VOGUE BUSINESS: [最終回] ファッション・エグゼクティブのためのWeb3のチーム構築ガイド(翻訳後半その2)
Part three of three parts Japanese translation of "The fashion exec’s guide to building a Web3 team" BY MAGHAN MCDOWELL 12 JULY 2022
執筆: MAGHAN MCDOWELL 2022年7月12日 (※ 翻訳の正確さについては上記のオリジナル記事を参照してください。なお翻訳の前半は以下になります。)
複雑な法律と財務の必要性
ほとんどのブランドが新たに雇うか前から抱えている法律や財務の専門家たちは、今まさにWeb3の新しいチャレンジを学んでいるところである。特にデジタル・グッズについての知的財産に対する関心や、仮想通貨についての疑問なども含まれる。さらにスマート・コントラクトやクリプト・ウォレットなどにも広がっている。匿名の人たちあるいは、gmoney.eth のようなENSドメインに対して単純にどうやって請求や支払いをするか、という問題であるかのようにも見える。
法律や財務のチームとのミーティングは、アディダスのイントゥ・ザ・メタバースのローンチにあたり、最も難しい準備作業の一つだった Mayor-White は言う。間違いやセキュリティのリスク、あるいは上場企業として調査されるリスクはその理由の一部である。特に財務の側では、明確な解答よりも疑問点の方が多いのである。しかしチームはスキルを向上させることで、新しく必要となる問題を解決していると Mayor-White は言う。「お金の行き先はどこかでしょう?会社のバランスシートなのでしょうか? 我々はイーサリウムを所有しているのでしょうか?もしそうであれば、イーサリウムが下落した場合には、それは損失として計上されるでしょう。そして投資家はどうして我々が500億円も失ったのか尋ねるかもしれません。」
プロジェクトは30000個のNFTが数分で売り切れになった。7ヶ月目にして二次流通で45000イーサリウム以上になった。アディダスはこの売上の一部を Gmoney, Bored Ape Yacht Club および Punks Comics といったパートナー達と分配している。(今日のマーケットでは5100万ドル以上の価値がある。)
クリプトが保存されるウォレットという考え方についても財務部門は学ばなければならない。会社の中で一人の人間がアクセスすべきか、あるいは複数の人か、また誰がアクセスするべきなのか? 企業が現在評価している手段としては、self-custody wallet は、個人や企業に対して保護されているウォレット(訳注: サービス・プロバイダが秘密鍵を持ち、クライアントに対してサービスを行う)を Fireblocks や Coinbase といった会社が提供している。企業は秘密鍵やクリプトへアクセスする必要はなく、ウォレットがハックされる心配もなく、万が一の場合でも保険金が下りる。Web3サービスの会社、Serotoninの共同設立者であるAmanda Cassattが 最近 Vogue Business に説明してくれた。
オフホワイトやその親会社のファーフェッチ、さらにグッチ、フィリップ・プレイン、タグ・ホイヤーといったブランドが、仮想通貨の支払いを受け付け始めてからもこれらの疑問は続いている。例えば、顧客が仮想通貨を使って製品の支払いを行った場合に、その仮想通貨の価値が下がるあるいは上がる場合に、ブランドはどうやって顧客に送金すべきか。今のところ、多くのブランドはローカルの通貨を顧客に返金することを選択している。製品が売り出されたときの価値に基づいて換金するのである。
アディダスはCoinbaseと提携することでクリプトのウォレットを作成しており、仮想通貨を使って支払いが行われる歳、アディダスの元に送金される前に通常の貨幣に変換される。Mayer-White によると、今後は上場企業は仮想通貨を保持する目的で、子会社となる所有会社をクリプトと親和性の高い国に設立するかもしれない、という。
「私達にはデジタルのアセットを所有するために、頑健なシステムと小切手を必要としています。」Wykes-Sneyd は言う。「ほとんどの領域で規制がなく慣例も確立されていない、疑いようもなくリスクが取り巻いている状況です。」今後アディダスは自社でウォレットを管理するようになるだろう、と彼女は付け加える。「それは重要なステップだと感じています。私達は、重要なインフラをアウトソースするよりも、将来をフルに自分たちで構築していきたいのです。」
