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【2月のAudible読書メモ②】


『まずはこれ食べて』原田 ひ香

池内胡雪は多忙なベンチャー企業で働く三十歳。不規則な生活で食事はおろそかになり、社内も散らかり放題で殺伐とした雰囲気だ。そんな状況を改善しようと、社長は会社に家政婦を雇うことに。やってきた家政婦の筧みのりは無愛想だったが、いつも心がほっとするご飯を作ってくれて――。現代社会の疲れを癒す、美味しい連作短編集。

Audible HPより

Amazonからのお勧めメールに入っていた一冊。
『ほろよい読書』で描かれた定食屋「雑」の記憶が鮮明に残っていて、不愛想な人がつくるほっこりご飯の展開かと思い読み始めた。が、途中からこの作家さんらしからぬ展開とラストに少々びっくり。続編があるのだろうか。

「まずはこれ食べて」の言葉とともに出される料理は、どれも簡単な作り方でありながら、とても美味しそうで、特に林檎のデザートとポパイのスープ、おにぎりのレシピはすぐにでも試してみたいと思った。

美味しいご飯ときちんと整えた部屋や職場環境は人の心と身体を温め、ほぐし、人との結び付きを強めてくれる。だから「まずはこれ食べて」と出す温かなご飯と相手を思いやる気持ちが大切なのだとしみじみと感じ入ってしまう話だった。手軽で便利な物が溢れているからこそ、毎日、毎食これを欠かさず続けるのは大変なのだ。

『光のとこにいてね』一穂 ミチ

たった1人の、運命に出会った
古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。
運命に導かれ、運命に引き裂かれる
ひとつの愛に惑う二人の、四半世紀の物語

Audible HPより

朝日新聞のブックサイト「好書好日」のインタビューの中で一穂ミチさんが

惹かれ合う女の子2人の「名前のつけられない関係を描きました」

好書好日より

と話しているのを読み、ああ、正に・・・とストンと心の中に落ちて行った。読後にこの二人のことをなんと表現すればいいのだろうと、言葉を探していたからだ。

裕福な家に育つ結珠(ゆず)と、シングルマザーの元で団地に暮らす果遠(かのん)の出会いと別れが、7歳、15歳、29歳と四半世紀に渡って描かれている。幼い頃は二人ともそれぞれの母親の強い抑圧から逃れられないでいるが、その関係性の変化を軸に、結珠と果遠の会話から感じられるお互いがお互いを思う気持ちの描写に心を持っていかれる。それだけではない。五感に訴えてくるさまざまな描写がとても瑞々しい。特に、光と音の描写は物語の世界へ没入感を強めた。

7歳のときのあの子に、15歳のときのあの子にと自分の気持ちを思いだす。あの時、友達から言われたことはもしかしてこんな気持ちを持っていたからなの?と、自分の過去に重ねてしまう場面も多かった。友達以上同性愛未満の気持ち。

どんどん物語の中に引き込まれていき、読み終わるのがもったいないとさえ思う小説だった。

『人は運よりも実力よりも「勘違いさせる力』で決まっている』ふろむだ

実力を磨くよりも、はるかに人生を好転させる
「錯覚資産」とは何か?

誰もが一度は思う
「なんであんな奴が評価されるんだ!?」の謎を解き、
「誰にでも使えるズルい武器」として解説する異色作。

本書を読み終えた後には、誰もが
人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている
というタイトルに納得しながらも、
そうした世界でどう生きるべきかを考え込んでしまうはずだ。

Audible HPより

聴き終えて、ここに書き留めておきたいこと
・SNS時代の成功と失敗を決める要因
 錯覚資産・運・実力が複雑に絡み合っていること
・認知バイアスと直感の関係
・世界を形作る錯覚の骨格

「評価」が導きだされる時の「実力」と「表現力」の関係についてなど、
具体的に数字で示され、納得の声をあげるしかない。
古い頭にがツンとくる内容ばかりで、一回では頭に入りきらないので繰り返し少しずつ、自分の中にしみ込ませる必要を感じた。



本当に忘備録のメモ程度のことしか残していないのだけれども、残すことの効果を最近感じ始めている。
何もしていないときに比べるとやはり格段に記憶に残っている量が増えたと実感できる。
実は、こんな稚拙なメモを晒して、恥ずかしい思いでいっぱいで寝つきが悪くなるほど、いやすぐ寝ているけれども、ふとした瞬間に「やっぱ恥っ💦」ってなることが多い。けど、自分のためにしばらく続けようと思う。


忘備録にお付き合いいただきありがとうございました。
また次のnoteでお会いしましょう。



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