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5分で分かる!人気銘柄楽天グループを評価~企業財務分析


挨拶

このページをご覧になってくれている方ありがとうございます。改めましてコブータと申します。私は米国公認会計士や簿記2級の学習を通じて会計のマニアになりました。企業の財務分析を行うことで皆様の投資判断の材料にしたり、就職、転職の企業分析にお役立ちいだだければと思います。今回は楽天グループです。楽天モバイル事業が苦戦しているとのことですがどうでしょうか?どこの企業の分析をしてほしいとリクエストがありましたらコメント等に残してくれると嬉しいです!

企業概要

楽天は1997年2月に現在の楽天市場を運営する株式会社エム・ディー・エムを設立したところがスタートです。インターネット関連企業ということで歴史は浅いですね。当初は全く違う会社名でした。楽天の名前になったのは1999年からでした。

事業内容

楽天グループの事業は下記の3個の事業に分けられています。

  1. インターネットサービス

  2. フィンテック

  3. モバイル

インターネットサービスは楽天市場や楽天トラベルを中心とした事業ですね。その他にも楽天ブックスやRakuten Fushion、ラクマ等様々なインターネット事業を手掛けています。
フィンテックは楽天グループの金融事業です。楽天銀行や保険、証券、カードの事業がフィンテックに当てはまります。
最後はモバイル事業ですね。苦戦している楽天モバイルの事業ですね。この事業の成績について見ていきましょう。

人員について

楽天グループの従業員数内訳は下記の通りです。
従業員数は約3万人の大企業です。その中でもインターネットサービス事業に約1/3の従業員を割いていますね。やはりメインは今でもインターネットサービスということでしょうか。

楽天グループ従業員数

働きやすさについて

現在注目されている働きやすさですが、楽天は子会社も多いので楽天グループのみのデータを見てみます。女性の管理職は30%超えとかなり高いです。どちらかというと新しい企業なのでトレンドも取りれているのもあるし、インターネット関連事業ということで女性も働きやすいのかもしれませんね。また、男性の育休取得率も58.4%と高くはありませんが、まずまずの割合ですので今後も女性の管理職や男性の育休取得率も増やしてほしいですね。

楽天グループ多様性指標

楽天グループの売上構成

楽天グループは収益約2兆円の大企業です。その中の約半分の1.1兆円をインターネットサービス事業で稼いでいます。楽天と言ったらインターネットサービス事業ですが、実際の成績もそのようになっていますね。そして約5,600億円をフィンテックで稼ぎ、モバイル事業では約3,000億円稼いでいます。その中でも一番大きく収益を上げているのが楽天市場と楽天トラベルです。この2つだけで全体の約25%の約5,000億円を稼いでいます。
2022年度と比較すると売上は約7%増えています。特に直近5年は毎年1,000億円以上売上を増やしており1.2兆円から2兆円企業に伸びています。5年で売上を2倍近く伸ばしているとなると人気銘柄であるのも納得ですね。
売上だけを見ると決して悪くはなさそうです。

楽天グループセグメント別売上構成

営業利益と当期純利益

収益が増加しているのも重要ですが、営業利益と当期純利益についても無視することはできません。
楽天グループの営業利益は約2,100億円の赤字となっています。楽天モバイル事業がやはり足を引っ張ってしまっています。楽天モバイル事業は売上が約3,000億円ありますが、セグメントの損失も約3,000億円出てしまっています。楽天は企業へのモバイル提供を推進することでさらに売上の増加を狙っているようですが上手くいくのでしょうか。
また、インターネットサービス事業も約1.1兆円を稼いでいますが、セグメント利益はたった760億円しかありません。ここの利益率の悪さも楽天モバイルに足を引っ張られてしまう原因になっていますね。
フィンテックについては文句のない利益率になっていますが、全体の売上に占める割合が低すぎますね。
また金融収益と金融費用が2022年度と比べて大幅に減っているのも気になります。これは有価証券やデリバティブの評価益、評価損が少なかったからです。金融収益と金融費用の差は改善されていますね。
当期純利益もやはり赤字でした。これで直近5年連続で赤字になっています。ここまで赤字が続いているとキャッシュの方が大丈夫か気になってきます。
配当金も近年の赤字でもずっと出し続けていましたが、2023年度は配当金が出なくなりました。楽天モバイル事業もかなり損失が出てしまっているので軌道に乗せるにはまだまだ時間がかかりそうです。

楽天グループセグメント損益

楽天グループの資産

楽天グループの資産は約22兆円になります。売上2兆円に対してかなり多くの資産を有していますが、それは楽天グループが楽天銀行等の金融業も行っているからです。その中でも現金は約5兆円となっています。この現金は私達の預金ではありません。私達の預金はいつか楽天グループは私達に返さなかればいけないので楽天グループの貸借対照表(BS)には負債の部に乗っかってきます。
貸借対照表を見るとカード事業や銀行事業の貸付金は約6.2兆円から6.8兆円に増加しています。ということは今後利息収入の増加が見込まれますね。
また証券事業の金融資産も約4.1兆円2021年度と比較して増加しています。やはり2023年度の株式が絶好調だったこともあって、有価証券の評価額も上がっていることが推測できますね。

楽天グループ貸借対照表(資産)

楽天グループの負債

楽天グループの負債は約21兆円になります。自己資本比率が極端に低いので不安になるかもしれませんが、これは銀行というビジネスの特性上仕方が無いですね。銀行は信用で成り立っているという言葉があります。銀行は信用によってお金を私達に安全に預けてもらい、そのお金を貸すことで利息収益を得ます。つまり銀行の資本はあまり入っていないんです。だからこそこのような歪な自己資本比率になってしまうのですね。
楽天グループの負債ですが、そのうち約9.7兆円は私達や企業が預けている預金です。特に2021年度と比較すると預金は約1.3兆円も増えています。預金が増えるとそれだけ融資もしやすくなります。楽天グループのフィンテック事業は利益率が良いので今後も期待です。

楽天グループ貸借対照表(負債)

営業キャッシュフローが黒字なのは救い

楽天グループの営業キャッシュフローは2023年度は黒字になっています。2022年度は営業キャッシュフローも赤字でしたが、2023年度は利益を出すことはできませんでしたが、本業でキャッシュを増やすことはできました。ですが、2024年度のキャッシュフロー計算書にどのように影響していくか注目する必要があります。

まとめ

  • 楽天グループのメイン事業はイメージ通りインターネットサービス

  • 売上は直近5年で順調に増加している

  • 楽天モバイル事業の苦戦により業績悪化

  • インターネットサービス事業も利益率が良くないため楽天モバイル事業の赤字をカバーできず

  • 今まで赤字でも配当金を出していたがついに0に

  • 楽天モバイル事業の挽回がカギ

楽天グループ評価

ここまで読んでいただきありがとうございます。コメントにどの企業の分析をやって欲しい等書いていただければ分析します!

出典:EDINET閲覧(提出)サイト https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100T4X3.pdf?sv=2020-08-04&st=2024-05-15T12%3A04%3A54Z&se=2034-03-28T15%3A00%3A00Z&sr=b&sp=rl&sig=sR1It2SyCF7iQaQNDcI%2BvJ7xykwpclxKZyHezi4%2F1%2FA%3D

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