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インドの田舎の僕とG。

3週間ほどの休みを使って、インドをぷらぷらしてた。まだスマホやSNSが普及する前で、ネットカフェに行って調べ物はできるけど、ガイドブックが手放せない時代。英語ができるなら「Lonely Planet」、日本語なら青い小口が特徴的な「地球の歩き方」でした。

そんなガイドブックにも1ページくらいしか記載のないヒンドゥー教の聖地、オムカリシュワ(Omkareshwar)に行ってみようと思い立ってバスを乗り継いでいたんだけど、その先もう乗り合いバスがないというところに来てしまって。

さてどうしようかと思案していたら、一族でバスを仕立ててオムカリシュワに巡礼に出かけるという大家族に出会い、運良く乗っけてもらうことができました。

そんな時そんなところに来てしまってた物好きな外国人は僕の他にもう一人、僕よりちょっと年上でテンガロンハットを被ったオーストラリア人のGだけでした。インド人一家とGと僕のバスの旅、上の写真はその時のスナップショットです。

Gは僕の拙い英語をよく聞き取ってくれ、僕のヘンテコな表現を面白がってくれてました。ある日、食堂のお釣りで出てきたルピー紙幣が今にも土に還りそうなほどボロボロで、僕が破れないようにそっと指で摘み上げながら「歴史的発見じゃね?」とつぶやいたらツボにハマったらしく、しばらくそれで笑ってたし。

オムカリシュワは小さな町で宿がなかなか見つからず、やっと見つけた宿の空室が1室しかないという日がありました。しかも、ツインじゃなくてダブル。ベッドが一台。

「いい?」
「いいよ。」

その晩、僕とGはひとつのベッドで眠りました。
僕はゲイだけどホゲたりナヨったりしないし、もちろん旅先で用もなくカミングアウトしたりしないし、その晩は至って健全に、Gの体温を感じながらゆっくり眠ったのを覚えてます。

***

Gとはアウランガバードの町でメールアドレスを交換してお別れし、それからはクリスマスが来るとお祝いのメールを送りあったり、お互いの近況を報告したり。やがてSNSが普及しはじめ、今、僕とGはインスタで相互フォローの関係です。

シドニーで暮らすGは日系企業の技術者になってますが、相変わらず女性の気配がまったくなく独身。だからといってそうと決まったわけじゃないし、僕も相変わらずセクシャリティは伏せたまま。でも、もしかして二人ともそうだった?

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