾は、「サピエンス全史」をとりあげます。

世の中には読んでしまったが最後、常識がくつがえされ後戻りできない劇薬のような本があるかと思います。そういう本たちを、常識が狂うポイントを推しながら、いらすとやのかわいいイラストを使って図解していきます。

「解説いらねぇよ図だけ見たいんだよ」っていう忙しい人はこちら。

ではさっそくはじめていきます。
そもそも「サピエンス全史」がどんな本か?

「ウホウホ言ってた原始」から「アンドロイドに征服させる未来」までの人類史を読み解いていき、人間社会とかどういう構造か? あるべき幸福とは何か?を考えていく本になっています。
本のサブタイトル「文明の構造幸福」の通り、文明で結局人間は幸せになったのか、を考えさせてくれます。

で、どの辺が常識が覆るポイントかというと、社会構造がどういう秘密をもとにして成り立っているかという点ですね。
秘密、いきなりネタバレしちゃうと「虚構=フィクション」によって社会は構成させているってところです。我々の種の特殊能力「フィクションを信じる」によって、いかに生物の頂点に昇りつめ発展してきたか、という歴史を600ページにも書いてあります。

そのフィクションとはどういうことか、じっくり見ていきましょう。


地球がまだドロドロの鉄の塊だったところから哺乳類の進化のところは飛ばして、ホモサピエンスがあるきっかけにより台頭し始めた7万年前にさかのぼります。

このシリーズでは、この7万年間を4つのフェイズに分けて解説します。7万年前の認知革命、1万2千年前の農業革命と3000年前の統一の始まり、500年前の科学革命、そして現代の今日の4つです。

今回は認知革命についてです。狂った際には口元を拭えるよう、お手元にハンカチを用意してくださいまし。


そもそも人間、人類、サピエンスとは何か?

600万年前あたりから、猿から分岐したヒト属。別名ホモ属。これを人類としています。ヒト属には我々サピエンス以外にも、ネアンデルタール人と呼ばれるホモ・ネアンデルターレンシス、ホモ・エレクトス、ホモフローレンシスとかいろいろな種います。「人類みな兄弟」っていうスローガンがあったらネアンデルタール人も含めて兄弟っていうことですね。

ホモっていうのが学名で、種の名前に冠をつけます。我々サピエンスの場合の正式名称は、ホモ・サピエンスですね。ここでは、ホモ・サピエンスだけを人類から分けて「人間」として説明していきます。

で、人類全種の特徴。図のように、みんな二足歩行、道具を使う、複雑な社会構造を持っていたんですって。これってサピエンスだけの特徴って誤解しがちですね。「我々は賢いんだ」っていうエゴだわ。そもそも「サピエンス」は「賢い人」って意味らしい。厚かましいったらありゃしない。

他にもありがちな誤解が色々あります。

左上の図。人間の進化と言えばこの直線的なイメージが強いけど、間違いなんだそうな。正解は右上の図、枝分かれして進化してきたのです。10万年前には6つの人類兄弟種が同時に暮らしていたそうな。

我々サピエンスは20万年にようやく進化してきた種のようです。
その新人しか現代には残ってません。他の兄弟たちはどうなったのか?

それには2種類の説があります。
他の人類をサピエンスが殺戮した交代説、他の人類と混ざっていった交雑説があって、昔はどちらかの説が正しいか分断されていたそうな。
正解はまだ不明です。が、最近発見された事実に我々人間のDNAの中に数%他の人類の遺伝子が混ざっている、ということがあります。
なので交代説と交雑説のハイブリッド説が有力となっているそうな。

どうやらサピエンスは基本的には殺戮しまくり絶滅させまくりのようで。他の人類だけじゃなく、大型動物も。オーストラリアにいた2mの高さのジャンボカンガルーや、2.5トンもある巨大なウォンバットであるディプロトドンたちは、オーストラリアにサピエンスが上陸したころに「なぜか」絶滅したそうな。太古のことなので犯人は不明なんだけど、自然死ではなく確実にサピエンスが容疑者の最有力候補だ。

モンスターハンターとかゲームの世界で大きな動物に挑むこと多いじゃない。あれって、原始の興奮の記憶がよみがえってるんじゃないかと、これをみて思いましたね。遺伝子レベルで大型動物を殺戮するのが楽しい種、人間ヤバイ。

観光保護活動家の言う「太古の人類は自然と調和していた!」なんてもう信じられませんね。我々は大型動物を狩りするのが大好きなんです。しかしながらだからこそ、海にいる大型動物は守っていきたいですね。狩り大好き病を意識して踏みとどまることが必要。

なぜ、我々サピエンスは自分よりも巨大な動物や、力や背丈が大きいネアンデルタール人を絶命させることができたか。それがサピエンス唯一の特殊能力があるためなのです。その始まりがこちら認知革命です。

