ソードワールド2.5リプレイ 《大地の見張り》キャンペーン 第五話「大裂穴の町、ヒスイドラ防衛戦」中編

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絵:影山とらこさん(背景:のっち)

はじめに

この記事はこの記事は2022/5/1に行われた「ソードワールド2.5(グループSNEのTRPG)」のセッションログを再編集したリプレイです。
読みやすくするため、実際のセッションログを少しだけ脚色したり、発言順序を整理したりしています。
前編はこちら

本作は、「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の、二次創作です。
(C)GroupSNE
(C)KADOKAWA

0. これまでのあらすじ

ドーデン地方、《キングスレイ鉄鋼共和国》第二都市《ヒスダリア》にある冒険者ギルド《大地の見張り》亭に所属する冒険者であるPC達。

二刀流の剣士ヴァルト、力自慢の戦士ノア、斥候射手のエンデ、鉄道神王に仕える神官モニカ、魔法剣士のヨルズの5名はキングスレイ冒険者ギルド統括部からの依頼を請け冒険者ギルド《空の麓》亭へと向かう。

《空の麓》亭は《元ヒスドゥール大裂穴》南端に位置する小さな町《ヒスイドラ》に籍を置く支部であり、一般の依頼に加え大裂穴に住まう蛮族達の動向調査を担っている。
《空の麓》亭の主要冒険者達が諸事情により遠征に出ることになってしまったため、近くにある《大地の見張り》亭に白羽の矢が立ったのであった。

PC達は《元ヒスドゥール大裂穴》内部を北上し、人族領域と蛮族領域の境界10km範囲である緩衝地帯の偵察へと赴く。
しかし、そこで目撃したのは大量の妖魔が築いた野営地であった。
更にその北では人族の建てた見張り塔が破壊され、全長30mを超す巨大なゴーレムが建造されている様子も観察される。
もはや大裂穴における膠着状態は破られ、人族と蛮族との戦いが始まろうとしていた。
PC達は《空の麓》亭に戻り事態を報告する。
同ギルドの支部長、ジムレド=オールスリーヴは巨大ゴーレムに対抗する秘策があると口にするが……?

1.  オールスリーヴ復元式・8.8cm対物魔動大砲

GM:◆描写◆
PC達が《元ヒスドゥール大裂穴》の奥で巨大なゴーレムを目撃してから1日半が経過した。
時刻は昼過ぎ、PC達は再び大裂穴の南端――人族領域の入口付近――に集合している。
モニカの所有する魔動機兵“ヴィントシュトレ”はバイク形態に変形させてあり、その後ろには長さ4m、高さ2m、幅2m程度の魔動機が牽引されていた。

これは巨大ゴーレムに対抗するための秘策であり、今回PC達に残された“切り札”というべきものだ。
場面は昨晩に巻き戻る。

GM:◆描写◆
窓の外で日が落ちた頃、《空の麓》亭のギルドホールにはPC達と支部長のジムレドの姿があった。
壁には大羊皮紙が張り出され、ある魔動機の外形図が書き込まれている。
ジムレドはPC達が全員揃っていることを確認すると、指し棒を手に取り話し始めた。

ジムレド:「全長30mを超える巨大ゴーレム……巨人族すら上回る巨躯に、一体どう立ち向かうか?」

00 ジムレド

絵:シロクニさん

◆NPC解説◆
“智を編む者”ジムレド=オールスリーヴ/ドワーフ/女性/200歳(?)
冒険者ギルド《空の麓》亭の支部長。ちっちゃい。
魔動機文明時代の魔動機兵について豊富な見識を持つ魔動機研究者。
遺跡から発掘された遺物の鑑定や復古を担当することもあり、冒険者というより学者然とした言動が多い。

ジムレド:「半端な土木工事で堀を掘ったところで簡単に跨がれちまう。巨体の力の前には防壁も無意味」
ジムレド:「必要なのは相手から手出しされないための射程、そして岩の身体を砕くための破壊力だ」

GM:それでは、ここで難易度12の見識判定をどうぞ

モニカ:2d6+3+3 //セージ知識判定パッケージ
SwordWorld2.5 : (2D6+3+3) → 8[2,6]+3+3 → 14
成功!

ヨルズ:2d6+3+3 //セージ知識判定パッケージ 
SwordWorld2.5 : (2D6+3+3) → 8[4,4]+3+3 → 14
成功!

ノア:2d6+1+2 //セージ知識判定パッケージ
SwordWorld2.5 : (2D6+1+2) → 8[5,3]+1+2 → 11
失敗……

ヴァルト:2d6+2+3 //アルケミスト知識判定パッケージ 
SwordWorld2.5 : (2D6+2+3) → 7[6,1]+2+3 → 12
成功!

GM:ノアさん以外は成功。羊皮紙に書かれているのが何らかの魔動機の設計図だということがわかります。
GM:ノアさんは元鍛冶師……ということで、「何らかの台座を有する装置」というところまでしかわからなかったということにしておきましょう

エンデ:「遠くから壊せればそれが一番だけど……どうやるの?」*図面は読めない

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絵:シロクニさん

PC:エンデ/女性/14歳
PL:シロクニ
種族:人間
技能:シューターLv5/フェアリーテイマーLv4/スカウトLv3

戦闘特技:ターゲッティング、鷹の目、魔法拡大/数
装備:ロングボウ(弓)、ハードレザー(革鎧)

概要
素早い身のこなしと弓の腕、そして妖精魔法を武器とする森育ちの少女。
遮蔽の先の獲物を見つけ出す視力を持ち、斥候としての実力は随一。

様々な妖精魔法を使用する他、種々の矢を備えており状況に合わせて使い分ける。火力支援から味方のサポートまで射程を活かして戦うことができる万能型の射手。

ノア:「これは……台座式の装置か。何に使うんだ?」

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絵:影山とらこさん

PC:ノア・ロードバーグ/男性/37歳
PL:おもち
種族:人間
技能:ファイターLv5/スカウトLv3/エンハンサーLv2/セージLv1

戦闘特技:全力攻撃、なぎ払い、頑強
装備:グレートソード(両手剣)、スプリントアーマー(金属鎧)

