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NikeのWeb3における次の手は黒のフーディー: RTFKTの創設者がすべてを語る(翻訳後半)

Part two of two parts Japanese translation of "Why Nike's next Web3 move is a black hoodie: Rtfkt’s founders tell all" BY MAGHAN MCDOWELL 18 JULY 2022
執筆: MAGHAN MCDOWELL 2022年7月18日 (※ 翻訳の正確さについては上記のオリジナル記事を参照してください。)

ナイキのスライド


Pagotto, Vasilev そして共同創設者の Chris Le が彼らのビジョンの概要を作成していたとき、あるスライドでナイキを彼らのロードマップに置いていた。靴のシルエットと2025年に買収されることの両方である。その当時、彼らはギークっぽく聞こえる言葉「ノン・ファンジブル・トークン」は避けていたし、ゲームはそれほどクールなものではなかった、という。パンデミックにはそれを変え、メタバースとNFTを単なる共通の用語ではなく、時代精神へと押し進めたのである。

「彼らがスニーカーをどのようにモデルとして作成してブランドとして確立させようとしてきたか、それはナイキがフィジカルな世界でしていることと同じであり、彼らのミッションもナイキと非常に近いです。」と話すのは Bianca Pham である。彼女はナイキのイノベーション・オフィスに2021年に勤務した後、NFTマーケットプレイスのクリエイター Palm NFT Studio の中で、クライアント・プロダクト・マネージメントを率いている。(PhamはRtfktの買収当時、ナイキに勤務していたわけでも、買収に関わっていたわけではない。) ナイキがWeb3へと足を踏み出していくに従って - ナイキは2019年に既にクリプトキックスの特許を出願していた - Rtfktは大きくなっていく上で生じる困難を和らげる役割をしていたのかもれない。「彼らにはスピードがあったし、デザインとテクノロジーの面でナイキのトランジションを容易にしていくことが出来たでしょう。」

Rtfktは他の会社からも買収のオファーがあったが、創設者達は興味がなかったと Le は言う。「我々の眼には(ナイキが)最高にグローバルなブランドです。我々はジョーダンを履いて育ったし、最高にクールな製品をつくる部門があります。」

鍵となる違いは何だろうか? ナイキは著名なアスリートおよび毎日の運動している一般のアスリート達の上にブランドを築いた。Rtfkt は同じことをしたいと思っていた。ただし、アスリート達ではなくインターネットに集う子供達やクリエイター達である、とVasilevは言う。

Rtfktは3DファイルをCloneXのホルダーに対して様々な3Dファイルをリリース。その中にはボディ全体をレンダリングできるモデルやデジタルのパンツやスライドが含まれる。ファイルをどうダウンロードして3Dのソフトウェアでカスタマイズするか、ビデオのチュートリアルも作成した。

今月の初め(訳注: この記事は7月18日に出版された)に、トークン・ゲートのサイトを通じて、すべてのCloneXのアバターの3Dファイルとその商業利用における権利がリリースされた。このことはCloneの所有者がマネタイズ可能な追加のコンテンツを作成出来ることを意味する。その範囲はCloneに着せる洋服や、Cloneの画像を利用したフィジカルの商品についてのムービーにまでおよぶ。Pagottoによると、知的財産に関するコンセプトの部分までも商用利用を可能にすることに関して、ナイキを確信させるのには時間を要した。結果的には「我々がビリオン・ダラー(の売上を誇る)会社に影響を与えることができる」ことを示したとVasilevは付け加えた。

Rtfktは様々なデザインのプログラムをどのように利用できるかを説明したYouTubeチュートリアルをリリースした。これはアンバサダー達のコミュニティを継続して養っていくためのものであり、ブランドはこれまでのところマーケティングにお金を落としていない。

「まだ始めてもいない我々にとって、3Dファイルのリリースは重労働であり完了の重荷を背負いたくないと思いました。」と言うのはB2B NFTテクノロジーのプロバイダーであるGiglabsのクリエイティブ・ディレクターを務める Tyler B Cohen である。彼は2つのRtfkt Clone達を使ってメタバース内のファースト・フードのレストランを作成するために働いている。「しかし、その作業によってマーケットに対して3Dで相互互換性をもった世界をつくることが目標であることを示す一方で、CloneXのホルダーたちに知的財産を使ったコンテンツ制作とマネタイズを、アクティブに参加することを推奨しています。」

アーティストであり、音楽プロデューサーであり、アニメーターでもある Ila Orbis は2つの CloneX のアバターに2万4千ドルを投資した。Rtfktのロードマップとクリエイティブ・エコノミーについてのビジョンに共感したからであう。現在、Orbis は3Dファイルと知的財産の所有権を用いて彼の音楽と芸術性についてのブランドを作成しようとしている。「人生でこれまで感じたことのないクリエイティビティーの波動が自分から出ているのを感じる」と彼は言う。

Rtfktは将来のアーティストに対してプラットフォームとパートナーシップを与えている。Space Drip スニーカーのコレクションは、クリエイティブ達とコラボレーションを行い、パーソナライズされたデジタルの Nike Air Force 1 を作成し、売上の何パーセントかを分け与えた。コレクションはナイキとの共同ブランドとして、フィジカルに「フォージ」されることが出来る。(一般的に)ナイキとのパートナーシップを締結するのは格段に難しく、かつこれらのアーティストは最年少で15歳であるとVasiloは言う。

