話題の「ワーケーション」について


最近、日本で「ワーケーション」という言葉をよく聞くと思います。

国土交通省内の観光庁のウェブサイトに

「ワーケーション推進事業」企業と地域によるモデル実証事業の公募について」

というのが出ておりまして、「お、国も後押ししてるんだ」と思い、中身を読んでみました。

この観光庁のウェブサイトでの「ワーケーション」の定義として

※「Work」と「Vacation]を組み合わせた造語。テレワーク等を活用し、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすこと。

と記載されています。これはご存知の通りと思います。

ワーケーションは、より多くの旅行機会の創出や旅行需要の平準化につながることに加えて、働く場所の自由度を高めるという点で、企業の働き方改革をはじめとする経営課題解決への寄与、地方創生等にも資する取組と捉え、その推進を図る必要があります。

観光庁のウェブサイトですので、やはり「Vacation」がメイン、という感じですね。

観光庁のページには具体的な企業事例も出ていて、結構、参考になります。

ざっとみたところ、パターンとしては

(1)個人意志が主導で、「在宅勤務より、もっと遠くまでいって、テレワークしちゃう」バージョン

(2)会社主導で、特定の地方で社会貢献勤務したり、チーム合宿的な活動を行うバージョン

に分かれるように思います。

実際には、この両方をうまく組み合わせているケースもあり、なかなか「ワーケーション」と言っても一意に決められないですね。

ただ、正直、こういう取り組みを始めているのは日本でもごく一部の企業で、多くの日本企業では、いまだに「在宅ワーク」に関して、

「やりやすい業務と、そうでない業務での社内の不公平感が出てしまう」
「勤怠や勤務態度が見えず上司からすると評価、指導、管理が行いにくい」
「お客様からの面談依頼にすぐに答えられないのは企業的に無理」

など、いろいろな理由で積極的には取り組めていないところが多いように思います。

大手企業の一部で在宅勤務の話題が出ているが、在宅勤務を「現在、実施している」企業は29.1%で、同一設問を設定した第18回調査(2021年10月)の37.0%から7.9ポイント下落した。「実施したが取りやめた」と回答した企業は27.2%で、第18回(20.7%)から大幅に増加した。コロナ禍で広がった在宅勤務だが、業績や労務管理、効率化などの評価が難しく、浸透しきれない実状を反映している。コロナ禍で隠れていた「人手不足」が顕在化するにつれ、労働環境の整備が遅れた企業は採用難に直結する恐れも出ている。


「ワーケーション」についても、「成果さえ出せればどこで働いても構わない」という理想の状態に近づけるための

・業務別の要求定義の明確化
・プロセスや態度、勤怠よりも「成果」を重視した人事評価システム
・「直接面談」について、本当に必要なものと、慣習的なものの取捨選択

などの業務プロセスや業務定義について討議して会社の大方針を先に考えないと、単なる「会社主導の合宿研修」や「ホテルに缶詰で仕事漬けの強制的な有給休暇取得」が増えるだけ、という結果になりかねないのかなぁ、、と感じました。

ベトナムでは、日本以上に「在宅ワーク」の要望が多いように感じます。

・日本に比べて公共交通機関が少なく、渋滞も激しく通勤の負担が大きい
・子供の学校への送り迎えが家族の義務である場合が多い
・日本に比べ小さいお子さんを育児中の女性管理職やそれに準ずる方が多い

と言った理由かなと思います。

コロナ禍で、ベトナムは会社への出勤を実質禁じられ、在宅ワークを余儀なくされたことで「在宅ワークで、会社、回ってるじゃん」と多くの従業員が感じてしまったので、この流れは不可逆的かなと思います。今後、中途採用などでも「在宅ワークをどの程度、認めるのか」が大きな条件になってくるのは確実で、日本以上に「在宅ワーク」、そして、そこから派生する「ワーケーション」と言ったものを検討する必要があろうかと思います。



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