概要
大型の剣を得物に戦う人間の戦士。元鍛冶師として鍛え上げた肉体で縦横に剣を振り回し、多数を薙ぎ払う型や力強く一撃を叩き込む型を使い分ける。
身体の頑健さも大きな武器であり、決して倒れず前線で戦う頼れる男。

冷静で思慮深い性格から、パーティの引率者的な立ち位置にある。

ヴァルト:「これ、魔動機術式の大砲か? はじめて見るけど」

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絵:滑朗さん

PC:ヴァルトルーデ・レーリヒ/男性/19歳
PL:滑郎
種族:リカント(オオカミ)
技能:フェンサーLv5/エンハンサーLv3/スカウトLv3/アルケミストLv2

戦闘特技:両手利き、武器習熟A/ソード、二刀流
装備:双子刀カストルポルクス、ソフトレザー(革鎧)

概要
無愛想な狼のリカント。かつて迫害されていた村の出身であるため、身分を誤魔化すために女性用の服を着ている。
俊敏な身のこなしと二刀流の剣技を武器としており、単体に集中攻撃を仕掛けた時の瞬間ダメージはパーティ随一。

首都キングスフォールに赴いた際、古武具屋にて二刀一対の魔剣「双子刀カストルポルクス」を購入した(GM作成のオリジナル魔剣)。

モニカ:「すごい……魔動機を新しく設計するなんて」*図面にそっと触れ

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絵:影山とらこさん

PC:モニカ・フェルトマン/女性/24歳
PL:影山とらこ
種族:人間
技能:プリーストLv5/ライダーLv3/セージLv3

戦闘特技:魔法拡大/数、ワードブレイク、MP軽減/プリースト
装備:聖印(神聖魔法発動体)、防弾加工のスプリントアーマー(金属鎧)

概要
“鉄道神王”ストラスフォードに仕える神官。
戦闘では神聖魔法で味方を援護すると同時に、魔動機を操縦する騎手として戦場を駆け前線にも参加する。
真面目で思慮深い一方、周囲の人物の言動や行動を“モニメモ”と称して記録する癖がある。

前話で首都キングスフォールに赴いた際、魔動機兵「ヴィントシュトレ」を起動させることに成功。自身の乗機として運用している。

ヨルズ:「台座に車輪が付いているな。モニカの魔動バイクで牽引できる」

220424 ヨルズ

絵:のっち

PC:ヨルズ・ヴァイマン/女性/19歳
PL:カツオ
種族:ティエンス
技能:ソーサラーLv5/フェンサーLv4/セージLv3

戦闘特技:武器習熟A/ウォーハンマー、魔法拡大/数、マルチアクション
装備:ウッドペッカー(戦槌)、バックラー(盾)ソフトレザー(革鎧)

概要
神性生物、アストレイドと人間の融合によって生まれた種族“ティエンス”の女性。魔法使いであり、同時に戦槌を振るって前線で戦う軽戦士でもある。

恵まれた生命力と精神力によって安定した立ち回りを得意としており、多数の目標を魔法で攻撃したり魔法と近接攻撃の連携を繰り出したりと多彩な戦い方を可能としている。

ジムレド:「小二ヶ月ほど前、うちの冒険者達が仕事である魔動機兵を破壊してきてね」
ジムレド:「そいつが備えていたんだよ。高精度の砲身と魔動機術行使ユニット……射撃に必要な一式を」
ジムレド:「事件のあと、コイツは《ヒスダリア》のマギテック協会が押収したんだが……昨日、アンタ達から報告を受けてすぐ持ち出させたのさ」

ノア:「なるほど、大砲か。博物館で目にしたことはあるが、実際に撃てる物を見るのは初めてだ」
エンデ:「大砲……大きな《ガン》みたいなもの?」
ノア:「原理的には同じと考えて良いだろうね」

モニカ:「その大砲を搭載した魔動機兵を使用するのですか?」
ジムレド:「いや、そのままは使えない。魔動機兵としては既に破壊されているから、目標を判別して射撃を行う機能は喪われているんだよ」
ヴァルト:「ダメじゃねーか」
ジムレド:「だから手動照準による射撃ができるよう改造を施した。回収してきた頃から図面は引いてたんでね」
モニカ:「目視による魔動機砲撃……ですか。かなり難しそうですね」
ノア:「誰が使うんだ、これは? 動かせる者が居るのか?」

ジムレド:「何言ってんだい。アンタ達が撃つんだよ」
ジムレド:「こいつは謂わば巨大な《ガン》だ。射手が用いるそれと異なるのは、発射用のマナを込める必要がないこと」
ジムレド:「魔動機内に組み込んだ“マナチャージクリスタル”に貯蔵したマナを使い、日に3発までの射撃が可能だ」
ジムレド:「発射手順はこれからよーく覚えてもらうよ」
ジムレド:「砲弾の装填、射撃目標の観測、距離による弾道の計算、実際の照準調整、それらを踏まえた上での発射管制……5人フル稼働でやってもらう」
ノア:「なんてこった……マジっぽいな」
ジムレド:「アタシに冗談は通用しないよ!」

エンデ:「おっきな銃だから、普通のとはまた狙い方が違うんだ?」
ジムレド:「あぁ。射程距離も砲弾の重量も通常の《ガン》とは桁違いだ。砲身角度の調整による曲射弾道で狙ってもらうよ」

ヴァルト:「道中の護衛はどうするんだよ」
ジムレド:「既に幾つかの支部に応援要請は出した。そこの冒険者達が大裂穴内部に向かってる」
ジムレド:「妖魔どもは連中が食い止めてくれるはずさ。アンタ達はこいつを射撃ポイントまで運搬、設置して撃つことだけ考えな」
ノア:「準備は滞りなし、か……。わかった。射撃ポイントまで最短で進んで設置することだけ考えよう」

モニカ:「チャンスは一回……仕損じれば、連中は有無を言わさず動き出す。失敗は許されませんね」
エンデ:「皆で頑張ればきっと当てられるはず!」
ジムレド:「実演はできない。これから話す手順をよく覚えておくんだよ。チャンスは1度だけだからね!」

