見出し画像

[導入事例]リモートワークを言い訳にしていませんか?なぜあなたの会社がうまくいかないのか - Voicy対談

※2020年10月取材の記事です

リモートワークを導入したものの、うまくコミュニケーションが取れないと悩む企業も多いのではないでしょうか?
今回登場するのは、Voicyチャンネル「論語と算盤と私とボイシー」のパーソナリティ朝倉祐介さんと、2014年の創業期から社員全員がリモートワークで働く株式会社キャスターCOOの石倉秀明さん。パーソナリティの朝倉さんが、自身のVoicyチャンネルの中でゲストの石倉さんにリモートワークでのコミュニケーションについてお話を伺っています。

※この対談は声でもお聴きいただけます。記事の最後の方にあるVoicyで再生してください。

お話を伺った人

左より、朝倉さん・石倉さん

■朝倉 祐介 さん
シニフィアン株式会社共同代表。マッキンゼー・アンド・カンパニー入社を経て、大学在学中に設立したネイキッドテクノロジー代表に就任。ミクシィ社への売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。退任後スタンフォード大学客員研究員を経て、シニフィアンを創業し現職。Voicyでは「論語と算盤と私とボイシー」のパーソナリティを務める。スタートアップの経営支援に携わる朝倉さんによる、視座の高いお話がビジネスパーソンに大人気のVoicyチャンネル。

■石倉 秀明 さん
700名以上の従業員がリモートワークで働く、株式会社キャスター取締役COO。リクルートHRマーケティング入社後、リブセンスに転職し、DeNAを経てから現職。2019年より「bosyu」の新規事業責任者も兼任。近著に「コミュ力なんていらない」(マガジンハウス)、「会社には行かない」(CCCメディアハウス)がある。
Twitter:@kohide_I

[事業紹介]株式会社キャスターとは

朝倉:
キャスターさんはバリバリにリモートワークで活動していらっしゃる、言うなれば時代を先取りしていた会社さんですよね。みなさんにも参考になる点があるんじゃないかなと思いまして、リモートワークの所感みたいなところを伺ってみようと思います。
まず石倉さんのバックグラウンドと、株式会社キャスターさんってどういう会社?というところを教えていただけますか?

石倉:
キャスターとの出会いと経緯を簡単にお話すると、初めはキャスターのお手伝いをしながら、自分の会社の経営をしていました。

朝倉:
元々のご自身の会社というのは、どういう事業だったんですか?

石倉:
元々は僕ひとりの会社で、いろいろなベンチャーの採用支援や事業支援などをしていました。ひとりなので業務を請け負うことも難しくて、コンサルティングのような形で「こうしましょう、ああしましょう」というところまでお話させていただくんですけど、実務はその会社の人にやってもらう、という支援の仕方が多かったですね。これは、CASTER BIZ recruitingというサービスの原型にもなっています。

いろいろな会社さんを支援しているとき、「来週はこれをやりましょう」と決めたにも関わらず、次の定例に行くと、忙しくてその通りできていなかったり、工数も無いのでやろうとしても上手くいかなかったり…。そういう会社を何社も見てきたんです。

果たしてこれは役に立っているのか?と感じていて、本当に事業や採用のお手伝いをするのであれば、実際にその実務まで入り込んで結果を出すところまでやらないとだめなんじゃないかな、と思っていました。

そこで自分たちで人事を採用して、戦略の設計から実際の運用、オペレーションまで、採用業務をまるっとやります!というCASTER BIZ recruitingの原型となるサービスを立ち上げたのが、2018年の頭くらいですかね。

朝倉:
なるほど〜。変な言い方になっちゃいますけど、ミイラ取りがミイラになったような感じですね。

石倉:
そうですね。元々キャスターでやっていたビジネスモデルと近いということもあり、その事業を立ち上げたタイミングで会社をキャスターに売却させてもらって、一緒にやりましょうということになりました。


採用業務をまるっとお手伝い!CASTER BIZ recruiting

CASTER BIZ recruitingは、採用のプロが3名のチーム体制で企業の採用業務を遂行し、忙しい採用担当者を採用実務から開放するというサービス。
採用戦略の立案。プランニングから求人媒体の運用、ダイレクトリクルーティングや候補者対応など、人事のプロに、採用と面接以外をすべてまるっとお任せできるんです。最短で申し込みから2日でスタートが可能です。

全国で700名以上がフルリモートで働く、キャスターの事業とは?

朝倉:
CASTER BIZ recruiting以外にも、キャスターさんはいろいろな事業をなさっているようですが、どういう会社なのでしょうか?

