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アイデア出し再考―ブレインストーミング、KJ法、言葉を使う危険性を知る

 グラレコ(グラフィックレコーディング)の利用場面にはアイデア出しがあります。改めてその手法ととある危険性を考えます。

ブレインストーミング、KJ法そして言語化の危険性

ブレインストーミング、KJ法、言葉を使う危険性

 アイデア出しの基本について考え直したいと思いました。なんちゃってブレインストーミング、なんちゃってKJ法が横行しています。今回はもう一度基本に立ち返りたいと思います。

ブレインストーミング

ブレインストーミングの四原則

 ブレインストーミングをする前に参加者と都度確認することが大事だと重ています。

  • 批判を禁じる

  • 量を求める

  • 自由奔放

  • 結合

KJ法(新・発想法より)

KJ法(新・発想法より)

  KJ法は川喜田二郎さんが発案したものです。「発想法」という本で世に広まりました。実はその後に「続・発想法」が出版されています。KJ法というと前者のやり方を説明したものが実はほとんどです。さらに簡略化した「なんちゃって」になっているケースがほとんどです。
 「続・発想法」を読み直してみると以下のステップになります。

  • STEP1: 紙切れを作る

  • STEP2: グループ編成

  • STEP3: A型図解(①空間配置、②図解(輪取り))

  • STEP4: B型文章化(島ごとに文章化する)

 とはいえ、「続・発想法」は正直読みやすいものではありません。要約がないばかりか、目次からも上記を読み取ることは不可能です。
 私も今から読み直そうと思っています。

言葉とは他人と自分を分けるためのもの

言葉の使い方を考える

もともと、言葉というのは自分と他人を”分ける”ために発達してきたコミュニケーション手段であり、論理脳は言葉で考えれば考えるほど他人との相違に焦点を絞っていく性質がある。(中略)まずは体感やビジュアルなどの非言語で、多様な考えのなかから共通点を見つけ、その輪郭を描き出していく。その後、一人ひとりが物語に翻訳していくと、それぞれが考えた物語の背後にある共通の価値観やイメージが見えてくる。(「創造の智慧10 過去―現在―未来をつないだ新たな文脈をつくる」より一部抜粋)

ひとりの妄想で未来は変わる VISION DRIVEN INNOVATION

 アイデア出しをする際に「ことば」に頼るのは危険です。言葉はそもそも自分と他人を分けるために発達したものです。同じものを別のものにしてしまうかもしれません。別のものを同じとしてしまうかもしれません。
 体感やビジュアルも合わせて使っていきます。同一のクオリアかどうかを丹念に確かめることが必要だと思います。
 共通点を見つけるための方法のひとつはそうでないものを列挙していくことです。引用では「輪郭を描き出す」とあります。つまり、近いがそうでないおのを列挙するということですね。
 ちなみに、見たまま描く練習に近いと思います。「決定版 脳の右側で描け」にある「ネガティブを描く」ワーク。これは例えば手を描く課題の場合、手を描くのではなく手が置かれた机の机の法を描く。この手法と似ていると思います。

まとめ

 まとめます。

  • ブレインストーミングは四原則を共有してからはじめる

  • KJ法には2種類あるのでやり方を改めて説明する

  • ことばは分断を生じさせる場合もあることに気づく

  • 共通点を見つけるためには共通していないところを列挙して確認する

参考文献

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