GM:回想おわり PC達は既に手順を覚え、モニカの魔動機で大砲を牽引しながら射撃地点に向かっている
GM:◆描写◆
モニカの魔動バイクに牽引されている装置は、ジムレドが復元した魔動大砲である。
魔動機兵としての自動照準機能は失われていたが大砲としての機能は健在であり、手動照準で強力な砲撃を行うことができるよう改造されていた。
専用の弾丸――長さ50cm近い砲弾である――が3発、装置に据え付けられた箱に収められている。

PC達はジムレドから砲撃手順の講習を受けたあと、装置を牽引して砲撃のためのポイントに向かっていた。
2日前に偵察に出た際と比べ、牽引のため大幅に移動速度が落ちている。
最短ルートを見極め、PC達は静かに大裂穴を進んでいった。
決戦の時は近い。

GM:では簡単にですが、射撃時の分担について決めておきましょう
大雑把にですが

【砲撃時の役割分担】

装填手:ノア
観測手:エンデ
計算手:ヨルズ
操作手:ヴァルト
発射管制:モニカ

GM:上記イメージで書いてます。
GM:ゲーム的には誰がどこを担当しても変わりませんが……
ヴァルト:ウキー!(ガンガンガン
ヨルズ:やりたいと思ってた場所なのでうれP
ノア:OKです
GM:よし このまま進むとボス戦だ。何かやりたいことある人いるかな?
ヨルズ:ファミリア・蛙を作っておきたいです。MPタンクに使う。
GM:良かろう~! 出発前に作って一緒にいる形にします
GM:それでは……次チャプターに移行します

2. ヒスイドラ防衛戦-開戦-

GM:ではでは……PC達が大砲を牽引しながら射撃ポイントを目指している頃
GM:妖魔達もいよいよ進軍を開始します ゴーレムの準備完了も間近

◆GMのメモ◆
本チャプターでは、本キャンペーン以外に開催された単発卓に登場したPC達にゲスト出演頂いた。
キャラクターをお借りしたPLの皆様方には改めて御礼申し上げる。

GM:◆描写◆
《元ヒスドゥール大裂穴》南端から約30km、蛮族領域最先端は異様な活気に包まれていた。
優に100体を超えるであろう妖魔達が集結し、種族ごとに班に分かれて待機している。
彼らは皆“城崩し”エルナルートの指揮下にある妖魔達であり、一定の軍事訓練を受けていた。

GM:小柄なフッドから成る軽装歩兵部隊はいつもの粗末なフードに雑多な武器を携え、興奮して叫び声を上げている。
最も数の多い、ゴブリン歩兵部隊は粗末な鉄製武器を携え気怠そうに合図を待っている。
もう一団のゴブリン投石部隊は革紐のスリングを持ち、背負った籠に手頃な大きさの石を拾い集めている。
ボルグの重装歩兵団は静かに闘志を高め、皆一言も発さず武器を構えてダルクレムへの祈りを捧げていた。

GM:不意に、彼らの数十m後方で轟音が響き渡った。
それは岩塊と土で造られた、巨人族より巨大な人形が立てた音であった。
最大高さ35mのゴーレムの姿が完全なものとなり、轟音を立てながらゆっくりと立ち上がる。既に素体の造形は完了し、日の落ち始めるる頃には岩塊の巨人が自律して歩き出すことだろう。

GM:ゴーレムの肩には細身の剣を帯びた女性のドレイク、“城崩し”のエルナルート=エーゼインが立っていた。
エルナルートはゴーレムの肩に造られた石造りの椅子へと腰を下ろす。
地上30mの視座からは大裂穴の先にある《ヒスイドラ》の街がよく見える。
彼女はゴーレムを通して、今度は簡素な汎用蛮族語で眼下に広がる配下へと指示を出した。

ドレイク:『全軍、前へ! 貴様らに退路はない。進め!』

GM:◆描写◆
巨大なゴーレムを操る彼女にとって、妖魔達は露払いの雑兵に過ぎない。
更に上位の蛮族、“千剣伯”から《ヒスイドラ》攻略の命を受けた彼女は最初からゴーレムを街にぶつけるつもりだった。
ゴブリンをはじめとする妖魔達は碌な戦術も取れないが、数だけは揃っている。彼女は7割までの損失を許容していた。
《ヒスイドラ》の街の城壁にゴーレムを激突させ、人族の街に打撃を与えることがエルナルートに課せられた任務である。

先んじて進軍を開始した妖魔達は、人族の兵力を削り足止めを行うための捨て駒だった。

ノア:「……動き出したか。でかいな」*遠眼鏡で覗きながら
モニカ:「お願いだからもう少しだけ大人しくしてて……!」
ヴァルト:「あれが……ドレイクの力か」
ヨルズ:「射撃ポイントまで残り少しだ……急ぐぞ!」
エンデ:「妖魔達は固まって進軍してる。周囲に敵がいない内に早く!」

GM:エルナルートの号令に呼応し、妖魔達が雄叫びを上げる。 彼らは粗雑な武器を掲げダルクレムを讃える鬨の声を上げると、闇雲に人族領域に向かって進軍を開始した。

GM:◆ ◆ ◆ ◆ 
GM:同時刻、冒険者ギルド《空の麓》亭 会議室にて
シタン:「やれやれ、彼らは上手くやってくれるかねぇ?」

220331 シタン2

◆NPC解説◆
《指踊りの杖》シタン=ケランジィ(メリア長命種/男性/140歳程)
冒険者ギルド《大地の見張り》亭の支部長。ヘラヘラとした胡散臭い男。
若者をおどかす悪癖があり、常に飄々とした態度を崩さない。
ギルドの運営自体は真面目に取り組んでいるようだ。

シタン:「実績アリと言っても彼らはまだ若手……今回の山は大きすぎると思うがねぇ」*珍しく真顔
ジムレド:「ふん、賽は投げられたのさ」
ジムレド:「今更老いぼれが悩むことじゃなかろうに」
ジムレド:「それに……アンタちっとも不安に思ってないだろ」
シタン:「……」*いつもの笑みを浮かべる
GM:◆ ◆ ◆ ◆ 