石倉:
設立が2014年9月で、2020年9月から7期目に入りました。全員が創業期からフルリモートワークで働いている会社で、今は全国で700名くらいのメンバーが働いています。
事業としては大きく3つ領域がありまして、1つ目は「CASTER BIZシリーズ」というBPO領域の事業です(BPOとは、ビジネスプロセスアウトソーシングの略。経理や営業など業務の一部のプロセスを外部の会社に外部委託すること)。オンラインアシスタントだったり、オンラインで採用や、経理のお仕事を請負ったり、「キャスタービズシリーズ」と僕らが呼んでいるオンラインでのBPO領域の事業があります。

2つ目は、派遣などの紹介事業もフルリモートで行っています。他社さんにリモートワーク可能な人をご紹介するという事業ですね。

3つ目は、リモートワーク導入のコンサルティング事業です。最近はリモートワークを導入したい会社も増えてきているので、そこに対してのコンサルティングやノウハウの提供をする事業も少しずつ始めています。

リモートワークだからうまくいかないと思っている問題のほどんどは、リモートワークのせいじゃない

朝倉:
なぜ今まで、リモートワーカーの方々と働くのが根付かなかったかを考えると、慣れていないし、難しそうというイメージがあったと思うんです。
その点、キャスターさんの場合はそれを真正面から捉えて事業なさっているんだと思いますが、リモートワークがうまくいく秘訣があるんでしょうか?

石倉:
実はこれっていうものがあるかというと、ないんです。私も約5年キャスターで仕事をしていますが、例えば経営上、事業上の課題で、リモートワークだからこそ起きた課題ってまだ一個も出会ったことないんですよ。

朝倉:
へ〜〜!そうなんですね。

石倉:
「事業が伸びていない」「リソースをどこに集中するべきか」みたいな話や「ミドルマネジメントをどう育てていくのか」という課題って、どのスタートアップでも会社でも、成長すると起きることだと思うんです。そういう課題はあるけど、リモートワークだから起きてる課題はほとんどないんじゃないかなと思います。
我々の会社の中でよく言ってるのは、例えば何かうまくいかなかったときに、それはリモートだからうまくいかないのか?と考えるのではなくて、例えば元からの目標設定とか、設計とか、やり方がよくないからうまくいかないのか?という風に、場所のせいにしないでちゃんと考えていくようにしています。
そうするとリモートワークのせいだってことは、ほぼないなということに行き着きました。

朝倉:
なるほど!

石倉:
みなさんまだリモートワークに慣れないので、何か起きたときに「リモートワークのせいなんじゃないか」と思いがちですが、リモートワークだから起きていること/そうじゃないこと、というのを分けていくと、実はそうじゃないことがほとんどなんじゃないですかね。

朝倉:
面白い視点ですね。リモートワークだろうと、普通にオフラインで会っていようと、ダメなものはダメということですね。

石倉:
そうですね。例えば、リモートワークだとコミュニケーションの齟齬が多くなるという話がありますが、コニュニケーションの齟齬がオフィスで働いていたときに起きなかったのかというと、起きない人もいるし起きる人もいるし、頻度も人それぞれ違いますよね。
場所が変わってリモートワークになっても、認識の齟齬が起きる人もいるし、起こらない人もいるっていう、ただそれだけでしかないんじゃないかってことですね。

朝倉:
たしかに、リモートワークだからと色々言い訳にしているけれど、考えてみたらそれって対面の時もできていたんだっけ?と思うことが多々ありますよね。これは自分自身の反省も含めつつですが…。
リモートであることを言い訳にしないような、環境づくりはしなきゃいけないなと思いますね。

Slackはオフィスです!リモートワークでも会話が生まれる仕組み、作れていますか?

朝倉:
キャスターさんでは、リモートワークを導入したい企業や、すでに導入しているけどうまくいっていない企業に対して、コンサルティングもしていますね?