それ以外にも重要な項目として、トレードマークの出願を行うことで、ブランドのバーチャル空間におけるマーク、さらに製品(例えばGmoneyのアディダスのパートナーシプ)の生産を一緒に行うパートナーたちのマークをカバーすることが挙げられる。法律のチームはビジネスのパートナーシップと(トレードマーク、著作権、特許といった)知的所有権にフォーカスしている、とWykes-Sneyd は言う。
バーチャルな製品に対して直接当てはまるクラスはないものの、該当するいくつかの共通クラスはブランドの間でよく使われる。クラス9, 35さらに41は、ダウンロード可能なバーチャルな衣類やアクセサリー、バーチャルな衣類を売るオンライン店舗やバーチャルな通貨、ゲーム内の衣類、認証の証明書。ブランドはこれらのマークを登録している企業にはナイキ、ラルフ・ローレン、そしてグッチがある。
この時点で複雑さは十分だろう。グッチとプラダは、今年の始め強欲な個人によって、そのトレードマークが商標登録されそうになるという事態に直面した。エルメス(当時は上記のクラスにマークを登録していなかった)は、彼らのバッグをデジタルに翻訳したアーティストに対して、ナイキは彼らのデジタル・バージョンをNFTとして売ろうとしたStockXに対して訴訟を行った。
「どんなブランドもトレードマークをメタバースに対して商標登録すべきです。」と、ファッション・テックの法律事務所の代表であるArent Foxは Vogue Business に語ってくれた。
本節のまとめ: 法律や財務についての検討項目は、Web3の戦略において最も複雑かつ重要なものである。ブランドは、仮想通貨を保持するのか、保持するならどんな方法で行うのか、あるいは知的所有権をバーチャルな世界でトレードマークとして商標登録するべきかどうかを決定すべきである。
関連リンク: メタバースと商標登録 ENSドメイン ブランド クリプト支払いの受付 アディダス・プロジェクト
メインラインに道を広げるマーケティング
ブランドのNFTとWeb3のプロジェクトのうち最初のプロジェクトの多くは、マーケティングの下で始められており、単体の製品あるいは売上に直結するものとは見なされていない。これはeコマースやソーシャル・メディアが元々始まった時と同様である。それは変化してはいるものの、ブランドの精神を新しいカルチャーに翻訳するのにマーケティングとクリエイティブが重要な役割を果たしていることに変わりはない。新しいカルチャーには、デジタル製品の再生性やデザインおよびDiscordのような新しいコミュニティに従事することが含まれる。
「私達が組織として成立していく中で、特に投資先という点でマーケティングとブランドの役割が、わずかに矢先の部分にしか含まれない傾向があります。でも消費者がいるのがココであれば我々もココにいるべきでしょう。」プーマのPetrickは最近 Vogue Business に語ってくれた。「そうすれば私達はエイト・ボールの後ろに自分たちを置くことが出来て、またゲームを始められるのです。テクノロジーの中では、一つのステップの変化があります。人々のコミュニケーションの仕方、そしてマーケティングがリードしていく方法についてです。今回は正しい方法で行われることで、組織のオペレーションの部分に持っていけるように願っています。」
全体的に、新規採用やメンバーでベストなのはパッションのある人だとGmoneyは言う。「関わる人々は給料を支払われるかいないかに依りません。もちろん、ソリディティ・コントラクトを作成できる開発者が欲しいでしょう。しかし技術的な面はそれほど重要ではないのです。NFTスペースにおけるカルチャーを理解できるかどうかなのです。例えば、Discordを使うための最善の方法は何か? コミュニケーションはどのように行われるべきか? タウン・ホール(訳注: 全体ミーティング)はどんな感じか?、といったところです。」
実験と失敗がこの仕事にはつきものであることを、AuraのOtt氏は彼女と一緒に働く人達に思い出させるようにしている。「これは私達すべてにとってまったく新しいテクノロジーなのです。革命的なことは多くの場合に、スタートアップのカルチャーの中に見られるように、正しい方法で出来なかった最初の試行から多くを学ぶのです。」
本節のまとめ: Web3チームの結成には、組織全体の従業員を通じて、革命を加速化するような事柄に興味のある人を探すべきである。
※翻訳は以上です。つたない翻訳を最後までお読みいただき、ありがとうございました。何か一つでも覚えておきたいと思われるワードやコンセプトが見つかった方は、スキしていただけると嬉しいです。反応があればまた翻訳に挑戦してみたいと思います。
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