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5分で分かる!人気銘柄小林製薬を評価~企業財務分析


挨拶

このページをご覧になってくれている方ありがとうございます。改めましてコブータと申します。私は米国公認会計士や簿記2級の学習を通じて会計のマニアになりました。企業の財務分析を行うことで皆様の投資判断の材料にしたり、就職、転職の企業分析にお役立ちいだだければと思います。今回は小林製薬について解説していきます!最近紅麹で話題になりましたが、財務諸表にどのように影響しているか見ていきたいと思います。どこの企業の分析をしてほしいとリクエストがありましたらコメント等に残してくれると嬉しいです!

企業概要

小林製薬は1886年2月に名古屋市で創業した雑貨・化粧品店の合名会社小林盛大堂が始まりでした。今では薬やドラッグストアに販売されるような製品を作っているイメージですが、最初は化粧品、雑貨の会社でした。1888年とわずか創業2年後に製薬業界に進出しています。その後トイレ用芳香剤「ブルーレット」や「サワレー」とよくCMで見る製品を生み出しました。

事業内容

小林製薬の事業は下記の2個の事業に分けられています。

  1. 国内

  2. 国際

有価証券報告書の報告セグメントとしては国内向けと海外向けの2つにしか分かれていません。シンプルですが、小林工業も1つの製品のみを販売しているわけではありません。
ヘルスケアの医薬品、口腔衛生品、芳香剤、消臭剤、雑貨、食品、カイロ等、様々な製品を製造、販売しています。

人員について

小林製薬の従業員数内訳は下記の通りです。
従業員数は約3,500人の大企業です。その中でも国内事業に多くの人員が割かれています。小林製薬は海外進出も行っていますが、メインは国内のようです。

小林製薬従業員数

働きやすさについて

現在注目されている働きやすさですが、女性の管理職は15.6%です。日本を代表する超大企業でも10%台の所も多いので、意外に多いなという印象です。また、男性の育休取得率は88.2%と高い数値を出しています。女性の管理職の割合については今後さらに増やしていって欲しいですね。

小林製薬多様性指標

小林製薬の売上構成

小林製薬は収益約1,700億円の大企業です。そして収益の約75%以上の約1,300億円を国内で稼いでいます。やはりメインの販売先は国内でした。
2021年度と比較すると売上は約4%増えています。コロナ禍に売上が減少しましたが、徐々に回復してきて2023年度は直近5年の間では最高の売上額です。
大企業の売上が増加すると主に海外販売の調子が良いことが原因であることが多いですが、小林製薬は国内の売上を堅実に伸ばしています。新製品の芳香剤、漢方薬の販売が好調でした。また、訪日外国人の増加による影響も大きかったようです。ドラッグストアで中国人が爆買いしているのはコロナ前もニュースで話題になっていました。コロナも落ち着いてきて顧客が戻ってきたようです。
海外で売れているのは主にアメリカと中国です。カイロや「熱さまシート」、肩こりなどに効く「アンメルツ」の販売が好調だったようです。

小林製薬セグメント別収益

営業利益と当期純利益

収益が増加しているのも重要ですが、営業利益と当期純利益についても無視することはできません。
小林製薬の営業利益率は約14%となっています。メーカーとしては十分な利益率です。特に売上総利益率は約55%あり、利益率の高い商品を販売していることがわかります。原価も高騰しているようですが、しっかりと売価に転嫁できています。
ですが、海外セグメントの利益を見てみると利益率は7.6%しかありません。と言ってもメーカーとしては合格点の利益率ですが、今後海外セグメントの売上のみが増えてしまうと全体の営業利益率は逆に悪化してしまう可能性があります。
当期純利益は直近5年では最高益を達成しています。紅麹は3月末頃にニュースになっており、小林製薬の決算日は12月31日なので特にこの事件に関しての記載は見当たりませんでした。
1株あたりの配当金は直近5年は年々増加しています。2022年度と比較すると配当金は10%増加しています。配当性向は約40%台ですので今後も売上が増え続ければ、今後の配当金の増加も期待できそうですね。今後も売上、当期純利益が好調であれば株価の上昇と配当金の増加の両方取りができるかもしれませんね!

小林製薬の倒産リスクは?

会社が潰れてしまう可能性があるか?を判断するには流動比率の分析はかかせません。流動比率とは流動資産÷流動負債で求めることができ、短期的な資金繰りに問題がないかが分かります。
流動資産は1年以内に現金になりえる資産、流動負債は1年以内に払う負債のことです。流動資産が流動負債より多ければとりあえずOKです。
ですが気をつけるのは棚卸資産の項目です。棚卸資産は1年以内に販売できるかできないか分からないからです。その前段階である原材料も考慮が必要でしょう。
小林製薬の流動資産を確認すると約1,500億円あります。その内棚卸資産、原材料等は約2,100億円ですので流動資産の約13%です。一方で、流動負債は約560億円と流動資産より約940億円少なくなっています。棚卸資産を除いたら資産は約1,200億円あり流動資産が流動負債を大きく上回っています。それどころか、流動資産から棚卸資産等を除いた資産の方が固定負債を含めた全負債を上回っています。なので短期的な支払で問題になることはまずないでしょう。借入金もないので無借金経営です。

小林製薬の固定資産

小林製薬の固定資産は増加しています。2022年度には約340億円の固定資産でしたが、2023年度は約470億円と約130億円程度増加しています。その理由は新しい工場の建設が理由です。仙台に「全世界に供給可能な医薬品工場」をコンセプトに建設しています。この工場が完成し、さらに売上UPに貢献してくれそうですね。

積極的な自社株買い

小林製薬は積極的な自社株買いを行っています。約120億円分の自社株買いを行っています。自社株買いを行い、世間に出ている株数を減らすことで株価を上げて投資家達に還元することが目的ですね。ですが、それだけのお金を使うのなら設備等に投資をしてさらに利益を増やして配当金や株価の向上に繋げてほしいという投資家の意見もあります。ここは投資家としての好みが分かれる点ですね。ですが、小林製薬は自社の工場などにもしっかりと設備投資をしているので嬉しい自社株買いと言えるでしょう。

まとめ

  • 2022年度と比較すると売上が4%増加。コロナの影響で売上が落ち込むも2023年度は直近で最高売上

  • 営業利益率は高いが、海外向けでは利益率はあまり高くはない。

  • コロナ以降回復しているが、今後も増益し続けられるかは注視が必要

  • 配当額は純利益に対して良いバランス。今後も売上が増加すれば配当金の増加が期待できる。自社株買いにも積極的

  • 短期的な資金繰りについてすぐには問題にはならなさそう。無借金経営

  • 新工場の建設など設備投資を積極的に行っているので、今後の業績の成長性に期待

評価

成長性:4
収益性:4
安全性:5
生産性:4
配当:5
合計:22/25

ここまで読んでいただきありがとうございます。コメントにどの企業の分析をやって欲しい等書いていただければ分析します!

出典:EDINET閲覧(提出)サイト https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100T3KX.pdf?sv=2020-08-04&st=2024-05-25T05%3A27%3A47Z&se=2034-03-28T15%3A00%3A00Z&sr=b&sp=rl&sig=Gs%2BGBv9ZxErl0QtvU2WI%2FPcV6Yz6z8FiFA7MDtd12HI%3D


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