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【5月のAudible読書メモ①】

※4月に聴いた本も含まれています


『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」山口周

前半はこの本のタイトルにある「なぜ」の部分に対する答えを、様々な角度から考察している。随所で具体的な企業名や歴史的人物なども取り上げ、分かりやすく説明がなされている。後半はどうやって「美意識」を鍛えているのか、そして鍛えることによって得られることについての説明。

随所で納得感があり、学びが多かった。
正解が溢れる世界で差別化がなくなってしまい、感性や美意識の重要さ、ストーリーと世界観が求められていること。そして、日本にはこのストーリーと世界観という資源がたくさんあること。一方でこの資源は簡単に失われてしまうものでもあるという点が深く印象に残った。

『ただしさに殺されないために~声なき者への社会論』御田寺圭

公園にあるベンチになぜひじ掛けが設置されているのか、そのくだりを聴いて、思わず「あ!」と声をあげそうになった。

この本を聴き終わってから読んだネットニュースの記事について考えた。産休に入る女性が可愛らしい赤ちゃんのイラストが描かれたクッキーを職場の方に配ったことに対しての賛否両論についてだ。この本に出会う前なら、この記事に対してどう考えただろうか。今は、どちらの側も人は善意があるからこそ、ほかの誰かを遠ざけ、傷つけてしまうのだろうかと考えている。

タイトルに込められた意味を深く考えさせられる。タイトルとは逆に、動詞が受身形ではなく能動態を使い、さらに主語が私になる可能性もあるということを心に留めておきたいと感じた。


『ルポ 誰が国語力を殺すのか』石井光太

冒頭の「ごんぎつね」が読み取れない小学生の話に衝撃を受ける。
家庭・学校・学校のカリキュラム・SNS・ゲーム、原因は一つだけじゃない。子どものいる家庭と教育関係者だけではなくて、豊かな語彙で言語化できることが、自分の身を助けてくれることの大切さを一人でも多くの人が意識していけたら、と思う。

今回の読書メモの中の『さよなら、田中さん』の鈴木るりかさんのインタビュー記事の抜粋をここに貼っておきたい。

勉強に限らず、友達との会話やラインのやりとりでも、思いを伝えるための語彙(ごい)が多いほど、コミュニケーションがやりやすくなると感じています。生きていく上で必要な力も本がくれました。

朝日新聞EduAインタビュー記事(2022.07.11)より抜粋

『喜ばれる人になりなさい 母が残してくれた、たった1つの大切なこと』永松茂久

いろいろな読み方ができる内容だった。ビジネス書として、家族愛を感じる本として、母親が子どもに掛けるべきことばの本として。Audibleでは、効果音やBGMなどもついていたので、最初はラジオドラマかと思ってしまった。紙の書籍で読んだら違う印象を受けたかもしれない。

「喜ばれる人になりなさい」というシンプルではあるが、深い教えに読み進めるにつれ自分もそうありたいと思い始める。途中、道を誤りそうになる著者にもう一度この言葉の本当の意味を考えさせるところがある。そこから、筆者が手掛けていた仕事のベクトルが変わっていく箇所が心に残った。


『さよなら、田中さん』鈴木るりか

どんな経験をすれば、中学生でこんなにもすばらしい物語を書けるのか。語彙力、構成力、キャラクター設定どれをとっても思わずうなってしまう。そこへもってきて、子ども目線のピュアな気持ちがストレートに表現されているからたまらない。切なくて、やるせなくて、泣かされてしまう。

どの話もほろっとさせられる。田中さん、田中さんのお母さん、三上くんが三人で食事をするシーンで田中さんのお母さんが三上くんに話す生きるための話が、このお母さんの日頃の頑張りが詰まった言葉でずんっとお腹に残る。お母さんの尊敬する人の話や娘に対する愛情が感じられる七五三の話も印象的。くすっと笑えたり、じーんとしたり、2回聴いて2回ともしっかり感動してしまった。


『リカバリー・カバヒコ』青山美智子

さまざま年齢の悩みやストレスや痛みを持った人々が公園にある遊具の都市伝説を知ることで動き出すストーリー。読む人の年代によっても違ってくるかもしれないが、どの人の痛みも共感できる部分が程度の差こそあれ、あると思う。子ども時代を思い返したり、仕事やママ友の話も自分に置き換えたりして聴いてしまう。気がつけば、公園に行ってカバヒコを抱きしめたい、そう思っている自分がいる。温かく優しい気持ちになれる話。


最後までお読みいただきありがとうございます。
また、次のnoteでお会いしましょう。


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