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巨大メタバースの大きなターニング・ポイント!Robloxの拡大がこれからのソーシャル・バーチャルアプリに及ぼす影響は?

今週末に行われたRobloxの開発者会議では数多くのアップデートが発表されたました。おなじみThe VergeJay Petersの記事を何点か要約してみました。メタバースの今後を占う中で重要なRoblox。引き続き大きな勢力を伸ばすであろう、Robloxの最新事情です。※本記事は翻訳および要約になりますので、情報の正確さについてはリンクしてある元記事を参照くださいませ。

Roblox: all the news about the popular social and gaming platform
https://www.theverge.com/23864790/roblox-news-announcements-updates
Sep 8, 2023
2023年9月時点で6千500万人のユーザを抱える超巨大なプラットフォームとなったRoblox。Epic Games' Fortnite (フォートナイト) や Meta's Horizon Worlds (旧フェイスブック、メタ社のメタバース)と競合するソーシャルおよびメタバースのプラットフォームであると言える。Robloxは従来子供の遊び場のように捉えられて来たものの、近年はより年長のユーザのための機能を提供するようになった。
例えばビデオ通話機能のような、17歳以上のオーディエンス限定のエクスペリエンスを開発者が提供出来るようにした。今後は大人の社交場としての機能を提供するような野心もある。さらに新規のアシスタントとなるAIチャットボットのような、クリエイターが新しいエクスペリエンスを作るのを助けるGenerative AIツールにも相当力を入れるようになったのである。

Robloxはビデオチャットを搭載

https://www.theverge.com/2023/9/8/23864026/roblox-connect-video-chat
9月8日の金曜日に行われたRoblox Developers Conference (RDC) にて発表されたRoblox Connect と呼ばれる自身のビデオ・チャット機能は、年内後半に提供されます。アバター機能はユーザの顔の表情を真似することが出来ます。キャンプ場や波止場といった、アバターが動き回ることのできるヴァーチャル環境を共有しての通話も可能です。

Roblox Connect

Robloxは既にソーシャル・ネットワークとしての機能を持ったアプリとして設計されています。テキストやボイスチャットを使って一緒にヴァーチャル環境で遊んでいる友人と連絡を取るような使い方が想定されています。そのため、ビデオに焦点を当てた機能を同じ目的で提供することはそれほど考えにくいことではないですし、Robloxが近年提供を始めた顔表情のアニメーションを見せるのにもうってつけでしょう。 (筆者は個人的に Roblox Connect は特に実名を可能にするプランがあることを考えると,おそらくRoboxのキャリアセンターにおけるインタビューに適した機能だという気がしている。)

PlayStation対応

噂されていたプレステ版の発表

Roblox is coming to PS4 and PS5 - The Verge
RobloxのPlayStation対応がRDCでアナウンスされました。10月にPS4とPS5の両方でアプリが利用可能になります。無料でダウンロード可能可能なRObloxは既にPC, Mac, iOS, アンドロイド, Xboxにて動作します。
Sonyのプラットフォームへの対応が待たれてきましたが、今までにもCEOの David Baszucki はPlayStationと任天堂のSwitchに対応する可能性を示唆してきました。RobloxはPlayStationのプレーヤーにすべてのエクスペリエンスへのアクセスが可能なことを約束しています。
筆者はSwitch版の可能性について質問してみました。
「Robloxは世界の何処にいてもどんなデバイスを使ってでも利用できるようにしたいと思っていますが、直近ではSwitch版の提供予定はありません。」
その一方で、RDCの壇上ではBaszucki氏は、さらに多くのプラットフォームが用意されていることを強調していました。9月以降Meta Quest上にて広く利用できるようになる、と既にアナウンスされています。Roblox は7月にオープンのベータ版をQuestアプリにてリリースしています。初日に100万以上ダウンロードされました。

クリエイターへの売上の分配方法の発表

Roblox is going to let creators that make assets and tools keep nearly all of their sales - The Verge

売上のシェアについての改定を発表、クリエイターに依ってはかなりの部分を分配することも。


Robloxは来年から、クリエイター同士でのアセットやツールの売り買いをマーケット・プレイスで行った場合に、売上から税金を差し引いた額をすべてクリエイターに分配すると発表。 この大きな変更は、クリエイター同士が売り買いするための Creator Marketplace におけるものであり、
アバターに関連したグッズを売り買いする(かつてAvatar Shopと呼ばれていた)Marketplaceにおける売上については当てはまりません。
現状はクリエイターがCreator Marketplaceでの売り上げの7割はカットされる仕組みになっています。しかし来年には、現在販売可能なプラグインのみならず3Dのモデルを売ることも可能になり、その売上のほとんどを手に入れることが出来るようになります。

