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Voices Vol.21 「不登校から、ここから、始める。フリースクール「Since」の想い」

*プロフィール

滋賀大学教育学部 

4回生 麻生知宏 生鷹幹太 門脇真斗

Voicesをご覧の皆様、こんにちは。Sinceです。

「誰もが自分自身を好きと言えるように。」

私たち3人は、学校に行っている行っていないに関わらず、子どもたちが「自分自身のことを好きと言える」未来を目指しています。

 学校だけが学びの場ではありません。学校だけが生きていく唯一の場ではありません。学校に行かなくても得られるものはたくさんあります。

学校に行かなかったからこそ得られる学びを。

学校に行かなかったからこそ訪れる出会いを。
学校に行かなかったからこそ歩める人生を私たちは応援します。

誰もが自分自身を好きと言える未来へ。不登校から、ここから、新しい人生をはじめましょう。

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Sinceの活動

私たちの活動を簡単に説明させていただきます。

現在、私たちは滋賀にて活動しています。主な活動内容としては3つ。

*1つ目は、「フリースペースSince」の開催です。

 
フリースペースSinceは、ありのままの子どもたちを肯定する居場所です。
勉強の出来不出来、運動の得手不得手ではなく、子どもの存在そのものを大切にしたい。そのような思いで居場所を開いています。その中で、私たちは「被受容感」を大切にして活動に取り組んでいます。
 子どもたちが「自分自身のことを好きと言える」ようになるためには、自分らしさを表現でき、そしてその自分らしさを受け入れてもらえる空間が必要です。自分は受け入れられていると思えるような空間を提供できるよう意識しています。

 近江八幡市において、不登校親の会「蜜柑の木」さまと協力のうえ、開催しています。
1月26日に第一回を開催しました。子ども5名が参加してくださり、ボードゲームやテレビゲームを通して楽しく交流しました。

子どもたちが身にまとった鎧を外して、ありのままの自分を表現できるような居場所になればと思います。
 現在は近江八幡市の桐原体育館や米原市の双葉総合体育館などを借りて開催しています。今後はそれに加え、NPO法人こどもソーシャルワークセンターのご支援の下、大津市でフリースペースを開催する予定です
(5月下旬を予定)。

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(門脇真斗)

*2つ目は、「フリースクールSince」の開校です。
 5月初旬から、より子どもたちの学びの質を高められるような場所を提供するべく、フリースクールSinceを開校予定です(4月現在)。
 フリースペースでの「遊び」をきっかけに「学び」のフェーズへ段階的に移行する試みです。子どもたちが安らぎを感じたうえで、自分たちのペースで興味・関心をより深く追求し学べる場所になればと思っています。

 フリースクールSinceでは「被受容感」に加え、子どもたちが「好き」と出会えるような取り組みをしています。子どもたちが各々自由に過ごす時間に加え、子どもたちやスタッフが考えた企画にみんなで取り組む「体験型学習」を新たに取り入れました。
 ものづくりや体験教室などを通して、子どもたちが「好き」を見つけ、追求していく姿に期待しています。その中で、子どもたちから出た「やりたい」という声を拾っていきながら活動していきたいと考えています。子どもたちの「やりたい」が実現でき、子どもたちが充実した時間を過ごす、またある一人の子どもの「好き」が他の子どもたちの「好き」が見つかるきっかけになったり、そのような子どもたちが豊かな人生を送っていくための大切な時間になればとスタッフ一同願っています。

*3つ目は、「ステップ・ブラザー」の実施です。
ステップ・ブラザーは、ナナメの関係性を重視した家庭訪問型の支援です。家庭などのこどもが安心できる環境のなかで、子どもと関係性を深めるのを目的とした取り組みです。
 子どもの年齢に近い比較的若い「お兄さん」が関わることで、親世代では得にくい「気さくさ」と同年代では得にくい「心強さ」を感じてもらえればと思います。加えて、一対一の完全個別対応のため、子どものしたいことを全力でサポートできます。現在では、学習に重点を置くコースと関係性作りに重点を置いた2つのコースを用意しています。現在数名の保護者様と内容について調整中です。