認知革命とは、「虚構=フィクションを生み出し、共有し協力する」という方法が登場したことです。
どうやって登場したかは謎です。遺伝子がなんらかの要因で書き換わり、脳の機能に不具合めいた能力がくわったことにより進化していったと考えられています。

フィクションとは何か?
もう人間社会のありとあらゆるものが、物理的には存在しない想像上の設定である虚構です。魚が水に気が付かないように、人間は虚構に気が付けないほどです。

例えば、宗教はわかりやすい。神様を全員が見られるわけじゃないのに共通のフィクションを共有し、同じ儀式などを行って協力していますね。
他にも、国。自然にある国境なんて見たことありませんし、別の国民に変われない人間を見たことがありませんよね。500円玉を指さすことができても、500円の価値を指さすことができないみたいな。

法律、貨幣、人権、平等、すべてフィクション。全部自然のことではないのに「自然のこと」と信じてしまっている。日本の場合だと「平等なのが当然いいことだ!」ってなってますよね。自然に平等なんてない、平等は設定なんです!平等だと信じているだけです!フィクション!

フィクションです!あなたが「正しい」「正しくない」と思う判定基準もすべてフィクション。信じてもらえないでしょうけど、あなたの「良い」「悪い」も、だだの設定です、不自然なフィクションです。目を覚まして!ウェイクアップ!ウェイクアップ!

ふぅ。とまぁ、ここがこの本の最大に重要なポイントです。フィクションを信じる能力は、人類文明、社会構造の秘密そのものです。

具体例を見てみましょう。

現代でもっとも力の強い宗教「資本主義」ですが、その例として株式会社である自動車メーカー「プジョー社」を考えてみましょう。

プジョー社は会社、つまり「法人」です。法の人ですね。バーチャル人格ってわけ。

物理的には存在しないのです。だから物理的なものを全て消し去っても残ります。今から私が、役員と従業員をすべて抹殺し、プジョー製の車をすべてボッコボコに廃車にし、工場とオフィスを爆発で破壊し、全株主を脅迫により株式をすべて売却させたとしても、「プジョー社」は残ります。

しかし、フィクションの設定である「法律」にのっとっていれば判事が解散を命じることだけで「プジョー社」はあっさり消滅します。役員も従業員も全員生きたまま、車もオフィスもそのままで、です。

でも私たちは「プジョー社」があると共通の想像をもって認識している。まったく魔訶不思議な能力です。

さて、このフィクションを信じることの登場によって、人間は他の動物種を圧倒していきます。フィクションでどうやって優位さを手に入れたか?

フィクションにより、知らない人とでも協力ができます。

チンパンジーはアルファオスを頂点にした階層社会を形成しています。しかしながら、その最大数は50人まで。親しく知り合っている人同士だけでなりたっています。みつばちなどはもっと数は多いものの、同じ血縁のみとしか協力できません。

しかし、人間は知らない人同士と協力ができます。
「あいつめちゃくちゃ強いらしいよ、ライオンとかワンパンだって(見たことないけど)」「うっそマジで、こわー。絶対逆らえないわ」みたいな噂話のフィクションなどにより、知らない人と協力が可能となっていったのです。この噂話が、村のおきて、国の法律、などと発展していき、集団に所属人数がフィクションなしの限界マジックナンバー150を超えていきました。そして、さらに強力なのが共有のフィクションを持つと集団同士でも協力できること。共有の神話を持つ、などです。これにより、協力人数は実質無制限となります。

この協力人数を拡大できるようになったことで、サピエンスより大きく力の強いネアンデルタール人の集団との闘いに勝てるようになったのです。

フィクション、ほんとすごい。

もう一つフィクションの恩恵は、フィクションの書き換えは一瞬で可能なため、革新がスピーディになったことです。

例えば、江戸時代。本ではフランス革命を例にしていましたが、日本人のために江戸時代でアレンジしてみました。
江戸時代は、徳川家をアルファオス=征夷大将軍として、封建社会を構築していました。幕府を最高統治機関とした幕藩体制です。士農工商などのフィクションを巧みに設定し、安定した支配を行っていました。

しかし、明治維新が起きます。これにより、主権は天皇で、政治は民衆が民衆の手で行う、民本主義という設定にいきなり変わります。

江戸時代の一人一人全員が江戸城無血開城を見ることなく、天皇を直接見ることなくなくとも、藩という国にいた民は、あっさり明治政府を受け入れました。このように虚構の書き換わりスピードで秩序が刷新できるのです。

このフィクションの柔軟さが、神話・国などの秩序を何度も塗り替えさせ、サピエンスの発展に寄与していきます。

フィクション、ほんとすごい。

まとめ

と以上までが認知革命までの説明でした。
この後もこの「虚構を信じる能力」を中心に歴史が展開していきます。
お楽しみに!

次回は「農業革命、統一の始まり」を解説していきます。
ここらも狂える内容ですので是非読んでいただければ!

つづく

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