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5分でJT(日本たばこ産業)の企業財務分析評価


挨拶

このページをご覧になってくれている方ありがとうございます。改めましてコブータと申します。私は米国公認会計士や簿記2級の学習を通じて会計のマニアになりました。企業の財務分析を行うことで皆様の投資判断の材料にしたり、就職、転職の企業分析にお役立ちいだだければと思います。今回はJT(日本たばこ産業)について解説していきます!分析をしてほしい企業があったらコメント等に残してくれると嬉しいです!

企業概要

JTは1949年に日本専売公社として設立されました。この時代から日本でのタバコの専売を行っていました。そして1985年に日本たばこ産業として株式会社になりました。またJTの決算月は欧米諸国と同じで12月決算になります。

事業内容

JTの事業は下記の3個の事業に分けられています。

  1. たばこ事業

  2. 医薬事業

  3. 加工食品事業

たばこ事業がメイン事業ですが、医薬事業や加工食品事業も行っています。
たばこ事業は販売数量で世界3位と高いシェアを誇っています。
医薬事業は医療用医薬品の製造・販売を行っています。JTは主に研究開発で子会社の鳥医薬品が製造・販売を行っています。
加工食品事業は冷凍・常温食品、調味料の製造・販売を行っています。テーブルマークはJTの子会社です。

人員について

JTの従業員数内訳は下記の通りです。
従業員数は約5万3千人の超大企業です。たばこ事業の従業員数は約4万7千人と殆どの従業員がたばこ事業に属しています。

JT従業員数

働きやすさについて

現在注目されている働きやすさですが、女性の管理職は8.3%です。日本を代表する大企業ではありますがもう少し頑張ってほしいですね。また、男性の育休取得率は84%と高い値を出しています。女性の管理職の割合は今後さらに増やしていって欲しいですね。JTも子会社が多いので今回はJTのみのデータを持ってきました。

JT多様性評価

JTの収益構成

JTは収益約2.8兆円の大企業です。JTは収益の約90%以上の2.5兆円をたばこ事業で稼いでいます。JTはその名の通りたばこの会社と言って良いでしょう。
2022年度と比較すると売上は約7%増えています。過去5年を振り返るとコロナ禍に売上が少々減少しましたが、毎年順調に増加しています。2023年度は直近5年の間では最高の売上額です。
その大きな要因はアジア、欧州、中東、アフリカ地域でのタバコの販売量増加です。特にアジアではシェアの拡大、その他地域では値上げが浸透して販売額も増加しています。
医薬事業も堅調に推移しています。自社開発の医薬品のライセンス契約収入や子会社の増収の影響が大きいです。
加工食品事業は2022年度と比較して少々減少しています。これはベーカーリー事業の売却による売上の減少によるものです。

JTセグメント別収益

営業利益と当期純利益

収益が増加しているのも重要ですが、営業利益と当期純利益についても無視することはできません。
JTの営業利益率は約24%となっています。日本のたばこ産業を独占しているのもあり、利益率はかなり良いですね。特にたばこ事業は営業利益率が30%を超えています。
逆に営業利益率が低いのが加工食品事業です。営業利益率は約4%と食品メーカーとしても厳しい利益率です。それでも原価上昇をカバーする価格改定や外食の需要回復もあり2022年度と比較すると大幅に改善されました。
当期純利益は約4,800億円で2022年度と比較すると増加しています。売上と同じように当期純利益も2020年度はコロナの影響で少し下がってしまいましたが、その年以外は直近5年は順調に増加しています。
配当金もコロナの翌年の2021年度は減少しましたが、1株あたりの配当金は直近5年は増加しています。配当性向は70%台で株主への還元の割合が高いです。JTは高配当株で有名ということもあり、今後も配当性向70%で推移していくでしょう。直近5年は順調に売上も増加しているので会社への再投資も十分行っていると評価できます。今後も売上が増え続ければ、今後の配当金の増加も期待できそうですね。ですが、配当性向70%は高いですので今後の業績に注視が必要です。

JTの倒産リスクは?

会社が潰れてしまう可能性があるか?を判断するには流動比率の分析はかかせません。流動比率とは流動資産÷流動負債で求めることができ、短期的な資金繰りに問題がないかが分かります。
流動資産は1年以内に現金になりえる資産、流動負債は1年以内に払う負債のことです。流動資産が流動負債より多ければとりあえずOKです。
ですが気をつけるのは棚卸資産の項目です。棚卸資産は1年以内に販売できるかできないか分からないからです。その前段階である原材料も考慮が必要でしょう。
JTの流動資産を確認すると約3.2兆円あります。その内棚卸資産、原材料等は約8千億円ですので流動資産の約25%です。一方で、流動負債は約1.9兆円と流動資産より約1.3兆円少なくなっています。棚卸資産を除いたら資産は約2.4兆円あり流動資産が流動負債を上回っています。JTの短期的な支払い能力については問題がなさそうです。

JTの固定資産

JTの固定資産は増加しています。2023年度は約1,200億円の設備投資を行いました。RRP関連投資や設備投資がメインです。RRPって何?と思いましたが喫煙によって引き起こされる健康リスクを低減しているたばこ製品のようです。 最もよく知られているのは電子たばこと加熱式たばこです。

たばこ事業ならではのリスク

これまで分析してきて企業としては素晴らしいように思えるJTですが、その事業ならではのリスクがあります。やはりたばこという健康リスクのある製品を扱っているため、特にカナダで8件の集団訴訟が起こされています。損益計算書(PL)には載っていなかったのですぐに事業が危なくなるというリスクはありませんが、訴訟リスクには注視する必要があります。また医薬事業も海外では訴訟が起きやすいのでその意味でも訴訟リスクは高いです。

まとめ

  • 2022年度と比較すると売上が7%増加。コロナの影響で売上が少し落ち込むも2020年度以外は毎年増益。2023年度は直近で最高売上

  • 営業利益率は文句なしだが、加工食品事業が足を引っ張っている。

  • コロナ以降回復しているが、喫煙者は減少傾向なので今後増益し続けられるかは注視が必要

  • 配当額は純利益に対して高めに設定されているが売上、利益も順調に増加しているので大きな問題ではない。今後も売上が増加すれば配当金の増加が期待できる。

  • 短期的な資金繰りについてすぐには問題にはならなさそう

  • たばこ事業、医薬事業の特性上訴訟リスクがあるため注意が必要

評価

成長性:4
収益性:5
安全性:4
生産性:5
配当:5
合計:23/25

ここまで読んでいただきありがとうございます。コメントにどの企業の分析をやって欲しい等書いていただければ分析します!

出典:EDINET閲覧(提出)サイト https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100T3QS.pdf?sv=2020-08-04&st=2024-06-05T07%3A47%3A25Z&se=2034-03-22T15%3A00%3A00Z&sr=b&sp=rl&sig=SY1k0fOOXbCY1I5YnibyaamfhRlmWLMv97HsTxZLKho%3D

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