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久しぶりに.

久しぶりにタバコを吸った。4月頃から自然とタバコを吸っていなかったから、5ヶ月ぶりくらいに吸った。曇りが続く中で、午後になって、急に光が差し込んでしかもそれがもう夏の太陽の光じゃなくて、秋とか冬とかのあの光だったから急に吸いたくなった。

なんとなく長いこと吸っていなかったから罪悪感はあったけれど、逆に吸ってみると自分はどう思うのか気になって吸った。

この前まで吸っていたセーラムが吸いたくて近所で唯一売ってるローソンまで自転車を走らせた。マスクを少しずらして空気を吸い込むともう季節が変わったことに気付いた。少し前から気付いてはいたけど、やっぱりあの光の中で吸い込むとしっかりと変わったという実感が湧いた。

ローソンでタバコ売り場をジロジロ眺めてセーラムを探したけれどもう売っていなかった。
しょうがないから一番ベーシックなメビウスを買った。今じゃ珍しく外に灰皿が置いてあるこのローソンで色々な事があったなぁと思い出しつつタバコに火をつけた。

そして気づいた。タバコを吸っている間って何にも考え事ができない事を。何にも考えない時間がほしくて吸っていたなぁと。

でも僕はもう吸わないかもしれない。昔好きだったクラスのマドンナを見てももうドキドキしないように、もうタバコは僕の中で過去のものになっていた。寂しいけれど、色々なものを過去のものにしながら時は過ぎている。そうじゃないと、どんどん重くなる一方だし。

加藤周一は「夕陽妄語」の中で「過去が歴史なのではなく、現在を決定する過去が歴史なのである」と言ってた。あんまり難しいことはわからないけど、確かにそうだなぁ。昔の人は偉いなぁと思った。そんな21日の午後だった。


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