GM:大裂穴、緩衝地帯中腹……

GM:◆描写◆
進軍開始から1時間程が経過した。
耳障りな金切り声を上げ、フッドの軽装歩兵部隊が前線を突っ切っていく。
彼らは一様に戦闘の熱狂に浮かれ、戦いに伴うリスクも考えてはいない。
故に、彼らを除く妖魔達の全員が、彼らを威力偵察のための捨て駒だと認識していた。

GM:砂煙を上げながら《ヒスイドラ》の街目掛けて走る彼らの視界に、1人の人間が映る。両手剣を携えたその人間は年若い青年で、彼らの行く手を遮るように待ち構えていた。
青年は自信げに剣を携え、まるで自分一人で全員足止めできると言いたげな表情さえ浮かべている。
フッド達は雄叫びを上げ、命知らずを八つ裂きにせんと武器を構えて剣士の元へと殺到した。それを見た青年の表情が勝利への確信へと変わる。

GM:一拍置いて、剣士の後方から一本の矢が飛来しフッド達の前方数mの地面に突き刺さった。その瞬間、矢の刺さった周囲の地面にマナの光が迸り、激しい爆発を巻き起こす。
剣士はフッド達の注意を惹き付ける囮であり、彼らは最初から罠を張って待ち構えていたのであった。

ムートン:「まずは5体……。まだまだ行くぜ!」
ウール:「油断しないで、ムートン! こっちは寄られたら終わりなのよ!」
スエード:「罠はまだあるけど、追い込む必要がある。前に出るよ!」
ムートン:「上等ッ! 《荒野の足音》亭の実力、見せてやらぁ!」
ムートン:*剣を構えて前進!

◆NPC解説◆

《不倒の》ムートン(男性/18歳/人間)
冒険者ギルド支部《荒野の足音》亭に所属する冒険者。
大剣を得物に、後衛を守りながら戦うスタイルを得意とする。
対多数の戦闘で実力を発揮するタイプであり、粘り強く戦う。

ウール(女性/35歳/エルフ)
《荒野の足音》亭に所属する冒険者。
妖精神アステリアを信仰する神官にして腕利きの射手。
遠方からの狙撃や罠の起動など、パーティの後衛として戦術の基幹を成す。

スエード(女性/17歳/リカント(レッサーパンダ))
《荒野の足音》亭に所属する冒険者。
器用な手先を活かし、斥候兼軽戦士として活躍する。
爆発性の罠は彼女の考案であり、マギスフィアを使用するらしい。

20220515 荒野の足音亭

絵:シロクニさん

GM:◆描写◆
最前線が掻き乱される中、ゴブリンの歩兵部隊が喚き声を上げて二手に分かれる。フッド達をなぎ倒す冒険者達との交戦を避け、安全に前進する腹積もりだ。乱戦が繰り広げられている前線を迂回し、二つの部隊が再び合流したその時。
ゴブリン達を見下ろせる、切り立った岩の上で小柄な人影が立ち上がった。

フードを被ったレプラカーンの魔術師は手にした小型ナイフを構えると、詠唱と共に前方へと突き出す。
魔法の発動体を兼ねるナイフの切っ先からマナの火球が放たれ、ゴブリンの軍団へと着弾すると同時に数体を吹き飛ばした。

GM:戦線を崩され、泡を食って取り乱すゴブリン達に岩陰から飛び出してきた数人の冒険者が切り込んでいく。

短剣を携えた人間の青年が戦場を駆け抜け、次々にゴブリンを斬り付ける。
サーベルを鞘に収め、居合の構えを取ったナイトメアの青年が鋭い剣撃でゴブリンを斬り伏せる。
両手に一本ずつ戦斧を携えたドワーフの戦士が戦場の中心に飛び込み、力任せにゴブリンを薙ぎ倒していく。
魔法と前衛の波状攻撃により、ゴブリン達の歩兵部隊は壊滅寸前であった。

モナド:「まだまだ行くわよ! 【エネルギー・ボルト】!」
ウェイン:「ウェーイ!! 《黒曜石の小剣》亭、只今参上! 的な?」
アーシュ:「魔法の援護に乗じて突っ込めば、十分数を減らせますね……このまま押し切りましょう!」
アンドリオ:「ガッハハハ! もっと骨のある奴はいねぇのか!? この俺様を倒せる奴はよぉ!」

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絵:左からとらこさん/出典:えもめん 様/Picrew/シアンさん/シロクニさん

◆PC解説◆

ウェイン・エアハート(男性/21歳/人間)
PL:影山とらこ
《黒曜石の小剣》亭に所属する冒険者。
軽い身のこなしを活かして斥候・軽戦士として活躍する。
飛び抜けた器用さと敏捷さを誇り、トリッキーな動きで敵を挑発する。

モナド・アーセナル(女性/15歳/レプラカーン)
PL:シアン
《黒曜石の小剣》亭に所属する冒険者。
真語魔法を修めた魔術師であり、発動体に小型ナイフを使用している。
同僚のウェインの軽薄な言動には度々苦言を呈しているが半ば諦め気味。

アーシュ(男性/22歳/ナイトメア)
PL:つなこ
《黒曜石の小剣》亭に所属する冒険者。
サーベルを得物とする軽戦士で高い技量を持ち、敵の隙に合わせて使用する必殺の斬撃は金属製の魔動機兵すら両断する切れ味を誇る。

アンドリオ(男性/34歳/ドワーフ)
PL:カツオ
《黒曜石の小剣》亭に所属する冒険者。
両の手に斧を持って戦う、豪快な戦闘スタイルで知られる男。剛力と斧の重量の合わさった二連撃は負荷に相応しい破壊力を持つ。

GM:◆描写◆
前方の混乱を察知した後衛のゴブリン達は前線を援護すべく、慌てて投石の準備を始めた。
革紐に取り付けられた帯に石を包み、頭上で紐を振り回し始める。
前線で戦うアンドリオ目掛けて石が放たれようとした、その時であった。

GM:乾いた音と共に投石ゴブリンの額に穴が穿たれ、出鱈目に放り投げられた石が隣のゴブリンの頭に激突する。
投石ゴブリン達は慌てて周囲の岩陰に身を隠そうとするが、次々と矢や弾丸が放たれ胸や喉を貫いていく。

