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きっかけは二度の体制変更。食べチョク開発チームが“アウトカム重視な思考”に変化できた理由 #食べチョクチーム

まもなく5周年を迎える「⾷べチョク」。
この2年で売上は128倍、ユーザー数も65万人とサービスが急速に大きくなりました。

それに伴い、社内の開発体制も急速な変化を求められました。2年前は4人だった開発組織は今や40人規模となり、そこに至るまでに二度にわたり大きく体制を変更することに。

ただ、体制変更を経て目の前のタスクをこなすことに一生懸命だったアウトプット重視な思考だった開発チームは、一人ひとりがアウトカム重視な思考を重視して課題に取り組むチームへと変化しました。

今回は、この変革期を共に乗り越えた2人のエンジニアマネージャーとアドバイザーに”なぜ変化できたのか”を振り返ってもらいました。開発チームが大事にする“アウトカム重視な思考”に触れながら、スタートアップの開発組織のリアルな行動変容のいきさつをご覧ください。

メンバーを増強したが、タスクをこなすのに精いっぱいな日々

――まずは皆さんそれぞれがビビッドガーデンに入社されたきっかけと、簡単にどんなお仕事をされているのか教えてください。

藤本:前職ではBtoB向けの新規サービスの立ち上げを担当していました。ずっとそのプロジェクトを担当していて、2年半前、その仕事がひと段落したところで今後のキャリアについて考え始めたんです。

ちょうど、そのとき代表の秋元さんのインタビュー動画をたまたま見て、「今まで培ってきた技術が生産者さんの課題を解決することができるんだ」と興味を惹かれました。それがきっかけです。

入社後はエンジニアとして食べチョクに足りないものをどんどん作っていきました。メンバーが増えてきてからはマネージャーとして、組織全体も見るようになりましたね。

角谷:私は新型コロナウイルスが拡大したすぐ後、採用担当の平野さんから「チームをスケールさせたいけどどうしたらいいんでしょう」と声を掛けていただきました。それがきっかけでアドバイザーとしてお手伝いさせてもらうようになったんです。

当時、フルタイムで勤務している社員は3、4人程度。チームを大きくするための土台作りには手が回っていない状態でしたので、そこをお手伝いしています。

松久:前職で10年近く仕事をしていたタイミングで新しい事業、新しい仕事にチャレンジしてみたいと思うようになったんです。自分の持っているスキルが活かせる技術が使えて、自分の興味のある分野で仕事を探していました。

あと、以前仕事を一緒にしたことがあった角谷さんがいらっしゃったことも理由の一つです。ちょうど会社が大きくなり始めて、社内のチームができ始めた1年くらい前からお手伝いさせていただいて、その後 正式入社となりました。

――新型コロナウイルスが流行する前まで、当社のエンジニアは3人しかいませんでしたが、サービスの急拡大に伴い、エンジニアの人数が少しずつ増えてきました。この頃はどういった状況だったのでしょうか。

藤本:エンジニアが3人だったときは目の前のタスクを粛々とこなしていった感じでしたが、コロナ禍に入ってからはそれまでのスピードでは間に合わなくなりました。一方でやらなければいけないことがどんどん生まれてきて、元から抱えていたタスクもあって優先順位が日々変化していた時期でした。あのときはみんなが「生産者さんの力にならないと」と必死でした。

とりあえず業務委託の方にどんどん入っていただいて、それで何とか回していたという感じでしょうか。

角谷:私が参加した2020年11月ごろが、まさにそのタイミングでした。いろいろなものをどんどんやっていかなければいけない状態にずっとさらされている。でも、それができなかった。

例えば、食べチョクのカート機能。「こういう機能にしたい!」という構想はあるけれども、それを全部入れると他のことができなくなってしまう。では、プロダクトが良くなる方向に持っていくために、どうやってフォーカスしていけるか、ということを考えていました。その中で、何が妨げになっていてスムーズにいかないのか、探っていた感じですね。

考える余裕を生む、物事に集中するためのチーム分割へ

――2021年に入って、ちょっとずつ正社員が増えてきました。カート機能がひと段落した3月ごろからチーム分割の話が出てきましたね。

角谷:そうですね。メンバーが増えて10人規模になったとき、ミーティングをやっていても、発言する人が決まってきてしまって、発言しない人も出てきてしまって……。社内でコミュニケーションを取ろうとしても、効率が悪い。つまり、コストパフォーマンスが良くないな、と感じていました。

一つのことをみんなで取り組むというのも大事なのですが、我々には合っていない。そこで3、5人くらいの単位で複数のチームを作るというやり方にたどり着きました。

幸いにも、取り組む仕事のジャンルでキレイにチーム分けができたので、とにかく分けてしまおうとなったのが始まりです。

藤本:「社内の全員がすべてを把握して仕事を進めるのは無理なのでは」という話がよく話題に上がっていた時期でしたね。ただ、知識を持っている社員に偏りがあったので、チーム分けしてしまって大丈夫かな、という不安はありました。

角谷:昔から活躍している藤本さんは幅広く、現CTOの西尾さんは全部を把握していました。でも、新しく入ってきた人たちは入ったばかりでチームの端から端までを見て、把握していくとなると大変ですよね。

