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本のプレゼント

小学校3年生から4年生までの2年間を過ごした家は図書館のすぐ近くにあった。学校から帰って、図書館に行くのが楽しみで仕方がなかった。

『長くつ下のピッピ』や『小さなスプーンおばさん』が好きで、これらの児童書が置かれていた棚の本は端から順に読んでいた。

親は、そんなに本が好きなら誕生日のプレゼントは本を買ってあげると言い注文してくれた。私はわくわくして、プレゼントの本が届くのを心待ちにした。

届いたのは、世界の伝記シリーズだった。

私はがっかりしてしまった。私は空想の世界に浸りたかったのかもしれない。夜、自分の部屋で一人で伝記物を読んでいるときに、戦争のシーンなどが出てくるとぞわぞわしてしまって、ダメなのだ。自分の後ろに何かいるような気がして、怖くて怖くて読み進められなくなってしまうのだ。

せっかくプレゼントしてくれた本なのに私は全部読まなかったと思う。親もあまり読んでいる様子がないので、がっかりしているようだった。私は、心の中で「ごめんなさい。でも私が欲しかったのはコレジャナイ・・・」と繰り返していた。

今でも、図書館や書店で世界の伝記シリーズを見かけると、あの頃のことを思い出して私の心はチクっと痛む。



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