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想いを形にする中間支援に大切なのは、ステップの仕組みを用意すること〜孫六座10周年をみながら〜

今回は、市民活動支援センターのスタッフはじめ、中間支援をしている方々向けに、「想いを形にする」ための手法についてお話しします。

さて、関市では、創作紙芝居劇団孫六座さんが、今年で10周年を迎えました。
本当におめでとうございます。
孫六座さんは、高齢者を紙芝居で元気にすると目的に、
関市の歴史や民話そして、お年寄りが好きな物語を
自分たちで紙芝居を創作して公演をしている団体です。

関の善光寺、魂の木、関のいねんさんなどの郷土史的な紙芝居から
「瞼の母」、「岸壁の母」などお年寄りが好む紙芝居まであります。

この10年間で地域で引っ張りだこになり、コロナ前では、地域のサロン等で年間70回以上の公演をされていました。
今や、関市のお年寄りで孫六座さんを知らない人はいない?くらいの活動をされています。
いや〜ほんとにすごいです!

孫六座さんの10年の歴史はまさに関市市民活動センターとともに歩んできたとも言えます。

関市市民活動センターは、2010年の1月に開所。
関市自治基本条例にて

第25条 市長は、市民、市民活動団体等の主体性及び自律性を尊重し、協働して市民活動を推進するため、市民活動センターを設置します。

と位置付けられている施設です。

行政だけでは手が回らない多様な団体の、きめ細かな活動支援を、行政と協働して取り組んでいくセンターです。
これを、業界用語で「中間支援」と言います。
行政と市民活動の中間で両者の想いをつなげたり、支援したりします。そのため公設民営で運営されています。

中間支援の役割として大きなものに「想いを形にする支援」があります。

今回は、この「想いを形にする支援」について、お話しようと思います。

想いを形にする支援には、以下のステップを準備することが必要です。

ステップ1:想いを整理する(窓口相談)

センターには、こんなことがやりたい!という相談がたくさんきます。
具体的ではなくふわっとしているものがほとんです。

まずは、話を聞く中で、想いを整理するところからスタートします。
この時特に図の整理が効果的です。
私は、グラフや表、マインドマップで整理することが多いですが、
当センターにはファシグラが得意なスタッフがいますので、そっちのほうが圧倒的に喜ばれます(笑)

そして、相談のほとんどが、「自分がなになにがやりたい」手段の話です。もちろん最初はそれでもいいです。
想いを持って行動してもらうことが何より大事。ただ、それだけでは人に共感してもらえず活動が広がらないことも多々あります。

ですので、

それは「誰の何のための活動?」をはっきりと整理することを心がけています。

もちろん、やる気を削がないように。小さい地域では、行動しようと思うことだけですごいことなのです。想いをまず行動に、行動しながら、考える。それが大事です。

孫六座では、発起人の桜井さん(当時68歳)が、「お年寄り向けの紙芝居をやりたい」と相談に来てくれたことからはじまりました。当時、務めていた福祉施設で入所者向けに図書館で借りてきた紙芝居をやって見て、反応がとってもよかったことがきっかけでした。
私は、桜井さんの想いを聞いて、歴史が好きなことや、図書館に大人向けの紙芝居が少ないということもあり、将来的に紙芝居劇団を作って自分たちで地域の歴史の紙芝居をつくるということになりました。

ステップ2:まず1回小さくやってみる(プチイベント/おしゃべりカフェ)

想いを整理したら、一番やりたいと思っていることを、小さくやってみるサポートをします。
関市市民活動センターでは、毎月プチイベントを開催しています。プチイベントは、やりたい!と思っている人を講師に招き、10人くらいを目処にしたイベントを行うものです。
またおしゃべりカフェは、月2回テーマを決めて、自由におしゃべりする場で、そこにゲストとして、そのやりたい!と思っている人を招きます。

当センターは市の施設なので、広報せきにイベント情報を載せることができます。
広報せきの発信力はなんだかんだ強くて、10名ほどであれば、比較的に集客に苦労することなく、集まります。

プチイベントをやることで、まずこんな活動をやっている人がいることをPRできます。そして、実際に参加してくれた人が、共感してくれればメンバーや次の参加者にもなってくれます。

孫六座の桜井さんにも、まずは、プチイベントで紙芝居をやってもらいました。
それをきっかけで、絵が好きで焼きペン講座の講師をやっている原さんと出会い、意気投合し、その後他のメンバーも集まってきて、3名ほどで、創作紙芝居劇団孫六座を立ち上げました。

ステップ3:小さな助成金を活用し活動をスタートさせる

活動をスタートするには多少なりとも費用が必要です。
市民活動であれば、お金はそんなにかからないので、自己資金でやってしまう場合が多いです。

ただ、今回ここでいいたいのは、資金としての助成金というよりも、
やらざるを得なくなるための助成金です。

やってもやらなくてもいい市民活動。ビジネス相談所との違いは、相談者の本気度です。
仕事としてやらないといけない人、売り上げを立てなければならない人よりも
別にやらなくても自分は困らない市民活動は、動き出すまでが大変。

ここで、助成金を申請してもらってみてください。
それは意地でもやらないといけないものになります。

これらの理由から、私は、市民活動支援において、少額助成金というのが大変有効であると考えています。

関市には初動支援として、常時受付、書類審査のみで年間5万円もらえる助成金があります。
コロナ前には年間10件以上の申請がありました。
これは全国に誇れる仕組みだと思っています。

孫六座さんも、スタート時に助成金を活用しました。
助成金で、のぼりや法被、紙芝居の木枠の材料として活用して、現在もそれを使っています。

ステップ4:活動を広げるため他団体とのコーディネートをする

まずは立ち上げることが大事!
ですが、その後は、様々な地域の団体とつなげるお手伝いです。

よく支援者は、最初からここだけをやってしまうことが多いような気がします。
顔も広く、様々な団体を知っている方が多いので、手っ取り早く、あそこにつなげよう
としてしまいます。
しかし、その土台がちゃんとしていないと、つなげてもうまくすすみません。

孫六座では、社会福祉協議会や高齢者サロンをやられているボランティアの方々とおつなぎしました。

ステップ5:意図的に離れる

ちょっと、文章を書くことに、へばってきました。
ここまで読んでくれる人は果たししているのでしょうかw

ここは文字通り。

当初は、ミーティングを、市民活動センターの無料スペースでやってもらうことで、
困ったときや聴きたい時に気軽に聞いてもらえるようにします。
私のシフトも、そのミーティング時は、いるようにしました。
その後は、だんだんと、関わりを薄くして行って、自分たちでやってもらうようにします。

孫六座さんはこの辺りは、最初から、桜井さんがどんどん行かれる方だったので、問題ありませんdした。

ステップ6:表彰等の紹介とお手伝いを

最後に活動が軌道に乗ってきたら、外部からの評価されることのお手伝いです。
それは、官民どちらもよくある表彰制度に、応募することとや、
こういったブログやSNSに紹介することです。

地域内の人は、その団体の凄さはよく分かりません。
外部から評価されて、初めて、

あ!あの団体はこういう意味ですごかったのか!とわかるものです。

孫六座さんは、小さな親切実行章や関市社会福祉協議会の健康福祉大会での表彰があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
市民活動支援において、想いを形にするということがとても大切です。
こういったセンターでは、市民活動支援のスタッフの育成が、委託費の関係やスタッフが少ないこと契約の期間の問題もあり、なかなか難しいです。
相談力を高めていくために参考になれば幸いです。

こんな長い文章を最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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