【読書】「采配」(落合博満 著)(満足度:8/10点中)


【どんな本かを一言で言うと?】

プロ野球の元・監督が自分の采配についての経験や原理原則を書いた本

【読もうと思った理由は?】

いつも著者の野球解説を聞いて、どんな事にでも自分の「原理原則」を持っており大変参考になるので、人事マネジメントの参考になるのでは?と考えた。

また、ベトナム法人に日本からくる2代目以降の日本人社長は、日本のように「よく知った先輩と後輩」に囲まれて仕事をするのではなく「すでに選手がいるチームに新たに入って、自分の思う通りの運営をする」と言う意味では、プロ野球の監督に相通じるものがあるので、参考になる部分がないかと思った。

【読後の感想】

(一言で言うと?)

とにかく、「自分はこう思う」と言う原理原則が非常に論理的に考えられている。また、一般常識とは違う、こだわりが強い内容も多く、退屈しない内容でもあった。これだけ、原理原則のポイントが考え抜かれていれば、仮に外国の出来上がっている組織に一人で管理者として入っていってもマネジメントのブレは少なく、即断即決できるだろう。

(新しい学びは?start, stop, keep, changeの視点で)

P35  「技と心は序列をつけにくいが、技術を持っている人間は心を病まないと言う意味で技を先にした。」(中略)「そうやって、セールスポイント、あるいは得意分野を2つ、3つと増やしていけば、ちょっとしたことで悩んだりしないはずだ。死後おt自体が嫌になるような状況に陥ることもないし、心の健康も保っていられる。」

「心技体」について、「まずは体力、そして技術があれば、仕事もできるので、心は安定する」、だから「体>技>心」という著者の考え方。

自分も「まずは健康」で「体」が最初にくるのは同意。次の「技」と「心」については、従来、「心」が先と思っていたが、確かに社会人である間は悩みの多くは「仕事」であり、ここをうまく回すことが、結局は心の安定につながる、と言うのは、その通りかもしれない。

ただ、プライベートでの悩みが仕事に影響する、と言う意味では、「心」が先、と言う見方もあると思うので、「心」と「技」は同列に扱う、もしくは相互に影響し合うもの、と言う捉え方が良いのかな、と考える。

P141 8年間、監督を務めてきて強く感じているのは、選手の動きを常に観察し、彼らがどんな思いを抱いてプレイしているのか、自分をどう成長させたいのかを感じ取ってやることの大切さだ。自分なりに選手の気持ちを感じ取りその意味に沿ったアドバイスをすることができればそれが厳しさを含んだものであれ、選手がこちらを見る目は変わる。「ああ、監督は俺のことを思ってくれているんだ」そう選手に思わせることができれば、そこから先のコミュニケーションは円滑になるのではないかと考えている。

これは、日本からベトナムのすでに出来上がっている組織に単身乗り込んでいく日本人駐在員には極めて大事なポイントであるように思う。仕事に対する厳しい評価をベトナム人部下に伝える場合でに、その前提に「この日本人は私の仕事をしっかりと見てくれている。自分の立場や環境、考え方も知った上で話をしてくれている」と思わせることができれば、随分とリアクションが変わってくると思う。

人事マネジメントを海外で回す上で「人事評価制度」に過剰に期待する前に「人間関係」が絶対的に大事であることを改めて認識した。

p185 どんな世界でも情報管理についてはメリットとデメリットを慎重に検討し、何のために、誰のために、と言う目的を明確にした上で公開すべきではないか。

ここでは選手の体調や先発投手の情報などプロ野球にことについて書かれているが、ビジネス全般に言えることと思う。SNSやメールマガジン、寄稿する情報など、自分が発信する情報1つ1つに「どんな目的があるのか?メリットとデメリットは何か?」をきちんと考えて扱っていかねばと改めて認識した。

海外に出れば「ガイジン」扱いされ、ちょっとした行動や言動で人間性を判断されるので、「自分ブランディング」の大事だと言う意味でも「思ったことをバカ正直になんでも話す」を厳に慎まねばならないのは当然だが、日本の駐在員の場合、逆に「感謝している、不満に思っていることはあるが、直接伝えない」パターンの方が多いようにも思うので、発信する情報がベトナム人従業員やベトナム人の取引先に与える影響もきちんと考慮して、どんな情報を発信するかのバランス感覚が必要であると考える。

(メモ)

これだけ考えの原理原則がしっかりとしていれば、その場限りや気分次第の判断をしない=後で後悔をしないと思う。

「自分はこの場面で、なぜその決断をするのか?」の理由を自分に深く問うて、自分の原理原則をしっかりと固めて、安定感のある人物となり、後悔のない人生の決断をしていきたい。

以上




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