【動画🎓🎞️】世界の投資マネーと投資信託の市場規模とその内訳と分類～『お金の教科書STEP3』3-10

市場規模というのは何をするにしてもその市場マーケットの全体像をつかむのに非常に重要です。

投資の世界には伝統的な投資対象である株式・債券の他にも不動産(REIT)、金などの金属、石油などのエネルギーなど多岐にわたります。

株式投資が「投資の王様」と呼ばれ、多くの投資家がこれに夢中になるのも、テレビなどの経済ニュースで日々取り上げられるのは単に高いリターンが期待できるからに限らず、市場規模が大きいことと売買頻度が高い事によって資金の流動性という魅力があるためです。

2023年はコロナ後の市況を反映して、およそ3年ぶりに米国の株式市場も新規上場(IPO)が積極的に行われました。

中でも「王冠の中の宝石Crown Juwels」と呼ばれた英国で虎の子の半導体設計大手arm社(本社ケンブリッジ)が地元ロンドン証券取引所ではなく、世界のハイテク企業が集まるNASDAQに2016年以来の再上場したことは象徴的な出来事と言えるかもしれません。

テッカーコードは[arm]2023年9月14日に再上場
将来的には噂されていたようにロンドン証券取引所にもダブル上場をするかも。

何故、arm社は本社を構えるイギリスのロンドン証券取引所ではなく、米国のNASDAQ市場に上場をしたのでしょうか。

arm社はコンピュータがまだマイコンなどと呼ばれていた黎明期に英国の教育向けコンピュータの開発メーカーとして創業したエイコーンコンピュータが祖業となっています。

しかしIBM-PC互換機(DOS-V機)が市場を席巻し、事実上の標準として君臨したことによって市場から一度駆逐され、倒産寸前まで追い詰められたところで分社化した部品製造の一部門が発展を遂げて今日に至ります。

また日本のソフトバンクグループが3兆3,000億円で買収して一度、上場廃止。一時はコンピュータのグラフィックボード(GPU)を製造するnVIDIAに売却されるとも報じられた企業です。

ソフトバンク孫氏、イギリス大手半導体会社を買収「たかが3兆円」　メイ首相とも電話で会談

3.3兆円でソフトバンクが買う、ARMはどんな商売をしているのか

これまでコンピュータなどの産業でCPUといえばIntel社の製品がもっとも大きなシェアを取り、次いでAMDが一部のマニアックなニーズにこたえてきました。

「インテル入ってる」で日本でも知名度抜群だった
Intel CPU

Intelは高性能なコンピュータ向けにCore iシリーズ(以前はPentiumやCeleronシリーズ)を、省電力が求められるUMPCウルトラモバイルピーシー製品にはATOMアトムやSDカードサイズの大きさのコンピュータEdisonエジソンと呼ばれるCPUおよびそれらを用いた基盤を開発してきました。

Intelは自社で設計し、自社で製造して商品を流通させることで特許などの技術の流出を防ぎ、市場での独占に近い状態を用いてそれを更に高める再投資を行ってきました。

他方、arm社はスマートフォン向けを土台に発展を遂げてきました。小型でかつ省電力で高性能であることを発展させ、小型な機器からコンピュータに至るまでを一貫して設計できるarm社のノウハウはiPhoneに始まり、現在ではApple社の幅広い製品に利用されています。

またarm社は自らはプロセッサなどの設計に専念しており、実際にそれを製造するのはTSMCなどのファウンダリーに委託するなどしてコンピュータ産業の急速な進化と製造技術の集積の勝ちパターンとしての水平分業が徹底して行われています。

孫正義会長はarm社買収の際に「パラダイムシフトへの先行投資」と語り、後にApple社のMacbookに搭載されているAppleSilicon(M1、M2、M3…)やiPhoneに搭載されているA15などのSocシステムオンチップなど省電力・高性能な独自開発のアーキテクチャーを開発しています。