驚愕したゴブリン達が射撃の飛んでくる方向に目を向けると、切り立った岩の上に数人の冒険者が陣を構えていた。
《ガン》による射撃と長弓の狙撃に晒されたゴブリン達は、石を投げる間もなく制圧されていく。

セリーヌ:「第一射終了! 装填に入るのです」
クレバァ:「良い狙いだよ、お嬢ちゃん!」
クレバァ:「長期戦になりそうだ。【クイックロード】は使わずに交代で撃ち続けようじゃないかね」
セリーヌ:「任せるのです! マナの総量には自信があります。このまま奴らを押し込むのです!」
ノンナ:「よ~し、牽制は任せてよ! キュラソーさんとアタシは、矢の続く限り射掛けるから!」
キュラソー:「ノンナ君の矢で奴らを追い立て、生まれた隙に私の狙撃を叩き込む! 最高に“Intelligence”な戦い方ではないかね!」

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絵:左から黒凛さん/ぽえこさん/カツオさん/鍵狐さん

◆PC解説◆

セリーヌ・ヤクロヴァー(女性/23歳/ドワーフ)
PL:黒凛
《海峡の巡礼者》亭に所属する冒険者。
傘型に改造した《ガン》を武器とする魔動機術師にして射手。戦闘時は精密な射撃と高いマナ量を活かした支援射撃を得意とする。

クレバァ(女性/10歳/ルーンフォーク)
PL:ぽえこ
《黒曜石の小剣》亭に所属する冒険者。
老婆のような外見に反して稼働年数10年のルーンフォーク。口調や振る舞いは外見相応のものを取っている。閃光弾を使った戦術的射撃を得意とする。

ノンナ・ナンナ(女性/19歳/リカント(タヌキ))
PL:カツオ
《黒曜石の小剣》亭に所属する冒険者。
狩りで培った弓の技術と、独学で学んだ錬金術の技能を持つ。戦闘時は仲間の攻撃を賦術でサポートしつつ射手として前線を支援する。

キュラソー・バレンシア(男性/10歳/ルーンフォーク)
PL:鍵狐
《黒曜石の小剣》亭に所属する冒険者。
大弓を武器とする射手であり、最大まで引き絞った弓で敵の弱点を射抜く狙撃を得意とする。その威力は決まれば絶大。口癖は“Intelligence”。

GM:◆描写◆
ゴブリン達の部隊が瓦解し始めたのを察知し、ボルグ達の重装歩兵部隊は静かに意思疎通を図っていた。
ボルグ達は隊列を敢えて崩し、各々の判断で進軍を開始した。
ある者は岸壁をよじ登って迂回し、ある者は岩陰を伝って全速力で前進する。
冒険者達の攻撃対象にならないよう分散して行動しつつ、目指す場所はゴブリン投石部隊に射撃を仕掛ける冒険者の陣だ。

GM:弓や銃を扱う冒険者は、白兵戦には為す術がない。
手にした剣で人族を蹂躙する様を思い浮かべ、邪悪な笑みを浮かべた一人のボルグがいよいよ冒険者達の岩山によじ登ろうとした所だった。
岩と荒地ばかりの地面から突如として蔦草が生え、ボルグの四肢と胴体を締め上げる。
慌てて周囲を見回すと、同じように岩山に接近しようとした同胞達が揃って蔦草に巻き取られている。

GM:蔦に囚われた同胞を助けようとして投槍や手投げ斧を構えたボルグ達は突如として強烈な目眩に襲われ、出鱈目な方向に武器を投げる。
幾本かの武器が蔦ではなく仲間に当たり、怒号と悲鳴があちこちから上がり始めた。

アドリー:「我が神の戒め……実感してくださいねー」
カルミア:「妖精神アステリアの幻惑、効果抜群だね~!」
アドリー:「さてさて。釣り出しは上手くいったみたいですがー」
カルミア:「あとは前衛組が蹴散らすだけだね!」

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絵:左からゆたさん/Dr.夢宇さん

◆PC解説◆

アドリー(男性/88歳/メリア(長命種))
PL:Dr.夢宇
《黒曜石の小剣》亭に所属する冒険者。
樹神・ダリオンに仕える神官で間延びした喋り方が特徴。
深い知識と神聖魔法によりパーティ全体の生存率を底上げする。

カルミア(女性/15歳/メリア(長命種))
PL:ゆた
《海峡の巡礼者》亭に所属する冒険者。
妖精神・アステリアに仕える神官でマイペースな性格。神聖魔法による援護や薬草の活用による味方の手当など、頼れる支援役として活躍する。

GM:◆描写◆
何とか強引に蔦を解き、自由を取り戻しつつあるボルグ達の頭上に小柄な人影が躍り出る。
青色の衣を纏った人影は俊敏な動きでボルグ達の間をすり抜け、時に重力を無視した立体的な機動で戦場を駆け抜けた。
瞬く間に幾体かのボルグの首筋や胸に裂傷が生まれ、悲鳴が上がる。

GM:グラスランナーの錬金術師は手にした柄状の装置に新たなマテリアルカードを差し込み、切れ味の落ちた刀身を分解する。
代わりに形成された鋭い刃を確認すると、続いて金色のカードを装置にセットし凶暴な妖魔達の只中へと再び飛び込んでいった。

GM:一方、投槍を構えたボルグ達の許には両手槍を構えた戦士が突進してきた。長槍の戦士は薙ぎ払いを繰り出し、ボルグ達が近接武器に切り替えるより早く攻め手を封じていく。
対するボルグ達は遠間から武器を投げつける粗雑な投擲攻撃を繰り出すが、鎧で固めた長槍の戦士は練技によって防御を固め、生半な攻撃を弾き返してしまう。

GM:不利を悟ったボルグ達は散開して立て直しを図ろうとした。
その矢先、空中から2mを超す大柄な人影が飛来する。同時に着地点近くに居た数体のボルグが吹き飛ばされ、戦線を離脱した。
立ち込める土煙を翼で打ち払い、姿を現したのは重厚な筋肉を纏うリルドラケンの拳闘士である。
拳闘士は静かに構えを取り、息を整える。強烈な殺気が放たれ、ボルグ達の間に確かな戦慄が走った。