石倉:
はい。相手の会社のSlackに入りながらコミュニケーションを取らせていただいてます。私は20〜30社くらいのSpotifyに参加していますが、共通して言えるのは、圧倒的にみなさんコミュニケーション量が少ないと感じます。

会社で行われていたコミュニケーションは3種類あります。

  1. 業務の話。「あれやっといて」「これやっといて」の話

  2. 業務の話まではいかないような軽い相談
    ちょっとした壁打ちやブレスト、隣の席で話すようなこと

  3. プライベートの雑談。仕事と関係ない話

リモートワークになると、コミュニケーションが基本的にはテキストになっていくと思うんです。テキストがベースで、ミーティングはZoomなどのWeb会議ツールを使っていますよね。

どの会社も、1) 業務の話は必要なのでコミュニケーションを取るんですけど、2) 軽い相談や 3) 雑談は、ほぼみなさん抜け落ちちゃうんですよ。

朝倉:
なるほど。

石倉:
そうすると、リモートワークの場合は静かな、淡々としたコミュニケーションだけになっているってことが多いと思います。
オフィスではそんな働き方はしてなかったはずなんですね。だからリモートワークはコミュニケーションが少ない分、やりづらいと言われる方がすごく多いなと感じます。
雑談とか軽い相談は、オフィスの場合は無意識にできるんですよ!目の前にいたりするし、一緒にコンビニやランチに行くとか、雑談の場が無意識にある。これを最初は意図的に作らないと、雑談は増えていきません。意図的に軽い相談や雑談をどう作るかを設計している会社は、まだまだ少ないなぁと思いますね。

朝倉:
面白いですね。でもテキストでちょっとした相談って、言われたらそうだな〜と思うんですけど、テキストでのコミュニケーションのカルチャーに慣れてない人にとっては、難しくないですか?

石倉:
そうですね〜。難しいと思います。クライアントさんのコンサルティングに入るときも、最初は結構意図的に雑談が起こりやすいようなチャンネルをたくさん設定したり、会話が起こりやすいような仕掛けをしています。
例えば、「#パパママ」とか「#飲むのが好きな人」とか、そういう共通の話題ごとの雑談用のチャンネルを作っておくのはもちろんですし、

あとよくやるのは、日報の書き方を変えてもらっています。日報で今日やったことから書くんじゃなくて、”今の気持ち”とか、”みんなにひとこと言いたいこと”とかを一番先頭に書くようにするんです。そうすると「今日旦那さんが何とかで〜」みたいなことも書き始めてくれる。そこに「わかる」スタンプが押されたり、スレッドが生まれるようになるんですね。

チャットの中でのやりとりは小さいですが、会話がそこから生まれる仕組みを結構意図的に小さく小さく作っていくっていうことはやっていますね。

あとは雑談したときに一番つらいのは返信がないことです。だれもチャットに反応がないとつらいので、割と積極的にスタンプしたり、みんなに絡みにいくことを意図的にしています。

キャスターさんの実際のSlackの様子

朝倉:
なるほど〜。根本的にコミュニケーションの概念を覆さなきゃいけないんだろうなと思ったのは、伝統的な大きな会社です。僕が知っている某総合商社は、そもそも会社のメールで私的なコミュニケーションをとったらダメという社内ルールがありました。
以前、僕が働いていた会社で、若手が若手同士のメーリングリストに「今週の飲み会リスト」みたいなのを作って送っていたんです。会社の社内報的なフォーマットに完全にのっとったパロディのノリで。でも、誰かから会社の偉い人に漏れてめちゃくちゃ怒られたっていう(笑)そういった砕けたコミュニケーションも、そればかりだとちょっと困るけど、ないとダメだよね〜っていう話ですよね。

石倉:
マインドチェンジすべきなのは、リモートワークになったときのチャットツールって、メールの代替ではなくて、オフィスの代替だと思っているところなんですよね。
僕はSlackをバーチャルオフィスだと思っていて、Slackをオフィスと捉えた時に、オフィス空間の島で行われている会話をSlackの中でどうやったら起こせるかを考えています。僕は「Slackは、オフィスです」ってよく言っています。

朝倉:
あーいいなあ!slackは、オフィスです。オフィスでは、たぶん飲み会の話はしてるんですよ、おそらく。

石倉:
してますね。今週末飲み行かない?とか。

朝倉:
その話も、オフィスではおそらく許されているんですよ(笑)そういった雑談をチャットの中で再現するってことですよね。
Slackなどのチャットツールは連絡ツールではなく、仮想のオフィスなんだと捉えられるか、オフィスをどうデザインするか。これを考えるのは、マネジメントの大きな仕事のひとつなんじゃないかなと思いますね。

本日は学びになる話を、ありがとうございました!


さいごに

Voicyでは、企業やブランドが伝えたい想い、大切にしている価値観、目指したい未来について、パーソナリティからリスナーに届ける、新しい発信の仕組みがあります。
企業の想いに賛同したパーソナリティが自らの言葉で語ることで、リスナーの心に届き、リスナーが自分ごととして考えるキッカケを作ります。
ご興味のある方はお気軽にご相談ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?