【動画🎓🎞️】日本は経済成長していないから日本株式を投資先から外すべきなのか~お金の教科書STEP2(2-9)

GDPとは

GDPと呼ばれる経済の尺度があります。

GDP＝Gross Domestic Product(国内総生産)はその国の中で一定期間(通常1年)内に生み出された付加価値の合計と表現されることが一般的です。

たとえば野菜の場合、種から農家の人が畑に植えて育てたものを、市場や卸問屋・農協などに納品すると一定の価格で買い取ってもらえます。

市場や卸問屋・農協などはそこから消費者の暮らす場所の近くなどのスーパーマーケットなどへ野菜を納品、そこで消費者は買い物をします。

この経由する箇所が増える度に付加価値が高まっていく、コレの国内での全ての産業での合計がGDPです。

また野菜などを加工してお弁当やお惣菜にすることによって生の野菜を買うよりも付加価値は高めることが出来ます。

このように付加価値とは商品そのものの価値ばかりでなく、流通コストや大量生産・大量購入によるコストのプラスマイナスが加味されます。

但し、最終購入者である消費者が買い物をしなければこのGDPは直前の決済をしたところで止まってしまったり、マイナスになることもあります。

スーパーで売れ残ってしまった商品をそのまま廃棄すると仕入れ費用分の損失ロスが出てしまいますので、そうした状況を少しでも軽減しようと消費期限の近づいたタイミングや夕方や閉店前などに割引シールが貼られるなどの工夫もされているのをご存知の方もいるでしょう。

こうした行為は同じ損失は損失でも、少しでも仕入れ値に近づけて取り戻そうとしているのです。

名目GDPと実質GDP

またGDPには名目GDPと実質GDPがあります。
名目GDPは原材料費や燃料費、輸送コストまたは人件費の上昇も価格に反映されているので消費者が買った金額からそのまま算出しています。

つまり物価上昇インフレーション率などを含む生の数字です。

他方、実質GDPは消費者の買い物した金額からインフレ率を差し引いた数字です。

原材料費や燃料費・輸送費・人件費などの上昇(または下落)は商品やサービスの価格に影響を与え、企業の業績にも影響を与えますが、その内インフレ率を除くことで見かけではない実態(実質)の数字が見えてきます。

日本のバブル崩壊後の経済停滞

消費者がお財布の紐をきつく締め、消費が積極的に行われないと経済は冷え込んでいき、やがて景気の悪化や経済の縮小と言った負の循環に入ります。

日本では1990年代初頭のバブル崩壊後、景気後退が長引きそうだと感じた多くの家庭ではそれまでのような積極的な消費を控え、貯蓄をしようと心がけました。

しかしそうすることによって経済は一層冷え込み、景気は悪化していきました。

消費者の合理的な行動が、経済全体では景気の悪化を招いてしまう現象を「合成の誤謬ごびゅう」と呼びます。

日本のバブル崩壊後の長い不況の時代は何も消費者の行動だけで起きたわけではありません。
働く世代(20-65歳)は生産者や生産年齢人口とも呼ばれています。

この世代の多くの人たちは結婚をして家庭を持ち、出産やマイホーム購入、大きな家電製品や車を買って、子どもを進学させるために習い事や塾・予備校に通わせます。

一般的に退職後の高齢世代と比べて、生産年齢人口の方が所得も高く、消費は活発です。

バブル崩壊の頃、日本では高齢者人口と生産年齢人口のバランスが崩れたことで、人口が多く、子育てのひと段落した50代以降のシニア層のおサイフ需要を狙ってシニア割・シルバー割などのサービスの拡充が目立ったのも1990年代以降の時代でした。

若い世代ほど資産をこれから築いていくため保有資産が少なく、高齢者ほど資産を築いているためこうした企業の行動は一定の合理性があります。

しかしお金のあるシニアに割引をして、若い世代は正規料金で提供するサービスというのは、実は不合理な面もあります。

お財布の紐を緩めるための施策としては理解できますが、公平性という点で言うのであれば若いほど安くなければそのサービスを利用しづらくもなることの裏返しでもあります。

また働く世代の所得が変わらない、年次と共に昇給していくことが前提ですがバブル崩壊後の就職氷河期世代を始め社会の調整弁として非正規雇用やサービス業、サービス残業などを強いられた世代においてこれらは高齢者優遇として映る場合もあります。

(同じサービスを受けるのにお金をたくさん保有している高齢者は割引や優遇を受け、資産や所得の少ない若い世代は正規料金という不合理)

こうしたことが目先の営利を最優先とする殆ど企業の中で見直されることはなく人口の多いシニア世代への優遇は長年続きました。それは民間企業の提供する様々なサービスだけでなく介護・医療などの社会保障制度もその一つです。

60代などは退職金を受け取り金融資産が一気に増える傾向にあります。そしてこの資金を年金の不足分の取り崩しに充てて余生を過ごします。

日本の人口構成における主要な世代(代表的なのは団塊世代など)が働く世代から高齢世代に移行したのが平成の30年間だったと振り返ると、日本の戦後経済成長と平成の30年間における経済停滞は、日本の人口動態にも大きく影響を受けながら起きていたと言えるのは確かでしょう。

そしてその間も、世界の経済は拡大を続けてきました。
30年にもわたるその差は、かつて日本人が東南アジアや海外旅行先で「物価が安い」と喜んでいたものが、今や東南アジアや欧米の人たちが「物価が安い」と喜んで日本にやって来るインバウンド需要にも見られます。

日本株式に投資をしないのは正しいのか？

さて世界の経済が拡大していく中で日本は人口減少や高齢化、未曾有の少子化という何重苦にも陥っているように見えます。

その国の経済が拡大していないというネガティブな要素は株式市場においてどのように評価されるのでしょうか？

たとえば本動画では自動車産業において世界一の年間販売台数を誇るトヨタ自動車と、そのトヨタを時価総額で遥かに上回る電気自動車のテスラ社または電気自動車の販売台数で世界一を誇る中国のBYDなどを事例にしています。

2022年の販売台数ではテスラ34.4万台とBYD186.3万台、トヨタ262.5万台だが
時価総額では1位テスラ9,012億2,000万ドル（約107兆円）、
2位トヨタ2,370億6,000万ドル（約28兆円）、3位BYD1288億ドル（約16.7兆円）

内需企業は確かにその国の経済に大きく依存しますが、海外などに輸出をするグローバル企業まで日本の企業だから投資対象から外す…そんな運用は投資の本質からすれば大きな見落としをしていないでしょうか。

平成の30年間における世界の時価総額ランキング(上位50位)や平成年間における世界の国々と日本の経済成長率などを比較しながら考えてみたいと思います。

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前回までの記事

2-1「リスクとは何か？」(Free)

2-2お金について学ぶ目的は?(Free)

2-3

2-4/2-5

2-6

2-7

2-8

【2-9】