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みんなで考える「ベトナム人事マネジメント」〜第11回:退職手当を社保ではなく自社で払わねばならないケースについて〜

みんなで考える「ベトナム人事マネジメント」
ASIA GATE  VIETNAM 豊田英司

第11回:退職手当を社保ではなく自社で払わねばならないケースについて 

最近の報道ではベトナムの社会保険加入率が今年度末には78%に達する予定という事で、皆様の会社でもベトナムの社会保険に加入されておるかと思います。

ですので「従業員が退職する際の退職手当は社会保険から支払われる」という事もほとんどの方はご存知かと思いますが、社会保険に加入していても、会社が直接、支払わねばならない部分があるケースがございますのでご注意ください。

1. 退職金計算の基礎:

企業で12カ月以上勤続した労働者が退職する場合、雇用主は付属手当てを含めて(あれば)、通常、勤続1年につき半月分の退職手当を支払う。

退職手当の基礎となる給料は、労働契約に記載された給料となり、また、これは事象発生前の連続する6カ月間の平均の給料を指す。

 

2. 会社が直接支払うケースとは:

産休や試用期間など「社会保険未払い」の時期がある場合、その勤務期間については社会保険からの退職手当支給の「適用対象外」となり、自社でその期間に相当する退職金を支払う必要があります。

(試用期間の場合、正式採用後、遡求して社会保険料を支払っている場合もございますのでご担当のスタッフにご確認ください)


3. 退職金の算出方法:

上述のように通常のケースでは勤務1年分で月給の1/2」を会社が退職手当として支払います。

勤務1年以上の場合の端数期間については以下のとおりです:

端数の勤務期間
計算

1ヶ月未満:切り捨てで​支給額計算の対象外

1ヶ月以上6ヶ月未満:​6ヶ月分として扱い「月給分の1/4」を支給

6ヶ月以上:1年分として扱い「月給分の1/2」を支給

 


4.例​:

「1年以上勤務の従業員が試用期間2ヶ月+産休期間6ヶ月」の社保未払い期間がある場合、「2ヶ月+6ヶ月=8ヶ月」となり、「1年分」として計算され、会社が退職手当を支払う

 

今回の教訓!!

「社会保険に加入しているから」と見過ごしがちな「未加入期間」、ご注意ください

 

以上

 

(紹介文)
豊田英司(とよだえいじ)
ASIA GATE  VIETNAM Co., Ltd : 代表
【略歴】米系大手製薬会社や日系建設機械メーカー、日系人材企業にて営業、国内人事労務・海外人事労務を担当。駐在員としてインドネシアやベトナムにて会社設立を担当。

現在はASIA GATE  VIETNAMにて企業設立時のサポートや人事労務コンサルティングや会計事務所、法律事務所とも連携したベトナムでの経営相談のワンストップサポートを実施している

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