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僕が感動した英語本①―伊藤和夫・英文解釈教室―

こんにちは。ヒサノリです。普段、英語を勉強したり、研究したりして生活をしています。

今日は「僕が感動した英語本」というタイトルでお話をしていきます。僕は「この参考書はすごい!」と思ったものが何店かあるのですが、その中でもひときわ感動した「英文解釈教室」について語っていきます。


1. 伊藤和夫先生とは?

伊藤和夫先生は、駿台予備校で英語を教えていた先生です。もう20年以上も前に亡くなってしまったのですが、英文解釈教室やビジュアル英文解釈など様々な本を世に送り出してきました。

特に、これから紹介する英文解釈教室は1977年に出版された本で、40年以上が経過した今でも、書店に置かれています。

2. 結論―今の英語教育の源流ですー

いきなりですが、結論から書くと、伊藤和夫先生の本は今の英語教育の源流にあたると考えてよいでしょう。

高校2年生の時、僕は英文解釈教室という伊藤和夫先生の参考書を買いましたが、あの骨のある問題と英文を読解するときのプロセスをしっかり明文化しているということで、とても感動したのを覚えています。

あとから調べてみると、伊藤先生は「左から右へ、上から下へ、英文を読むときのプロセスを明確にする」ということをモットーに掲げていたようです。

そして、日本の英語教育史でもそのようなアプローチをとった人は少なく、当時から見れば、とても斬新な本であったと言えるでしょう。

3. 理由1―統一的な視点の確立―

伊藤和夫先生の本には、重箱の隅をつつくような英文解釈の原理は含まれていません。

率直にいうと、全ての文を「名刺のカタマリ」「形容詞のカタマリ」「副詞のカタマリ」に分類して、それを5文系の理論へと派生させることをしていました。

よく、英語の先生は「結論から」アプローチすることがあります。これはこういう読み方をする、と。ですが、読んでいる本人からすれば、どのようにそのような読み方ができるのか知りたいところですよね。

それを、伊藤和夫の本では、明確にされています。伊藤和夫の本は一貫して、そのような「読解プロセス」を重視してお理「統一的な視点の確立」がとても重視されています。

4. 理由2―形から意味へー

2つ目の理由として「形から意味へ」という感じで、文の形に注目したという理由が挙げられます。

実のところ、伊藤和夫先生が出版した最初の本「新英文解釈体系」には以下のように書かれており、それが次に出版された本である、英文解釈教室にも生かされています。

「筆者は与えられた形をどのような文法概念または意味構造に当てはめて考えるかの過程が、最も具体的な英文理解の過程であると考える。従って本書はある形、すなわち主語+動詞+名刺がどのような意味を持つ可能性があるか追求し、この点の判別練習を学習者に行わせることに力点を置いた」(出典:受験英語と日本人)。

先ほど書いた、少数の原理から様々なところへと派生させて書いたことがこの本を支えているコンセプトであると思われます。またこの本には豊富な練習問題があり、伊藤和夫先生の原理原則を豊富な問題を通して会得できます。

5. 理由3―今の英語教育の源流―

やはり、今の英文解釈や英文法の本の源流をたどっていくと、伊藤和夫の英文解釈教室に行き着くと思っています。

そもそも書店に40年以上置かれている本というのは、時代を超えて読み継がれているベストセラーであって、そのようなベストセラーはやはりどんなことがあっても、必要な原理原則を載せていることが多いです。

これは単語集や文法書といった他の本でもそうです。基本的にロングセラーというのは多くの場合、時代を超えて語り継がれるほど、どんなに入試問題などの傾向が変わっても英語として必要な要素があるということです。

6. 伊藤和夫先生のその他の英語本

ここまで、英文解釈教室の話をしてきましたが、伊藤和夫先生の本には他にも様々なものがあり、その中でも「伊藤和夫の英語学習法」という本では「英語教育は理屈が半分、慣れが半分」と書かれています。

それは英文解釈教室でも書かれており、英文解釈教室では説明も問題も豊富に載せられています。

また、英文解釈教室が世に出てから、10年後くらいに出版された「ビジュアル英文解釈」という本は、英文解釈教室よりももうすこしやさしめの問題を扱っていると言ってよいでしょう。

今の入試問題でいうなら僕は生徒に英文解釈教室をオススメはしていません。もちろん、それだけ熱意のある人はやっても構いませんが何と言っても、今の入試問題のレベルからすれば、英文解釈教室は難しいです。

ビジュアル英文解釈で事足りてしまいます。ビジュアル英文解釈はパート1・パート2と2部構成になっていますが、パート1とパート2の難易度の差が激しいので、ポレポレ英文解釈(西きょうじ著)などを中間地点として挟むとよいかもしれません。そこのところは追って、書ければと思います。

7. 結論

というわけで、今日は伊藤和夫先生の代表作「英文解釈教室」について語ってきました。

英文解釈教室の最後には以下のような記述があります。「この本の原理言語区を無意識のうちに使えるようになることがこの本の最終目標であり、この本の役目を終えたことになることだ」と。

ちなみに、この本の冒頭には以下のように書かれています。「誰でも歩くことはできるが、歩くときの筋肉の動きは説明できない」と。

つまり英文解釈教室は英文を読むときの筋肉の動きを明確にした本であると言えるでしょう。とはいえ、仮に大人が英語をやり直すのだったらーよほどの難関大学を志望する英語の学習者でもない限りー英文解釈教室を使い必要はあるのかな…と思ってしまいます。

むしろ、大人の場合は、市販のそこまで難しくない英文解釈本を読んで、大量に英文を読んだ方がいいと思っています。

そして、いきなり難しい本に当たってしまうと、やはり挫折する確率も高くなってしまうでしょう。

英文を読めるようにするというのはとても大事なことですが、いつまでも英文解釈に時間を当てているのは、英語学習の全般的な見地から言ってもとても意味のないことです。

英文解釈や英文法にかける時間はなるべき短くして、自分の読みたいものを読めるように努力していきましょう。このブログでは、英語の勉強法を中心に書いていきます。

今回は個人的な話になりましたが、英文解釈教室という一つの英語の本の魅力を語ってきました。

実は僕が感動した英語本は他に3冊あります。それらは物によっては、とても難易度の高いものですが、紹介することによってすこしでも魅力が伝わればと思っています。

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