VOGUE BUSINESS 「ゲーム内のファッションで何億円も稼ぐデジタル・デザイナーたち。」|ブリちゃんのシン・ニューヨーカー🗽 (note.com)

Creator Marketplace には更に大きな変更が加えられます。
Roblox内で流通する仮想通貨であるRobuxだけでなく、現実の通貨での売買が可能になるのです。Robuxとドルとの交換率は1対1ではないので、実際の値段についてはまだ不明ですが、来年の実現を目指しています。

CTOの Daniel Sturman氏はブログのポストで「クリエイターがいろいろな形でマネタイズ出来るように、私達が支援していきたい。他のアセットを購入して節約することでコストを効率化する手段になりますし、一方で支払いの割合を大きく出来るところはそうしていきたいと考えている。」と述べています。

Roblox’s new AI chatbot will help you build virtual worlds - The Verge

Robloxの新しいAIチャットボット


新しいツール Roblox Assistant (アシスタント) ではプロンプトの入力によってクリエイターがバーチャル空間を作成することが出来るようになります。

デモ(※上記のリンク先の元記事からご覧いただけます)「古代の遺跡がセットとなるゲームを作りたい」と入力するとRobloxは石をいくつか並べたあとで、苔に覆われた柱と崩れた建築物を生成。「プレーヤー達が遺跡の中でキャンプ・ファイアの周りに集まれるようにしたい」と入力すればキャンプ・ファイヤと腰掛けが現れる。「プレーヤー達が切り落とせるような木が何本かほしい」とタイプすれば近くに木が立ち並ぶといった具合です。
Robloxの広報のRoman Skuratovskiyによれば、そこではアセットはマーケットプレイスか、あるいはRoblox自身のアセット・ライブラリーから利用されるようです。
筆者は Generative AI 一般に懐疑的な見方をしていますが、これはテクノロジーの使い方としては非常に興味深いものがあります。The Verge とのインタビューで、CTOのSturman氏は、ツールによって基本的なゲームプレイ、例えば「ドアに触れたらテレポートする」のようなビヘイビアを作成できるかもしれない、と述べています。

ユーザがエクスペリエンスをより簡単に作成するのに役立つAIアシスタント。

アシスタントはRoblox上の開発におけるコーディングとQ&Aを助けることも出来るので、クリエイターにとって便利でしょう。クリエイターがアシスタントの機能を使えるようになるのは、年末近くか来年早々になる模様です。さらにこの先には、Sturman氏によるとアシスタントのより大きなバージョンがあり得るということです。より洗練されたゲームプレイの他、3Dモデルをスクラッチから作成出来るようになる可能性があります。
そのすべてが機能すれば、まるで(テレビ番組の)「ウエストワールド」のようなことが現実に簡単に設計できるようになるという、CEOのBaszucki氏のビジョンに近いものがRobloxで出来るようになるでしょう。

しかし、 Generative AIのツールは開発者やクリエイターのコミュニティが行っている作業を奪ってしまうことになりはしないか、とSturman氏に対して尋ねてみました。
「Generative AIはRobloxnのクリエイター達から、特定の技術的なスキルに頼る必要性を失くすことで、どんなエクスペリエンスであるべきか、そしてそれはどのように運営されるべきか、という点に於いて
天才的なひらめきを持っているクリエイターに差別化を施すことになると、信じています。」
実際にそうなるかは待ってみなければ分かりませんが、Robloxの開発者やクリエイター達が自分たちの手で作成する必要性は残ると筆者は思います。

RobloxはRDCにおいて、他のAIを基にしたアップデートについてのディスカッションを行いました。その中の一つはアバターを画像やテキストのプロンプトの入力から作り出すものです。例えば自分によく似たアバターを作ることがより容易になるかもしれない、ということを意味します。
RDCの壇上において、Baszucki氏は自分をコミック調にしたバージョンのアバターをツールを使ってどのように作成出来るかをデモしました。ツールは2024年にリリース予定です。それ以外にも Generative AI によって他のRobloxのエクスペリエンスから直接なにかを作成することが出来るようにしたいと言います。

以上が翻訳になります。Robloxは既にこれからメタバースをソーシャルの場として日常的に利用するであろう子どもたちをユーザとして多数抱えています。その優位性は他を圧倒しています。RDCの多くのアップデートからは、技術への投資をかかさず行ってきたRobloxの世界がAIによってますます広がっていくであろうことが予想できますね。

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