ミィナ:「遅すぎるよ。これだけ数がいるんだから、一人くらい私を捕まえてみなよ」
ジェレミール:「き、騎士の誇りにかけて! 俺の仲間に手は出させん!」
キリュー:「死にたい奴から前に出ろ。来なければこちらから出向くがな」

画像13

絵:左からあざらしさん/影山とらこさん/デオンさん

◆PC解説◆

ミィナ(女性/17歳/グラスランナー)
PL:あざらし
《海峡の巡礼者》亭に所属する冒険者。
錬金術師にして斥候であり剣士。戦闘時は刃状の武器を素材から形成して用いる。好奇心を持て余し、刺激に飢えたリスクジャンキーな一面を持つ。

ジェレミール・ド・セルジュ(男性/28歳/人間)
PL:影山とらこ
《海峡の巡礼者》亭に所属する冒険者。
騎士を自称する男性。実際は「騎士を継ぐ」ことを遺言で頼まれた元農民。
臆病な言動が目立つが、独自の騎士道に由来する勇敢さと技術は本物。

キリュー・シアーズ(男性/40代/リルドラケン)
PL:デオン
《黒曜石の小剣》亭に所属する冒険者。
筋骨隆々の体躯を誇る拳闘士。鍛え上げられた身体から繰り出す拳や蹴りは一撃一撃が抜群の破壊力を持つ。寡黙な印象に反し、内心は意外と愉快。

GM:脅威はゴーレムだけではない。100を超す妖魔の軍団による物量に対してジムレドとシタンが用意したのは、《ヒスダリア》と《グランティン》にある複数の冒険者ギルドに対する支援要請だった。
GM:各地に潜伏しているレッサーオーガの密偵に察知されない、ルーキー冒険者達。その中でも選抜したパーティを魔動列車によって昨晩呼び集め、事前に大裂穴に展開したのだ。
GM:《荒野の足音》亭、《海峡の巡礼者》亭、そしてヒスダリア最大最古の支部、《黒曜石の小剣》亭。3ギルド4パーティの合同作戦が展開され、妖魔の軍団を各地で押し留めていた
GM:大裂穴の各地で熾烈な戦闘が始まり、魔法の炸裂する爆発音、刃と刃が激突する剣戟音、拳が肉を砕く音が響き渡る。
ヒスイドラ防衛戦の幕は、今ここに切って落とされた。

3. ヒスイドラ防衛戦 -対巨大ゴーレム砲撃作戦-

エンデ:「……! 始まったみたい」*喧騒を聞き取る
ヴァルト:「賑やかそうだな」
ノア:「腕の立つ冒険者4組だったか。随分集めたな」
ノア:「しかし心強い。こちらも専念できるというものだ」
ヨルズ:「事前に進軍経路を予想して援軍を配置してもらったおかげで、我々が妨害される恐れはなさそうだな」
モニカ:「このまま砲撃ポイントに急ぎましょう!」*スロットルを握り

GM:◆描写◆
ジムレドの修復した魔動大砲を牽引し、PC達は《元ヒスドゥール大裂穴》の西側エリアを到着していた。
複雑に岩山の乱立する西側エリアは視界を阻むものが多く、進軍してくる大型ゴーレムからは死角となる位置も多い。
PC達は魔動機の部品を抱えて岩山を登り、平らになった高台で組立作業を開始する。

1時間ほど組立作業を続けると、ジムレドの復元した巨大魔動大砲がその威容を顕にした。
長大な砲身と各種照準装置を備えた、強力な対物攻撃兵器。
PC達は照準装置の操作を再度確認し、戦闘の開始に備える。

モニカ:「砲身固定よし……チェック」*手元の紙に書き込む
ノア:「ぬぅ……やはり砲弾が重たいな」*箱から砲弾を取り出す

GM:◆描写◆
日が傾き始めた夕刻頃、前方1kmほどの地点から閃光弾が撃ち上げられた。
事前に示し合わせておいた合図、ゴーレムの接近を告げる【シグナル・バレット】だ。

赤く染まる空に、巨大な影が揺れている。
ゆっくりと南に歩を進める、巨大なゴーレムの姿だ。

PC達はこれから砲撃を行い、ゴーレムの足止めを行う予定になっている。
街への直撃を避けるためには、ここでゴーレムの脚を止めるしかない。

GM:ではここで砲撃時の処理を。
GM:PC達が1人ずつ「1d6」を振り、出目を合計します。
GM:PC達の出目の合計値が一定を上回った場合、命中といたします。
GM:砲撃は合計3回行います。1発当てるごとに、ボーナスとしてシナリオボスのHPを-3点いたします。
GM:命中難易度は砲撃を当てる事に上昇します。それでは……どうぞ!

モニカ:「合図の照明弾を確認! ……総員、砲撃用意!」
ノア:「了解!」
ヴァルト:「さっさと始めようぜ!」
エンデ:「観測準備、よーし!」*一際高い岩山に登っている
ヨルズ:「計算工程は頭に叩き込んである。いつでも大丈夫だ」

GM:それでは……第一射! ダイスロールをどうぞ!

ノア: 1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 6

モニカ:うまい!
GM:うわぁぁあ! 幸先良!!
エンデ:おじょうず!
ノア:まだ腰が元気のようだ

GM:お次はエンデさん 目標までの距離を図るのだ!
エンデ:1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 5

GM:う、うわぁぁぁあ!!
モニカ:うまい!!!
ノア:良い出目
ヴァルト:勝ったな ああ
ヨルズ:勝った!
エンデ:幸先ヨシ!

GM:続いてヨルズさん! 目標までの距離から射角を計算するのです
ヨルズ:1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 6

GM:!!?!??!?!?
モニカ:とどいた!!!!
GM:もう17届いたじゃん……
ヴァルト:あまった
ノア:ここからはパーフェクトゲームか
エンデ:なんということでしょう
GM:よし、いいだろう 
GM:今回のロールで22以上に到達したら更に2点ボスのHPを削っても良い
モニカ:うひょ!
エンデ:ボーナスゲームだ!

