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VOGUE BUSINESS: ファッション・エグゼクティブのためのWeb3のチーム構築ガイド(翻訳前半)

Part one of two parts Japanese translation of "The fashion exec’s guide to building a Web3 team" BY MAGHAN MCDOWELL 12 JULY 2022
執筆: MAGHAN MCDOWELL 2022年7月12日 (※ 翻訳の正確さについては上記のオリジナル記事を参照してください。)

Web3の時代がやってきました。ファッションはインターネットの次のステージへと進んでいきます。ハッキリしているのは、非中央集権(decentralised)、ブロック・チェーンを基盤にしたプラットフォーム、ヴァーチャル・グッズ、NFTとコミュニティがご褒美として与えられるインフルエンサー達のカルチャー、透明性と(多くの場合に)匿名性です。そこで一つの疑問が生まれます。誰が Web3 戦略を先導するべきなのでしょうか?

Web3は潜在的に変化を生み出す可能性を秘めており、いくつかのインターネットの初期段階と比べられることが多いです。Web1 はe-コマースの破壊をもたらし、Web2はソーシャル・メディアとユーザが生成するコンテントを紹介しました。Web3の原理はヴァーチャルな世界やヴァーチャルなグッズのようなメタバーズのプロジェクトと重なる部分があります。今回、テクノロジーとWeb3によってもたらせられる変化は、ファイナンスや知的所有権といったビジネスの核となるエンティティに対して、より直接的な影響を直ちに及ぼし、様々な実験は多くの場合により重要なものになるでしょう。一方で、消費者からコミュニティへの変遷といった難局、その過程における共創が起こると考えられています。

Teddy Pahagbia (Web3のファッション・コンサルタントであり、コンサルタント会社のBlvck Pixelの創始者)が最近、Vogue Businessに語ってくれました。「『どうやってこの新しいテクノロジーを使って価値を創出することができるか』というビジネスモデルは、これらの会社にとって非常に本質的な部分です。私達はそこに向かっていこうとしているので、まさに鍵となる部分なのです。」

ブランドはアプローチを形式化し始めています。ブランドの新しい時代に対する精神を解釈することが目的の、より長期の戦略を開発中です。そのためには、多くは変化を導くためのシニア取締役を抜擢しています。取締役はその目的のためだけに、フルタイムの社員とビジネスの様々なエリアの社員の両方からチームを結成します。
そのうち何人かは分離したビジネス・ユニットを確立して、それ以外の人たちはこれらの機能を現存するデジタルとイノベーションのチームに統一化しようとしています。

グーグル検索に見る「Web3の仕事」に対する興味

これは業界全体で起きていることなのです。「Web3の仕事」のグーグル検索はここ何ヶ月かで上昇トレンドに乗っています。この記事の発行時(訳注: 2022年7月12日)、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)は Web3プロジェクトのマネージャーを募集中です。この役職には、内部でWeb3のコンセプトとフィロソフィーについてコミュニケーションをとりつつ、ブロックチェーンとNFTを使ってより「没入感のある顧客経験」をつくることが含まれます。ナイキ(Nike)はナイキ・ヴァーチャル・スタジオ(Nike Virtual Studios)のシニア・ディレクターを探しています。その候補者はスポーツとカルチャについての情熱に加えて、Web3、ブロックチェーン、NFYそしてメタバースのデザインに関するフィロソフィーについても情熱を持ち合わせていることが要求されます。バーバリー(Burberry)のマーケティング部門ではシニア・デジタル・イノベーション・マネージャを募集中です。マネージャのタスクは「ストーリーをよりエキサイティングに語るために」ブロックチェーン、Web3、ゲームそしてミックスド・リアリティを使用することになっています。シャネル(Even Chanel - Web1 holdout)は、ブロックチェーンの知識があって、デジタル・プロジェクト関連の契約を監督するリーガル・チームを雇おうとしています。

単純に「Web3マネージャー」というポジションを雇うだけ、というほど単純ではありません。ブランドのミッションに最適にマッチするWeb3プロジェクトがどんなタイプか、Web3の戦略が成功しているかどうかを測るための尺度は何か、プロジェクトに必要とされる種類の専門知識、そしてインハウスで出来ることと、外部のパートナーを通じて出来ることは何かを考えなければなりません。Web3に特化した専門知識は必須なので、外部委託することには意味があります。しかしWeb3までブランドを拡張するどんな場合でも、ブランドのDNAについての深い知識が必要とされ、多くの場合に社内で働く社員の手に成功はかかっているのです。同時に彼らはどの程度のリスクに耐えることが出来るかも測定しなければなりません。前衛的なことをすれば、それが報われる可能性はありますが、予算はしばしば予測可能な売上を元に計上されます。独立したWeb3のチームの設立が長期的に戦略かどうかを決定する必要もあるでしょう。

ブランドはすでに動き始めていますが、その戦略と用語の使い方はそれぞれ異なります。メタバース中心であるか、Web3寄りか。マーケティングとイノベーションはグループのレベルで行うのか、ブランドのレベルで行うのか、あるいは両方か。キーとなる要素は何か? ブランドはこれを真剣なものとして捉えています。専門家からクリエイティブ、マーケティング、そしてソーシャルからテクノロジー、リーガル、ファイナンスまでを組み合わせています。その方法を以下に示していきます。

(訳注: 今回の翻訳は最初の項目以外は含まれていません。反響がありましたら後半も翻訳します。)

あなたにWeb3のチームは必要ですか?