Rtfktはナイキの著名なアスリート達に、デジタルのアイデンティティーを与えることでWeb3の世界に来てもらおうとしている。最初はセレナ・ウィリアムスである。先週の彼女のツイートによると「CloneX。それだけ。ツイートしただけ。」だそうである。

Serena Williamsの2022年7月12日のツイートから

信頼性とAppleのプレイブック


RtfktのビジョンはNFCチップを使うことで「フィジタル」な製品を、フィジカルな世界とデジタルな世界のNFTの両方で信頼性あるものにすることにある。初期の頃、中国の製造業者がいくつかの最初の頃のデザインをコピーし始めたとし、さらに真似っ子のNFTはWeb3空間ではお手の物だとVasilevは言う。チームはコミュニティにファイルをリリースすることによって、人々はコピーよりもイテレーションを作るようにインスパイアされると考えている。

RtfktはAppleの考え方と類似した「エコシステム」によってデザインされている。製品とそこから得られる特典はお互いに働きかけるように設計されていることを意味する。Cloneの所有者にはMnlthがエアドロップされるし、その製品はCloneが着用出来る、など。「あなたには全ての要素が与えられているのであるから、そのどれかを使わなくなってしまうようには、なりたくないでしょう。」Phamは言う。「それはあなたのデジタルのアイデンティティーであり、3Dアバターとアバターが着用出来るアイテムなのですから。」

プラットフォームを開発者によって開かれたものにするのもAppleの戦略と似ている部分である、とPagottoは指摘し、創設者達のバックグラウンドについても触れる。ソールト・レイク・シティに住んでいるLeはエンターテイメントの分野でゲーム、音楽ビデオとスキンの制作をしていた。マイアミが拠点のVasilevは、スニーカーをカスタム化するビジネスの前に、ストリートウェア・ブランドのソーシャル・メディア・ページを作成していた。そしてパリに住むPogottoはルグジュアリーで働いた後、eスポーツの会社FnaticのCMOになった。スキンをシューズにするために、Pogottoが彼らに連絡を取りあうことで知り合った。彼らのデジタル・スニーカーのセールスが6桁になった2020年の10月に各自は定職を辞めたのである。

フォージの需要


あらゆる製品を含めて、Rtfktのエコシステムに入札するのに必要な価格は、ナイキよりもルグジュアリーに近いものになるかもしれない。Cloneは一体につき少なくても11イーサリーム(ETH)であり、これは13000ドル以上になる。「デジタルのアーティファクトは少なくても2000ドルします。2000ドルをつぎ込むことが、そのお金で家賃を払うのに比べて現実的であるとは言えないと思っています。」とPhamは言う。NFTプロジェクトの急進性、つまり早期のコレクターが将来のドロップにアクセス出来ることから、新しいファンが参入するための敷居は高くなっていると言えます。

Vasilevが言うにはRtfktは新しい人々を迎え入れようとしているが、ドロップは毎回不足するモデルが発生している。あおしてすべてのアイテムが高い値段でスタートするわけではない。昨年の5月、メタピジョンは1ドルからスタートした。(ピジョンの再販価格は現在何千ドルにもなっている。)Rtfktは再販マーケットからも売上を得ているが、それほど高価格には設定されていない。「二次販売で10万ドルでアイテムが売れた場合、我々が10万ドルを手にすることを意味しません」とPagottoは言う。「我々のコレクターの一人とサポーターが利益を得るのです。」

「一般的にまず100人の顧客が必要で、その次は1000人だと人は言いますが、私達の最初の100人の顧客は今や億万長者です。私達が(再販価格が極端に上昇したことによって)彼らを億万長者にしたのです。」とPagottoは言う。顧客の数がどれだけ増えるかが、現在の成功の目安になります。「新しいドロップの度に、どうやって新しい顧客を獲得するかを考えます。しかし、よりルグジュアリーになっていくのは興味深いことです。私達が提供しなければならない量よりも需要が多くなっていくからです。」と彼は認める。

デジタル・ファッションでは早期に採用された製品であることから、特にスニーカー・バースの中では、これから更にフィジカルとデジタルのドロップがNFTとNFCチップによって関連付けられていくと考えられる。競争相手には Cult & Rain の他、新しいGmoneyの新しいルグジュアリー・ブランド、さらに既成のメーカーであるアディダスとプーマの今後の事業拡張も含まれる。

ツイッターやDiscordにおけるティーザや憶測を除けば、今年後半の計画をPagottoは公開することは出来ないという。継続して人々を招き入れることで、スニーカーとは何か、という考え方を変え続けること、そして複数のスキンを使って一番最初のフォームを装飾していくというアイデアを引き続き試していくことは確かだと言う。「まず土台があります。土台となるキャラクターの外見をスキンで変更していきます。その土台にフォーカスし、クールなマテリアルを開発していますが、まだそれについては語れません。あなたがそれを見たときに初めて、デジタルの世界から最初にそれが現れることを理解できるでしょうね。」(翻訳ここまで)


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