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第754回「豊田英司の"今日のベトナムニュース解説"」 至極、私的な「ベトナムでリーダー人材がなかなか育たない理由」に対する見解

本日の記事:
「人口ボーナス期で金を掘り当てよう」
原題:
" Go for gold with golden population"

記事リンク:https://english.thesaigontimes.vn/go-for-gold-with-golden-population/


(写真:ホーチミン市の縫製会社で働く労働者の様子)


【本日のポイント】

(1)若い労働人口が豊富なベトナムですが、一方で2040年には「高齢化社会」に突入することもわかっています。

(2)その「人口黄金期」の間にリーダー人材や熟練技術者を育成しないと、ベトナムはいつまでも外国のテクノロジー企業の「下請け仕事」をする立場に甘んじることになると記事は危機を警告しています。

(3)人材育成は一朝一夕にはできませんが、早く手を打たないと日本のように若者が減ってからでは打ち手も限られるので、ベトナムの将来の繁栄のためにも「人口の黄金期」の間に一刻も早く課題着手することが望まれます

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【解説】

アジアゲートベトナム代表の豊田です。

さて、今日の記事について。

タイトルの「Go for gold with golden population」ですが、最初、「なんじゃ?」と思いましたが、まぁ、本文全体を読んでみると要するに

「ベトナムは人口構造の黄金期を最大限に活用し、人材を育成しないとなければ、今後、困難に直面するよ」

という話なので、「黄金期と共に栄光を目指せ!」的な感じかと思います。

まぁ、この手の話はベトナムでお仕事する方々なら「腐るほど」聞いてきたと思います。

要するに「質の高い人材」が不足している、と。

私が海外で働き出した2008年、ベトナムに半導体のインテル社が進出した際にはリーダー人材や基幹エンジニア、熟練技術者を見つけるのに非常に苦労している、という話があったそうです。

現在、ベトナムには多くの大手テクノロジー企業が進出しており、エレクトロニクス産業の従業員だけでも約130万人に達しているそうです。

ただ、ベトナム商工会の方によると、その130万人の大半は製品加工や部品組み立てなどサプライチェーンの最下層に携わっているだけで、上流の製品開発とかではなくて、下請け業務に甘んじている、と嘆いております。

で、ここから話はいつもの

「若者は労働市場の要求を満たすための十分な専門的かつ集中的な訓練を受けていない」

という話になっていきます。

うーん、、、
まぁ、そうなのかもしれないんですけど、、

でも、その話になったら、もう

「はい、あとはベトナムが国家施策で教育頑張ってください」

になっちゃうと思うんですよね。

で、私の、ごく主観的な

「なぜ、ベトナムにリーダー人材、熟練技術者が不足しているかの理由」

を述べたいと思います。

それは

「そんな、しんどいことするより、楽に儲けられるチャンスがゴマンとあるから」

これに尽きると思っています。

そもそも、企業が求めるリーダー人材、熟練技術者って何?」っていう話ですが、私なりの解釈で言えば

「そんなに給料も増えない中、それでも、「ある分野で傑出した成果を発揮する」ことを目指して、企業に雇われる中、少なくても10年くらいは1つの仕事でコツコツ経験を積み、スキルを磨き、”仕事を安心して任せられる”人材になる」

みたいな感じだと捉えております。

そう考えた時、私の経験上、それを阻むものとして

・不動産投資に躍起になり始め、仕事が疎かになる
・副業(特にネットでの商品売買)とかに時間を費やし出す
・リベートを取りやすい地位に着くための「社内権力争い」にエネルギー注力し出す
・友達や家族と会社を作ってしまう

で、結局、1つの会社の中で雇われながら
「キツくて地味だけど、能力向上には避けては通れない」タイプの仕事をやり続けるような人材が非常にレアになってしまう、という景色をこの10何年間、見続けてきました。

その要因として

「不動産業など、年率10%以上儲かるようなビジネスがゴロゴロしていた」

ことと、

「核家族だけではなく、一族、親戚まで生活の世話をしてあげたい、というスコープに入ってくるので、金はあればあるほどよく、”このくらいで良い”という”所得満足感”がなかなかこない」

というものが大きいと思っています。

後者の「家族観」に関しては、なかなか変わらないかもしれないですが、前者に関しては、ベトナムも以前のように「猫も杓子も不動産転売で年利20%」みたいな話も、そうそうなくなってくると思いますので、「1つのスキルを10年間磨き続ける」的な選択肢を選ぶビジネスパーソンは相対的には増えてくるのではないか、と楽観視しています。

こういう場合に企業側としてできることを考えた時、結局、むちゃくちゃ地味な話ですが、

「優秀になりそうな人材をできるだけ早く発見し、その人には”余計なことしなくても、うちの会社でコツコツ10年やったら、あなたの家族がきちんとご飯が食べられるような生活を手に入れられるよ”という報酬とメッセージをいかに与え続けられるか」

これだと思うんですよね。

もっとはっきりいうと、「できる人、できない人」「伸びる人、伸びない人」をしっかりと見極めて、それに見合った「処遇差」をつけることを断行するしかないわけです。

ただ、一方で日系企業の良さは、その「見極め」が比較的、長期展望的、というところもあって、1年や2年の出来、不出来で、「スパっ!」と首を切ったりしない、「雇用の安全性」みたいなところもあるので、バランスが難しいところですが。。。


多くの社会学的研究によると、ベトナムは2040年には高齢化社会に突入するそうです。
ですので、いつまでも

「若い人がジャブジャブいる国」

ということでもなくなってきます。

その時、我々にとってベトナムという国がどんな存在になるのか、それは今からの「リーダー人材の育成、確保」にかかっているのだろうと思います。

珍しく、ちょっと、抽象度の高い話を偉そうにしてしまいました、、、

以上 豊田英司
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