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第674回「今日のベトナムニュース解説」 ベトナムの大手生鮮品チェーンが大量閉鎖で話題に

本日の記事:「スーパーマーケットチェーン、困難への挑戦」
Title:" Challenges for supermarket chains "

記事リンク:


(写真:スーパーマーケットで買い物をする客:ホーチミン市)

【ポイント】

(1)生鮮食品を中心に店舗数を伸ばしていたスーパーマーケットBach Hoa Xanhが突然の大量店舗閉鎖で話題に

(2)その要因としてベトナムの「食材購入コストの高さ」があると分析

(3)アメリカや中国などの大規模農業と比較した場合のベトナムの小規模農家による非効率な生産、物流や食品卸などの近代化の遅れ、など課題は多い

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【解説】

アジアゲートベトナム代表の豊田です。

さて、今日の記事について。

今日の記事は「いい記事」です。
私が長年、ベトナムの飲食ビジネスについて感じていた問題点が「ズバッと」記事になっています。

ここ数年、「すっごい増えたなー」というスーパーマーケットにBach Hoa Xanh(以下、”BHX”)という生鮮食品を主力としたお店があります。

ここはベトナム最大のモバイル製品やパソコン製品チェーンのThe Gioi Di Dong
(英語で”Mobile World")が経営しているお店です。

日本的にはヤマダ電機がヘルシー野菜のチェーン店をやってる感じですかね。

ここ4、5年、破竹の勢いで店舗数を伸ばしてたんですが、今、急激に店舗を統合整理していて話題になっています。

7月14日時点の公式ウェブサイトによると、全国の店舗数は1824店で、5月末の2104店から280店減とここ1ヶ月半で15%ほども閉鎖しています、

まぁ、それでも、むっちゃ多いんですけど。

じゃあ、ここが経営不振かというと「売上」はかなり伸びてるんですよね。

粗利だけでみると25〜26%と世界有数の小売企業であるウォルマートと比較しても遜色ない水準にあります。

ただ、小売業というのは粗利益率の割には純利益率が低い場合が多く、ウォルマートですら2.4%に過ぎないそうです。


私、製造業や製薬業界と比較的、準利益率が高い業界で働いていたので、この純利益率は、「うわあ、、、」という感じです。。

で、BHXの純利益率はどうかというと、なんと、これだけ店舗数を増やしているにも関わらず現時点でも損益分岐点に程遠い、要するに単年赤字だということです。

これは「マジ!?」って感じでびっくりしました。

結構、店舗数伸ばしてイケイケドンドンで、「テーゾイ、電化製品だけでなく野菜でも儲かってるんやなー」と思っていました、すっかり。

で、原因は何?って話です。

これは一言、「仕入れの非効率」、これにつきます。

これは私、ベトナムでのビジネスパートナーが飲食店を数軒やっていて、この10年、サポートする中でむちゃくちゃ感じていたんですよね、、、

例えば、ウォルマートなんかだと、世界中、特にアメリカの大規模農場チェーンみたいなところ契約して、おおむね契約した量と価格の野菜や肉を世界中の店舗に安定して提供できるんですよね。

ところがBHX社の場合、、というかベトナムの場合、農家も小さい規模ですし、近代化や機械化も遅れているので、これが非常に不安定なわけです。

で、地域の店舗ごとにそれ小さな農家や水産業社と取引せざるを得ず、非常に非効率かつ不安定なので、仕入れコストが高くなってしまい、結果、粗利益の高い割には最終的に手元に残る利益が減ってしまう、という感じだそうです。

親会社のテーゾイは電化製品の供給網では大成功してるんですが、特に生鮮食品ではそのノウハウもなかなか生きないようです。

いやー。やっぱり、そうかー。

私は「ベトナムの人事労務の専門ファーム」を経営してるわけですが、一方で「ベトナムで事業を行う起業家」でもあるし、10年以上、ベトナム人の飲食店経営のサポートをしながら内情を見ているので、やはり、時々、日本の飲食店の方なんかから

「一緒にベトナムで飲食店をやってもらえないか?」
「チェーン店としてベトナムでやりませんか?」

とか言われるんですが、全て即断でお断りしてます。

と、いうのはベトナムの飲食業の内情を知るにつけ、この「食料品仕入れの非効率&不透明」を目の当たりにして、自分はとても、利益を出す自信がないなぁ、、と思い。

もちろん、飲食のプロの方で目利きも素晴らしく、かつ、市場に行って直接、食品買い付けに毎日行って交渉するような情熱があり、かつ、店舗で提供する料理のクオリティーとオリジナリティーにも自信がある方はいいと思うんですよね。

私、飲食に関しては知識もないし、食材の目利きもできない、「食べる専門」のおっさんですので笑

ベトナムで飲食店をやって食材調達する、ということを考えると

・農家が小規模で非効率&不安定な供給

・物流網が弱く、遅い&粗いのでここで食品の質が落ちるし、供給不安定

・市場などでも地域ごとの小規模店(ていうか、時によったら、おばちゃんの個人店)みたいなところから買わざるを得ず、これまた供給も価格も品質も不安定

・店舗での保管も店員が決め事を守らず、外に出しっぱなしとかにして、これも心配


これだけ不安要素があると、とてもベトナムで生鮮食材(野菜、魚、肉)を使用するお店をやろう、という情熱と勇気は私には出ないですねぇ、、、

以上 豊田英司
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