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やっぱり猫が好き

昔、「やっぱり猫が好き」というドラマがあった。

舞台は、とある三人姉妹が暮らす家。そこで繰り広げられる、ありふれた日常が描かれるというものだった。

三人姉妹の長女には、もたいまさこさん、次女が室井滋さん、三女が小林聡美さんが扮していて、彼女たちの絶妙な間、台詞が最高に面白く、欠かさず観ていた。

脚本は三谷幸喜さんで、面白い物を書く人なんだなと、この番組で知った気がする。

ドラマには、タイトルの「猫」は、確か出てこなかったような記憶なのだが、私の記憶違いかもしれない。

やっぱり猫が好きという言葉は、多くの人たちが、自分のこととして実感しているかもしれない。かく云う私も、猫が大好きだ。

昔、子供の頃に飼っていたのは、雑種の三毛猫で名前を「ミミ」と言った。
活発な割には、ずっと大人になってからも小柄で、聞き分けがよく、飼いやすかった記憶がある。

ただ、よく外のネズミや、もぐらのようなものを捕獲しては、獲ったどー!!ではないが、飼い主に見せようと、獲物を咥えたまま、窓ガラスにへばりついて驚かされたものだった。
そのたびに、母は悲鳴をあげ、ミミに獲物を離すよう説得し(分かっていたかはわからないが)、咥えた口を消毒していた。
ミミにとっては、ありがた迷惑千万だったと思う。

数年後、木造の家からアパートに引っ越すことになり、生き物は飼えないということで、親戚のつてで、魚屋さんにもらわれていった。
魚屋さんでは、悪さをすることなく、家の二階で大人しくしていたことから、魚屋さんの家族からとても可愛がられていると聞いた時は、嬉しかった。
魚屋さんで「マグロが入ったよー」という声を聞くと、決まって二階から降りてくるという話には、マグロがなんだかわかってるのねと、笑ったものだ。

ミミは猫だが、変わった食嗜好があった。
こんにゃくや里芋、栗に目がなかった。
おでんや煮物をすると、下ごしらえの段階で、匂いを感じるのか、決まって料理をする母の足元にすり寄ってきて、ちょうだいとおねだりをした。
また、茹でた栗を食卓出すと、喉を鳴らして催促をして、私たちが食べる暇がなかったくらい欲しがったことを覚えている。
今思えば、芋類が好きだったのかもしれない。

逆に、猫が好むようなものを嫌っていた。
例えば、猫まんま。
今でこそ、キャットフードしかあげてはいけません、と言われる時代だが、私が子供の頃は、ご飯に味噌汁をかけたものが、主流だった。
それに、それぞれの家の猫が好む、魚などを混ぜる。

しかし、うちのミミは、猫まんまが嫌いだった。
そもそも、ご飯に汁をかけたものが、嫌いだったようで、どんなに好きな魚でも、汁かけご飯にすると、全く食べようとしなかった。

なので、いつしかミミのご飯は、白いご飯に魚のおかず、それに水という、それが定番となった。糠ニシンが大好物で、白いご飯の上に私たちが食べた残りの、身がついている糠ニシンを乗せると、喜んで食べていた。

煮干しも好きで、砕いて白いご飯に混ぜた、混ぜご飯が好きだった。
ただ、ある時、砕いた煮干しを全部より分けて食べてしまい、皿には白いご飯だけが残っていルのを発見。わざわざご飯から、砕いた煮干しを器用に食べ尽くしてしまう猫なんているの?と、母と笑ったものだ。

心や身体が疲れると、無性に猫が飼いたくなる。
マンション暮らして、禁止だとわかっていても、飼いたくなる。
飼いたくなって、飼いたくなって、やがて諦めるの繰り返しを続けている。

猫は、癒しの存在だ。
私は、やっぱり猫が好き、いや、大大好きだ。


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