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カーテン内の青春を妄想する

 はじめまして。 るこるです。
 この記事は東側の楽曲を通して持っていなかった一面を我が物にできたのかな、という話です。 

 私は大学入学の前後くらいで「Vaporwave」に出会っていました。YMOなどのピコピコサウンドが大好物な両親の英才教育を受けて育った私はすぐに興味を持ち、ネット上に存在するそれとされるもの、パロディ、元ネタとか結構いろんなものに手を出しました。
 『リサフランク420 / 現代のコンピュー』はもう10年近く前の曲。こわいですね。

 多種多様、有象無象の「~wave」を巡っていた道中でかなりの日本未上陸作品にも触れることが出来ました。そんなこんなでかは頑張らないと記憶外から引っ張り出せそうにありませんが、とにかく大学一回生の真ん中くらいにはソ連のロックバンド「Кино」の存在を認知していました。 

 ところで、大学で「ヴィクトル・ツォイ」の名が通じる友人は一人しかいません。かなしい。

 そしてもう一つ、東側の「Synth pop」も認知していました。 私はどちらかというとこちらにハマりました。 

 ザ・80年代な電子音が鳴るからです。 
  

 せっかく東側ピコピコの世界に迷い込めたので、とりあえず片っ端からこの動画に載っているグループを調べていきました。そしたら出るわ出るわ私の大好物が。「Denis & Denis」が特に好きです。
 
 「ultradiskopanorama」と「Nomad Shepard」っていうYoutubeチャンネルはアツいです。
 前者にはロシア以外にもフランス、東ドイツ、ユーゴやなんとイランのディスコミュージックまであります。このチャンネルが存在してくれたおかげで今の私があると言っても過言ではありません。ホントに。この2チャンネルだけでも覚えてくださればこの記事は9割の仕事を果たしたことになります。

 これらを知る以前は東側の、というかロシアの曲をちょっとの軍歌とちょっとの民謡を知ってるくらいで、更に私が生まれる前にはすでにないもの、とインターネットに入り浸りすぎたということもあり、そちら側は共産趣味だとか「デェェェェン」とかいう「ネタにされるもの」でしかなく、絶対にありえない世界、概念上のものとしてとらえたところがありました。 
 確実にあったものなのに私にとってはリアリティが皆無。九龍城とか、「過去には映画館で上映されていた映画」とかと同列です。
 この場合、当時人々の間で流行ったものを全く知らないために生気がない、とも言えばいいかな。

 ちゃんと我々の世界と同じような音楽文化があって、そんな音楽を演奏した人たちがいて、もちろん聴いた人たちもいたということに安心、は違うのですがそんな感じの何かを感じました。 そして日本のシティポップを聴くのと同じく、刷り込まれた架空の、存在しない記憶が起こされ、懐かしめる。もちろん純粋な「いい曲見つけた!」という喜びも。

 ところで、皆さんご存じのソ連テクノというか電子音楽と言えば、最近Youtubeの関連動画に流れてくるようになった《Альянс》の《На Заре》ですね。

 80年代らしいチープな音、好きです。
 そしてノリノリで歌う観客、静かに聴く観客、「ソ連にアロハシャツあったんだ」、「そのサングラスどこに売ってんねん」とか、ボーカルの彫刻のような美しさを除いてステレオタイプなソ連観からかけ離れた映像から受ける印象や衝撃は凄いものがありました。

 80年代というとソ連はゴルバチョフ政権に変わって融和ムードが広がり、両ブロックの交流は増えていた頃ですが、所詮国家レベルでの関係改善みたいなもんで、両陣営産の楽曲がそこらじゅうの店に並べられている、という光景はユーゴくらいでしか無かったのではないでしょうか。 どこかの記事で読んだ。
 ロシアの人々しか知らなかったであろうものを、インターネットを通して今まで知る機会のなかった全世界の人々にも再発見、再評価される。 竹内まりやの「Plastic Love」みたいに。いい時代に生まれました。

 ちなみに《Альянс》は現在も活動中です。

 現在、身近ながら謎な国、というと北朝鮮でしょう。いやロシアも割と謎だけど自由な渡航が不可能という点で勝てません。
 北朝鮮の楽曲というと「コンギョ」とかですがそれはプロパガンダ、官製ものなので真に民衆を感じるものでは全くないのです。探せばあるのかな。
 
 カーテンの内側という秘められ続けた世界を、ちょこっとこちら側に引きずり出すことができて嬉しかったです。

 最初は単に東側スラヴポップを布教しようとして書き始めました。

 それでは。

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