GM:さぁヴァルトくん! 射角調整を実際に行うのだ!
ヴァルト:1d6 うぇーい!!
SwordWorld2.5 : (1D6) → 6

モニカ:!?!?!?!
ヨルズ:!?
GM:あぁぁぁぁぁぁ!??!?!?
ヴァルト:うほほw
エンデ:届きましたね……
ヨルズ:おかしいよなぁ!
GM:23だと……!?
ノア:おおう、初回からでかい

GM:じゃ、じゃあ! 27まで言ったら更に-1するよ……!
GM:モニカさん、歩き寄るゴーレムの脚に照準を合わせて……撃てー!
エンデ:モニカさんいけぇーーーっ!!!

モニカ:1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 6

GM:ああああーーーーッ!?
エンデ:あたし以外6出してるの?????
ヨルズ:エンデちゃんが一番低い(5)
ノア:全員でおかしいでござるなあ
GM:一発でボスのHP-6点……2発分通ったのと同じ効果だ

ノア:「砲弾用意とマナの充填完了! エンデ、敵の距離と方角は!?」
エンデ:「距離1200m、風は穏やかでほぼ無風。11時の方角、岩山越しにゴーレムが歩いてきてるよ!」*両手を広げて風の観測
ヨルズ:「承知した。……砲塔旋回角度と砲身仰角を指示する。ヴァルト、操作を頼むぞ!」*2つの角度を指示
ヴァルト:「密偵の器用さの見せ所だな……こんなもんか」*調整

GM:大砲の操作部分から空中に表示されたマナディスプレイに標的の姿が映し出され、照準カーソルが膝部分へと固定される!

モニカ:「全工程、よし! 狙うは脚部……!」
モニカ:「――今!」*発射押釘を叩く

GM:長大な砲身が轟音を轟かせ、重さ30kgの魔晶石焼結弾を凄まじい初速で発射!反動を吸収するために砲身が2m後退し、複座装置によってゆっくりと元の位置に戻っていく!

GM:ヨルズの計算によって曲射弾道を描く砲弾はPC達の姿を隠す岩山を飛び越え、ゴーレムの右膝へと着弾!
砕けた魔晶石が連鎖的に純エネルギー破壊反応を起こし、岩の巨人の脚に深々と傷を刻み付ける!

ドレイク:「ぐっ……!? 何が起きた……魔法か!?」*揺れる座席にしがみつきながら

ヨルズ:「やったか!?」
ヴァルト:「み、耳が……!」*ビリビリ
ノア:「耳栓を持参していて助かったな」*両手で耳栓を押さえ

モニカ:「エンデさん! 着弾観測を!」
エンデ:「ほぼ狙い通りの位置に着弾! 最高かも!」
ノア:「素晴らしい成果だ。皆の連携あってこそだな」
ヴァルト:「だが、これで相手も警戒するぜ。畳み掛けるぞ!」
ヨルズ:「同感だ。すぐに次の用意を!」
モニカ:「第二射に入ります! 排莢に注意してください!」

GM:それでは第二射を。目標19です。

ノア:1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 4
エンデ:1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 2
ヨルズ:1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 6
ヴァルト:1d6 
SwordWorld2.5 : (1D6) → 3
モニカ:1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 1

エンデ:うわあああん!!
モニカ:グアーッ!!!
ノア:まあ19は期待値以上だからね、そんなこともあるさ
ヴァルト:初回最強だったし ま、多少は……

ノア:「うぅ、2つ目はやはり堪える」
モニカ:「(本来数名で持ち上げるものだけど……皆持ち場は離れられない……ノアさん、頑張って!)」*苦渋
エンデ:「がんばってノアさん!」
ノア:「明日は筋肉痛かもしれないな、これは」*苦笑
エンデ:「距離1150m! 方角はさっきと同じ11時!」
エンデ:「西向きの風が吹き始めたかも。ちょっと強いよ!」
エンデ:「(風の妖精さんと契約してくればよかった)」*ちょっと後悔
ヨルズ:「弾道を修正する!」

GM:大裂穴に西向きの風が吹く! しかし砲撃の手を緩めれば損傷を修復されてしまう可能性があった。
砲身へのダメージによる歪みも僅かに考慮しつつ、モニカは慎重に狙いを定め発射ボタンを押すが……!

モニカ:「(いけない、手応えがない……逸りすぎた!)」*汗が滲む

ドレイク:「南から砲撃か。小癪な!」*魔力で障壁を張り、弾道を逸らす
GM:*着弾先の岩山が豪快に崩れ、ゴーレムの脚が止まる!

ノア:「状況はどうなっている?」
ヴァルト:「岩山が崩れたぞ!?」
モニカ:「エンデさん……! 今のは!」
エンデ:「方角がバレたから魔法で弾かれちゃったみたい!」*悔し気に
モニカ:「っ……ごめんなさい! タイミングを誤りました」
ヴァルト:「今は気にすんな! それよりも砲身が熱と衝撃で歪んでる……ヨルズ、計算に入れといてくれ!」
ヨルズ:「発射間隔がかなり短いからか……まずいかもしれないな」
モニカ:「泣いても笑ってもあと一発……第三射、準備お願いします!」

GM:それでは……第三射! やはり目標は19

ノア:1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 4
エンデ:1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 4
ヨルズ:1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 4
ヴァルト:1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 1
モニカ:1d6
SwordWorld2.5 : (1D6) → 2

ヴァルト:ガビーン……!!
エンデ:ああああ!!
ノア:まぁ方角がバレてるからね……!
エンデ:最初がでかかったからヨシ!

ノア:「最後の弾を入れた、頼むぞ!」
エンデ:「あいあいさー!」*耳が痛くなってきた
ヴァルト:「保ってくれよ……!」*砲身を見ながら
ヨルズ:「何とか当たってくれ……!」
モニカ:「……っ!」*発射!

GM:PC達は第三射を準備!
西向きの風が強まる中、最後の砲弾を発射する!

