さほど暑くはないが、涼しいとも言い難いもったりとした風が肌を撫でる。錆ついたジョウロから滴る水が石灰混じりの砂を濡らした。曇り空で濾されたような青紫色が視界を潤して、雫を乗せた葉が揺らめく。水気を含んだじとつく空気に性急なチャイムが響いたので、私はスカートを翻して駆け出した。

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