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自分ごと化のためのビジュアル化

 「自分ごと化」が大事とよく言われます。その際に有効なのがビジュアル化だと思っています。

自己決定性

自己決定性

 心理学者のアルフレッド・アドラーは「自己決定性」を提唱しています。残した言葉に「人間は自分の人生を描く画家である」というものがあります。
 初中等教育では図画工作・美術の時間に絵を描かされていませんでしたか。本来絵を描くということは自ら選択し行うことです。

自己決定性とは何か

自己決定性

 「自己決定性」とは以下の様に考えます。

  • 自分の人生は自分が決めている

  • 過去の経験や生まれ育ちは関係なく、自分がどう感じて決めたかが今の自分を創っている

  • 人に言われたことだけで行動を決めると自分の人生を歩んでいる事にならない

 また、自己決定性を考える際にはセットで「自主性の尊重」も考えた方が良いとされています。
 何らかの選択肢を提案し選ばせることは単に従順ということになりかねません。子供が選択を誤ってしまう、親が選択肢を提示してしまう。これはなぜか。
 子供は選択の基準を知らないし、親はその基準を理解してもらうための働きかけをサボっているから。また、成長し自分から離れてしまうのを怖れるから。
 「自己決定性」があれば子供は勝手に育ちます。子供の将来を考えれば子離れは教育の究極の目的。そのことに気づくことが大事ですね。

ビジュアル化にできること

ビジュアル化することで自ら気づくようになる

 ビジュアル化することで問題をかかえる本人が自ら気づくようになると考えています。前項でも述べましたが「判断のための基準を知らない」という状況では、決定のための確信が得られませんし、仮に何らかの決定をしたとしても失敗という結果が返ってくることが多くなるため、チャレンジ自体を止めてしまうかもしれません。

自分が貢献できることに気づく

対話や会議では自分のすべきことが分かる

 対話や会議においてビジュアル化することは、①他の人(グループ)にとって難しいこと、②自分(グループ)にとって得意なことが明らかになれば、自ら②をすることを選択するようになることに役立つということです。
 対話や会議でもめているとは、何らかの課題を取り組みが為されていないという状態だと考えます。もしくはその課題が明らかになっていない。そもそもその課題の問題が理解されていないということもあります。
 これら①問題の理解、②課題の洗い出し、③次のアクションの決定(誰が/いつまで/何をするか)のいずれのフェーズでも、ビジュアル化は役に立ちます。
 会議ではある程度の人数の人が集まります。一人ひとりの知能指数がいくら高くても、人数が集まるとその集合の知能指数は下がります。これは情報の分割損が発生しているからです。
 ビジュアル化はこの分割損を補うものです。脳にとっての外部記憶、その集団にとって内部記憶。ビジュアル化してホワイトボードに書き出したものの本質はここにあります。
 次のアクションの決定は自己決定することが重要です。自己決定することで「しなければならない(have to)」が「したい(want to)」になります。もしくは近づきます。「しょうがねぇなぁ、やってやっか…」という感じですね。
 アドラー心理学では「他者貢献」が重要視されます。これは他者貢献に繋がると自ら認識すれば、それは「したい(want to )」により近づくと考えています。

ビジュアル化はわかりあうためのツール

ビジュアル化でわかりあう

 対話や会議でもめるのはお互いを知らないから。ビジュアル化をすることで相互理解が深まります。
 自分が所属する部署の都合、会社全体の都合。問題が起こっている時はこれらを解きほぐすことが必要です。言葉でそれを明らかにすることもできますが、時間経過とともにどんどん消えていきます。一方、ビジュアル化は目の前に残る。
 集団の知能指数を上げ、かつ、自己決定性も増す。集団にとってビジュアル化が必要な理由はここにあります。


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