Web3のプロジェクトを取り入れているブランドの中でも、Web3のための分離・独立したチームが必要かどうか、審判は下されていません。いくつかのブランド、例えばバーバリー(Burberry)やラルフ・ローレン(Ralph Lauren)はすでにあるデジタルの運営の中に組み込むことで開始しました。一方でグッチ(Gucci)は専門の「スタートアップ」であるドリーム・ビッグ・チームをブランドの中に形成しました。他にも、バルマン(Balmain)やレベッカ・ミンコフ(Rebecca Minkoff)は、プロジェクトを既存の枠組みの中に統合しています。おそらくeコマースがすでに統一されているのと同じ方法でしょう。理由の一つには予算がありますが、一方でWeb3の仕組みが全体に吸収されていくであろうことを前提にしているからです。

ヴォーグ・ビジネスのコミュニティ内での最近の調査によると、20%がWeb3チームが作られていることを知っているそう。最も一般的なアプローチは、グループ内のすべてのブランドをまたいで機能する専門の「セントラル・イノベーション・チーム」であり。また別の方法としては、各ブランドごとにチームをつくることだ、と非営利団体のオーラ・ブロックチェーン・コンソーシアム(Aura Blockchain Consortium)で全体幹事を勤める Daniela Ott氏は言います。オーラ・ブロックチェーン・コンソーシアムはルクジュアリー・ブランドのために作られたブロックチェーンのプラットフォームです。LVMH, プラダ, OTBグルーム、カルティエなどが会員です。彼女が言うには、テクノロジーの専門家を迎えること、プライバシーと知的財産、パートナーシップの点で法律に関する専門家の助け、組織を作ってプロジェクトを運営するスキルを持っているエグゼクティブ、グラフィック・デザインやユーザ・エクスペリエンス、ストーリーテリングといったクリエイティブに関する専門知識が重要なのだそうです。

ヴォーグ・ビジネスの投票結果 あなたの会社は現在 Web3 の戦略ないしはチームを始めていますか。

Blvck Pixel'sのPahagbiaにアドバイスはこうです。「最も安全な方法は、会社の中でスタートアップを立ち上げるように、ビジネス上の運営母体と切り離された新しいユニットをつくること。」「現実に起こっていることはあまりに破壊的な出来事であり、いくつかの会社はデジタルへのトランスフォームを完全に終えているわけではないのに、さらに新しいレイヤーが出来ている。」
彼が言うには、分離されたエンティティーを持つことは、毎日のオペレーションと切り離すことにより、チームが自由に素早く動けるようになることで「新しい血」が混ざるようになることです。

12月に行われたアディダス(Adidas)のInto the Metaverseのローンチは話題を呼び成功したブランドのプロジェクトの一つだと考えられます。当時は専門の委員会に属する20人以上がプロジェクトを率いていました。独立してコンサルタントになるために会社を去る前にプロジェクトを統一していた Ben Mayor-White によると、プロジェクトが進行中でも多くの人々が元々従事していた役職を同時に努めていたそうです。プロジェクトのグリーン・ライトを得るためにこの機会についてエグゼクティブを教育することも、このチームが果たしたことの中に含まれています。

アディダスはそのアプローチを形式化しています。「私達は聴くことと学ぶことに多くの時間を費やしましたが、最終的には新しいWeb3スタジオにつくって社内に専門知識を蓄積することに決定しました。」とアディダスのブランド・コミュニケーションのVPであるErika Wykes-Sneyd氏は言います。彼女はInto the Metaverse戦略をリードしました。「このプロジェクトによって一つのブランドとして明確なロードマップを作ることが出来たと思います。カルチャーを取り入れてブランドとして発信する、というアプローチをしています。これが意味するものは、両端を繋ぐの経験をデザインすることのできる、完全に統合化されたチームです。」

Daniela Ott氏とのQ&A

バルマンは過去に複数のNFTのプロジェクトを始めているが、CMOのTxampi Dizによると、別のチームを立ち上げるのではなく、これらのプロジェクトを現在ある組織に統一化することを選んだそうです。そこには、バルマンのデジタル、クリエイティブ、パブリック・リレーションおよびコミュニケーションのチームが含まれています。

Web3のインフルエンサーであり、投資家であり、設立者であるGmoneyは、このような(訳注: チームを分離するかどうかの)違いは「単なる意味づけでしかないでしょう」と認めています。「最終的には一つに統合されるという意味です。でも実際にはその分野で元から活動してきた人たちを(チームに)加えるために、最初は目立たないところでの活動から始めなければならないのです。」

まとめ 会社組織全体の中から既に役職のある人同士を選んでお互いにコラボレーションすることにより、テストと改良の繰り返しを素早く行うという賢い方法でWeb3戦略を開発しています。それ専門に行うチームは必ずしも必要ではないですが、しばしば推奨されます。
(訳注: 翻訳後半を期待される方はスキをお願いします。)

リンク集 グッチのチーム Web2.5 Web3戦略のハウツー


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