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*Since立ち上げの経緯
 Sinceは、
・学校に行けずに不登校になった過去を持つ麻生
・不登校児童と出会い、学校の苦しさや息苦しさに気付いた生鷹
・学校がしんどかった過去を持つ門脇の3人が主軸になって活動しています。

 メンバーそれぞれが現在に至るまでに「不登校」というものに少なからず接点を持ちながら生きてきました。
そして、大学で3人は出会い「教育」を学んでいく中で、「学校」という空間のしんどさや「不登校」という問題に着目するようになりました。

 それぞれが違ったバックグラウンドを持ちつつも、3人ともが不登校の子どもたちが生きにくい社会を変えたいという共通の思いがありました。
 そして不登校の子どもたちが生きにくい社会を変えるべく、私たちは、2020年9月、大学4回生の時にSinceを立ち上げました。
 しかし、この時期は世間的に見ると就職活動をしている時期です。
 団体立ち上げの決断は簡単なものではありませんでした。もちろん就職しながら自分たちの活動をしていくということも可能でした。
 何度も話し合い自分たちの想いを伝えあっていく中で、就職しながらだと活動に十分な時間を取ることができず、十分に「不登校」というものに向き合うことができないし、自分たちが目指す未来を実現することは困難だと考えました。

そして、私たちは「不登校」に真剣に向き合い、本気で不登校の子どもたちが生きにくい社会を変える覚悟のもと、就職せずに団体を立ち上げ活動することを決断しました。

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(麻生知宏)

*教育や不登校に対する想い

 学校に行って学ぶことだけが教育ではありません。学校に行かなくても学べるところはたくさんありますし、フリースクール等でも生きていくための力を培うことはできます。
 「不登校」というのは生きていく中での選択肢の一つであり、受容されるべき道の一つだと思っています。

学校に行くからこそ学べることや学校でしか学べないこともあります。一方で、学校に行かなかったからこそできる学びがあったり、出会いがあります。「学校に行くこと」と「学校に行かないこと」を比較する必要はありませんし、どっちが良くてどっちが悪いということもありません。

 しかし、現在、「学校に行く」という選択肢を選んだ子どもたちが享受できる環境に比べて、「学校に行かない」という選択肢を選んだ子どもたちの環境は十分に整っているとは言えません。
 この環境下で子どもたちが、「学校にいかない」ことを選択することは、決して楽な道のりではないというのも事実です。だからこそ、「学校に行かない」という選択をした子どもたちを支援する環境や取り組みが今以上に必要なのです。微力ながら、その環境づくりの一端を担うべく活動しています。

 「不登校になったことで、人生が終わったように感じた。」
ある不登校経験者の方の言葉です。
実際、そのように感じてしまう子どもも多いのではないでしょうか。不登校は終わりではありません。私たちは「不登校からがはじまり」だと思っています。子どもたちが、不登校からまた新たに素晴らしい人生を始められるような手助けをします。
 私たちの活動により、「不登校になったから終わり」ではなく、「不登校から始めることができた」と言ってもらえるように尽力していきます。

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(生鷹幹太)

*活動の課題

 今後、Sinceが子どもたちの居場所であり続けるために、どうやって資金を得ていくのかが課題となります。月謝などで料金をいただくことは可能ですが、それによって保護者様の負担が大きくなることも事実です。他の団体に目を向けると、マンスリーサポーターや寄付金など第三者から資金を調達している団体も数多く存在します。子どもの居場所であり続けるために、最適な方法で資金を調達したいと考えています。
妙案等ありましたら、ぜひ教えていただきたいです。

*今後の展望

 現在行っているフリースペース、フリースクールなどの活動は継続しつつ、さらに充実度を高めたり、事業拡大をしていきたいと考えています。その他に、講演会など、子どもたちと関わること以外でも、社会そのものに働きかける動きも取りたいと考えています。
何か私たちが行動することにより、少しでも社会が良い方向に向かえばと思っています。不登校の子どもたちが生きにくい社会を変え、そして「誰もが自分自身のことを好きと言える」ような未来を私たちは創ります。

最後に、Instagram及びTwitterにて私たちの活動経過を発信しています。もしよければご覧ください。最後までご覧いただきありがとうございました。
Since 麻生知宏 生鷹幹太 門脇真斗

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・お問い合わせ


090-3729-6373(麻生)(9時~17時)


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