エンデ:『届けーっ!』*妖精語
モニカ:「これで最後、お願い……!」

GM:PC達の位置を既に見切っていたドレイクは先ほど同様魔力の込められた一撃で砲弾を弾き返す! 先ほどと同じく周囲の岩山へと着弾!
GM:しかし、先の砲撃を逸らされた岩山が突如として崩壊を始める! ゴーレムの脚が引っかかり、動きに支障が出始めた。

ヨルズ:「これは……!?」
ヴァルト:「ゴーレムの動きが鈍ってやがるぞ!」
ノア:「どうやら、さっきの砲撃も今のも無駄ではなかったようだな」*双眼鏡で覗きながら

GM:第二射の砲弾を周囲の岩山へと逸らした時点で勝負は決まっていた。
起動を最優先に、細かい動作調整を行わず造られたこのゴーレムは、「足元の障害物を避ける」というロジックが組み込まれていない。
GM:弾き逸らした砲弾が招いた岩山の崩壊。『南に向かって歩き続けろ』と指示されたゴーレムの動きを止めるには、それで十分だった。

ドレイク:「なっ……い、岩山が崩れて脚に! この……これくらい踏み越えて進まんか!」*ゴーレムを引っ叩く

GM:小山ほどもあるゴーレムの脚が崩れてきた岩山に激突!
その負荷で第一射で致命傷を負った右膝が砕け、巨体が前方へと倒れこむ!

エンデ:「足元が悪くなってバランスが……!やったね!」
ヨルズ:「直撃はしなかったが……嬉しい誤算だな」
モニカ:「よかった……ありがとう」*砲の操作部をさする
ノア:「運も実力だ。みんな、お疲れ様。よくやってくれた」
ヴァルト:「ふぅ……ヒヤヒヤさせるぜ」
ノア:「一息入れたいところだが、後詰もある。皆、次の準備に移ろう」

GM:それではエンデさん。難易度13で危機感知判定をどうぞ

エンデ:2d6+3+3 //スカウト観察判定パッケージ
SwordWorld2.5 : (2D6+3+3) → 11[6,5]+3+3 → 17
成功!

GM:なんと!?
ヴァルト:ナイスだ!
ノア:アイコピー!
モニカ:つよい!!!
エンデ:ふふーん!
モニカ:さすが鷹の目は伊達じゃない!

GM:パーティで一番目の良い射手のエンデは夕焼け空に影を見る。
崩れゆく岩山から飛び離れ、皮膜の翼で空を舞うドレイクの影を!
GM:夕日を背に、臙脂色の衣服を纏ったドレイクは暫らく優雅に滞空していたが……PC達の姿を見つけると、勢いよく皮膜の翼を羽撃いた。

エンデ:「ドレイクがこっちに来る……速い!」

GM:豆粒に見えるほど離れていたはずの距離が一瞬にして詰められ、魔力を帯びた剣の一撃が魔動大砲と諸共に岩山を割砕く。
飛来の数瞬前に岩山から飛び降り、陣を整えていたPC達に向かってドレイクは静かに視線を投げかけた。

4.  “城崩し”のエルナルート=エーゼイン

220418 ドレイク

絵:のっち

◆GMのメモ・NPC解説◆

《城崩し》エルナルート=エーゼイン(女性/ドレイク/25歳)

《元ヒスドゥール大裂穴》に集う蛮族の一人。上位の蛮族からの命を受け、大裂穴の淵の町《ヒスイドラ》攻略戦の指揮を執る。
巨大なゴーレムを製造する非凡な才能を持ち、攻城戦に用いてきた実績を持つ。また、ゴーレムを抜きにしても配下の運用や個人での戦闘など上位蛮族ドレイクに相応しい実力の持ち主である。

モニカ:「なっ!」*破壊された大砲を横目に
ヴァルト:「本陣に出向く手間が省けたな」*武器を抜く
ノア:「あちらから来るとはね。想定外だが、嬉しい誤算だ」

ドレイク:「外したか。惜しいな」*剣を構えなおす
ドレイク:「まずは賞賛しておこう。よもや貴様ら人族に、私のゴーレムを止められるとは」

ドレイク:「……だが、それは大局に影響を及ぼすことはない」
ドレイク:「妖魔の軍団など幾らでも補充が効く。貴様らをここで排除すれば私はゴーレムを作り直せる」

ヴァルト:「完璧な作戦だなぁー」
ヴァルト:「でも、それはアンタが死んだら全部うまくいかないよな?」*挑発するような笑みを浮かべる
ノア:「のこのことやってきた敵を黙って見逃すほど、我々は甘くないぞ」 *剣を抜きながら

ドレイク:「ほう……この私に勝つ気でいるのか」
ドレイク:「良いだろう。ならばその身と魂に刻んでくれる」
ドレイク:「“城崩し”エルナルート=エーゼインの戦いを!」

ヴァルト:「そうこなくちゃぁな」*獣化
エンデ:「とーぜん、私たちが勝つ!」*弓を取り出す
ヨルズ:「来るか……!」*武器を構える
ノア:「今までの相手とは別格だ。皆気合を入れてくれ!」
モニカ:「主よ……お力添えを!」*ヴィントシュトレ、形態移行!

GM:ドレイク、エルナルートは懐から数個の黒い石を取り出した。
彼女が石を周囲の地面に投げ放つと、それは落下と共に砕け散り中から黒い影のようなもやが吹き出す。
もやは瞬く間に屈強な戦士のような姿へと収束した。
ドレイク族が作り出し、使役する魔法生物“ガスト”の兵だ。

合計4体の兵を展開したドレイクは、戦闘態勢に入った。

220427 ガストナイト

◆GMのメモ◆
【ガスト】

地上を彷徨う魂と影を結びつけることで生まれるとされる魔法生物。
ドレイク族の術によって作り出され、使役されることが多い。
ドレイク達はこれを戦闘時の手勢として運用する他、配下の蛮族に持たせることもある。

GM:配下を展開したドレイクとPC達は真正面から睨み合う。
GM:それではシナリオもクライマックス……戦闘開始ー!

→ To be continued……

←第五話「大裂穴の町、ヒスイドラ防衛戦」前編

第五話「大裂穴の町、ヒスイドラ防衛戦」後編→

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