――結果、フルフィルメントチームと購入体験チームに分割しました。チーム分けをやってみて良かった部分や大変だった部分を教えてください。

藤本:最初は「お互いのチームがどんなことをやっているのか分からない」ことを課題に感じていました。

しかしそれ以上に、それぞれのチームの中でいろいろな計測をして、検証して、効果を考えて、対策を考えるという話し合いがされるようになった。そのようにワンチームだったころの大きなサイクルでなく、小さなサイクルでうまく回す形が見えたことが良かった部分かなと思います。

角谷:小さい複数のチームになることで、担当の持ち場が決まった。そうなれば最初から最後までチームで完結してサイクルを回すという体制ができます。そうなれば、ただプロダクトを量産するのではなく、成果を重視して進める意識が生まれますよね。アウトプットから、生み出したものの成果を見据えたアウトカムへ意識が変わっていったように感じます。

藤本:ワンチームだと、次にどんな仕事が来るのか分からないので、次を考える余裕が無かったですね。でも、チーム分けによって考えるための余裕を作ることができた。それが大きかったと思います。

松久:私はちょうどチーム分割期にビビッドガーデンに入ってきたので、お二人がおっしゃっていることをすごく実感しています。当初は大きなチームがどーんと一つあって、全員で話をしている。「ミーティング長くない?」って正直思っていました。角谷さんがおっしゃったようにコスパは悪かったのかなと。

ただ、チーム分けによって新たな課題も同時に生まれたのも事実です。当時、購入体験チームで課題となったのが、やることを自分たちで決めて打ち出さなければいけなくなったということでした。それまでは、来たものを打ち返すような仕事の進め方だったのですが、自分たちで作りたい成果を決めて、成果のために作ることを決める必要があった。なのでチーム分けされたばかりの頃は「やることをどう決めればいいのだろう」という難しさがありました。

さらにミッションベースのユニット体制へ—アウトプットではなくアウトカム重視な思考に

――2チーム体制から、さらにチームが細分化され、ミッションベースでチーム分けすることになりました。当時の背景や変化を教えて下さい。

松久:チームを2つに分けた段階で「やらなければいけないこと」「どんな成果を作りたいか」を検討したのですが、チーム内でも結構バラバラだなと。ただ、そのバラバラな中にも方向性があったので、それに合わせてミッションベースという形でチームを分割しようとなりました。複数のアウトカムに対しての1チームが大きすぎたということかもしれません。

また、チームの運用面でも大きいチームよりも小さなチームの方が動きやすいので、そこから慣れていこうという狙いがありました。

藤本:正直、2チームのときは私や西尾さんが全体のこぼれ玉のようなタスクを拾っていた印象です。ミッションベースでチーム分割が進んでから、さらに個々人の役割が明確になったので徐々にタスクが絞られてきたなと感じています。

角谷:チームを中心にプロダクト組織を作りたいというのがあって、そのためにはチームはなぜ存在していて、どういう目的を果たし、どんな持ち場のチームなのかというのを定義する必要がありました。

その点「チームトポロジー」の考え方は便利だなと感じました。チームを中心に価値の流れがスムーズになるようにやるのが基本原則だったので、これを参考にミッションベースで分かれるチームの定義を考えていました。

――アウトプット重視からアウトカム思考への転換についてはいかがでしょう。

角谷:プロダクト開発は決まっていることをやったら、決まった結果が出る仕事ではありません。やはり「何のためにやるのか」「どういう効果があるのか」と目的をしっかり見据えてやらないとうまくいかないですよね。

何のためにやっているのか分からない仕事を続けていくと、だんだん疲弊してしまう。そういう場面をこれまで他の企業で何度も見てきたので、それは避けたい。だからこそのアウトカム思考だと考えています。

藤本:そうですね。チーム分割をきっかけにアウトカム思考を意識することで、みんな昔よりも数字を気にするようになったし、それをもとに話をするようになりました。PDCAが回せる土台ができてきたと思います。特に最近はそう感じますね。

松久:チーム分割によって自分たちで、何を調べて、何を判断軸にして、何をするか決めなければいけなくなった。これが大きな転換点だったのではないでしょうか。

藤本:ミッションに対して、自分で考えて動いていけるようなチームへと徐々になってきているように思います。

ビビッドガーデンは“変化することに抵抗が無い”会社

――これまでお話しいただいた通り、プロダクトチームはここ1年半くらいで、チーム体制や朝会のやり方など、頻繁に変えてきました。これが実現できたのはなぜだと思いますか。

角谷:プロダクトチームに、技術的にどうやって実現するかをすべて任せてもらっているのが大きいかもしれませんね。そして、「変えた方がいいかも」「試しにやってみよう」ということに抵抗が無い会社だなと思います。大きな会社だと、ここまで柔軟にやり方を変えるのは難しいですよね。

だから、いろんな変化や取り組みもやっていきやすいし、うまくいかなければアレンジしたり、思い切って止めたりできる。まだまだ、課題をクリアしたら次の課題が出てきて、そのときに新しく見えてくるものがある。ビビッドガーデンは、そうやってまた変化していくのではないでしょうか。


ーーありがとうございました!!

開発組織はプロダクトの価値を最大化すべく、さらなる進化を目指しています。
ご興味ある方、ぜひぜひ一度お話しましょう!

また、今後こちらのマガジンでリアルな社内情報をお届けします。是非ご覧いただけますと幸いです。


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