他にもarm社のプロセッサではNintendoSwitchでもCPUとGPUを一体にしたコアや、SamsungのGalaxyやSONYのXperiaなどメジャーで高性能な殆どのスマートフォンでも採用されています。
デジタル機器の車でいえばエンジンともいえる部分の設計の基礎を設計しているのはarm社とされています。

arm社は今年のIPOによって約52億ドル(7700億円)を調達し、時価総額は520億ドル(7.7兆円)に到達しました。

しかも売り出したのはソフトバンクグループが保有するうちの10%ほどで、残り90%は保有を続けたままです。

一般人には知られていないイギリス最大の成功企業「ARM」とは？

日本のハイテク企業はなかなか米国で上場という判断をしませんが、たとえば日本最大の時価総額企業であるトヨタ自動車(テッカーはTM)やテクノロジー企業と分類することができるソニーグループ(テッカーはSONY)などは米国でも上場をしています。

トヨタやソニーは何故、日本の証券取引所だけでなく米国の証券取引所に上場しているのでしょうか？実際にどういった経営判断が行われて海外の証券取引所に上場しているかとは必ずしも一致しないと思いますが、ここではトヨタを例に考えてみましょう。

たとえばトヨタの自動車は日本国内だけでなく、米国や欧州、その他の国でも世界中で販売されています。

米国にも工場がありますし、欧州にも、販売の多い地域の近くには大規模な工場を構えています。

日本で企画され、設計から製造・組み立てまでを全て日本国内で行うとなると海外に輸送するためには輸送船で太平洋を渡ったり、場合によってはインド洋や大西洋を縦断しなければいけません。

日本の銀行からの融資や、日本の証券取引所で資金調達をした資金を使って海外に物を売ろうとしても大量に物を運ぶ手間とコストがかかります。

また販売する国や地域ごとに排ガス規制や安全ルールなどは異なり、全てを日本企業だからと言って日本国内で行うことは決して合理的とは言えません。

もし北米に工場を建設して、北米で資金調達をして、そこに部品や材料を運び込むことで組み立てることができれば輸送コストを抑え、現地の実情(規制など)にすぐに対応をすることができます。

また毎回、日本の本社に海外での売上をドルから円に両替して送金していては両替コストに加えて、都度為替リスクを負うことになります。

このため国内と海外での経営資源を分け、海外での売上を資金が必要になるまで等すぐには戻さずに再投資を行うことで、海外での製造・販売を増やし、シェアの拡大を目指す経営戦略を取っていると考えると、世界の基軸通貨である米ドルで資金調達ができるNY証券取引所での上場は実に理にかなっていると言えないでしょうか。

ソニーグループも、arm社も業種やビジネスこそ違うものの、本社のある場所ではない国外市場で上場をするというのはこうした意味で合理的な選択だと考えることができます。

投資の世界において欧州最大の証券市場であるロンドン証券取引所は未だ大きな存在感がありますがが、世界のハイテク株企業が相次いで上場をしている米国のNASDAQに上場するというのは多くの投資家にとってNY(USD)とロンドン(GBP)という異なる通貨に投資するために両替をする負担も減らすこともできます。

構成銘柄｜NASDAQ100｜大和アセットマネジメント株式会社

また多くの取引先が米国に集中または米国を起点に事業を展開することによって株式公開で調達する資金をわざわざ英国ポンドと両替する手間もコストもかけずに済むため、上場する企業側にとっても米国での上場は大きなアドバンテージになります。

本動画では投資市場の規模、その内の投資信託の市場規模、そして投資信託の仕組みで欠かせないマザーファンドやベビーファンド、ファンド・オブ・ファンズの仕組み、ネット証券と対面証券、総合証券における交付目論見書などのオンライントレードのコストの違いについても解説しています。

ネット証券、オンライントレードは「知らなかった」という言い訳さえ通用せず、個人投資家に全責任が帰属する仕組みであるという点も確認していただければと思います。

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【3-10】