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弦をテイスティングして見えた世界(使用歴編)

バイオリニストであれば大なり小なりこだわりがおるであろう、「弦」。

私が「新しい音」を求めて弦のテイスティング(?)を始めたのは高校生のとき、同じ音楽教室の先輩から勧められたのがきっかけでした。それから早xx年、何種類も試した割にはその成果を可視化したことがなかったので書き残そうと思います。

使用歴からテイスティングによって学んだこと、使用した弦のインプレッションをご紹介いたします。
もし新たな音を求めて悩んでいる方や、新たな発見の参考になれば幸いです。

使用歴編

ある程度使用歴の長いものは以下です(使用した順にご紹介します)。

・ドミナント
ここはスタート地点。

・トニカ(E線はアルミ巻)
楽器を買い替えた時、新しい楽器に張ってあったのがトニカでした。「ピラストロ版ドミナント」といった感じの標準的立ち位置なのか、癖がなく素直な音がなりました。トニカは他の弦をテイスティングしながら度々戻ってきましたが、戻ってきた直後はノイズ・ざらつき感が少し気になりました。
それも含めてドミナントっぽさですかね。

・オブリガート
「もう一段階いい音が欲しい」と思い、使い始めた弦です。豊潤な響きが特徴で、第一印象は「Brilliant!」でした。E線はゴールドメッキですし。
エヴァ・ピラッツィのような強い音ではありませんが、上品で豊かな響きが気に入って定着しました。ただ、ゴールドメッキのE線はそれなりに値が張るので度々E線だけ別のブランドに変えていました(この時E線もテイスティングを始めて、たどり着いたのが"ヒル"です)。

・シノクサ
オブリガートは響が豊かな反面、使い続けるうちに"芯"がしっかりした音が欲しくなりました。そこで使い始めたのがシノクサ。
芯が強くしっかりした音でありながら、直線的すぎず荒くもない澄んだ音色、第一印象は「強い」でした。A線だけシノクサを張る人もいることに納得です。
シノクサを使い始めてからは、その時々に取り組んでいる曲やオケのパート割によってシノクサ・オブリガートを使い分けるようになりました。

・ヒル
E線だけ出しているブランド。シャープに発音し、澄んだ余韻が残ります。
E線だけよく使われるブランドは他にも(ピラストロ・ゴールド、ゴールドブラカットなど)ありますが、ゴールドよりも豊かに、ゴールドブラカットよりも澄んだ余韻が好きです。
この弦は今も使っています。

・ヴィオリーノ
オブリガート・シノクサ切替の体制で安定した頃には、自分の中で「良く鳴る弦」というより「楽器をストレスなく鳴らせる弦」に嗜好が変わってきました。そして張力を軸に新たな弦を探し、見つかったのが「ヴィオリーノ」。
口コミでは「張力が低めで豊かな音」の声が目立ち、かつて弦のテイスティングを勧めてくれた先輩が「いい音色」と言っていたことも思い出したので使ってみることにしました。
使用感としては、発音の明瞭さと響きの豊かさがちょうど良いバランス、張力が控えめなためか無理なく鳴らせる印象でした。そしてオブリガートやシノクサに比べたらリーズナブル(ここ大事)。ヴィオリーノもなかなか気に入りつつ場合によってはオブリガートも使い、今度はオブリガート(赤)・ヴィオリーノ(青)体制に。

・ラーセン ヴィルトゥオーゾ
オブリガート・ヴィオリーノ体制に落ち着いてからしばらくして、今度は楽器を買い換えました。それまで使っていた新作ドイツ製からフランスのオールドになり、そもそも楽器自体の音が深く味のある響きになりました。その楽器にはじめから張ってあったのがこの「ヴィルトゥオーゾ」。
「小さい張力でも大きな音が出るように」というコンセプトで開発されたようで、私の嗜好とも合致していました。シノクサの音の"芯"をより細く洗練したような軽やかさがあり、発音も響もクリア。好みにピッタリでした。
そして現在に至り、今もラーセン・ヴィルトゥオーゾを愛用しています(E線はヒル)。


使用歴編は以上となります。
次は、テイスティングを通じて学んだことについて書きたいと思います。

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