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「聖なる堕天使-GODHELL-」Episode3公開

Episode3 「邪悪な笑顔」

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   舞台明るくなるとそこはペペの家

ペペ    
「俺の名前は『ペペロンチーノ・ペロペッティ』。気の知れた連中からは『ペペ』と呼ばれてる。小粋なギャング『パスタ・ザ・スパゲッティ』の一員だ。そんな俺の前に突如現れた堕天使『ゴッドヘル』。人類に裁きを下そうとする神々に反旗を翻すと言っているそんな男が俺の家に転がり込んできてから一週間が経った。」
ゴッドヘル 
「・・・ねえ、君。」
ペペ    
「うん?」

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ゴッドヘル 
「確か、『ペロペロペーロ・ペロペーロ』だったかな?」
ペペ    
「『ペペロンチーノ・ペロペッティ』だ!」
ゴッドヘル 
「ああ、そうだったそうだった。ペロペロ君。」
ペペ    
「ペペだ!気持ち悪い呼び方するな。」
ゴッドヘル 
「ペペ君。喉が渇いた。何か飲み物をくれるかい?」
ペペ    
「(溜息)ほらよ、水。」
ゴッドヘル 
「(飲み干して)おかわり。」
ペペ    
「ほらよ。」
ゴッドヘル 
「(飲み干して)もう一杯。」
ペペ    
「あのな。俺はお前のお母さんじゃないんだぞ。水くらい自分で汲みに行け。って言うか、何でまだ俺んちにいるんだよ。」
ゴッドヘル 
「何故?決まっているじゃないか。他に行くところが無いからさ。」
ペペ    
「俺もいていいなんて許可出してないけど。」
ゴッドヘル 
「助けてあげたじゃないか。そのお礼だと思えばいい。」
ペペ    
「じゃあ、もういいだろ?一週間も面倒見てあげたんだ。そろそろ出て行ってくれよ。」
ゴッドヘル 
「断る。僕は地上の事はまだ良く分からないんだ。外に出ると子供には指を差されて笑われるし、マダムたちには冷ややかな視線を浴びせられる。」
ペペ    
「分かる気がする。とにかく、いつまでもあんたをここに置いてやるわけにはいかないんだ。」

   その時、ペペのスマホに着信

ペペ    
「俺だ。ああ、大丈夫だ。30分後だな、分かった。待ってる。じゃあ、後で。(通話を終える)今から客が来る。それまでに出て行ってくれ。」
ゴッドヘル 
「客?」
ペペ    
「そうだ。一昨日知り合ったばかりだが、相談したいことがあるとかで、ここに来るんだ。」
ゴッドヘル 
「どんな知り合いなんだい?相談とは一体何かな?」
ペペ    
「知らないよ。今から聞くんだから。」
ゴッドヘル 
「どこで出会ったんだい?教えてくれたら出て行ってやろう。」
ペペ    
「めんどくさいな。あれは、一昨日のことだ。」

   舞台回想シーンになる

ペペ    
「前の晩にバーで少し飲みすぎた俺は、その日の朝、寝坊をして仕事へ急いで向かっていた。次の角を曲がれば、最初の現場だ、そう思い角を曲がった瞬間。」

   効果音「ドン!」

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ペペ    
「(転ぶ)うわっ。」
声     
「(転ぶ)キャッ。」
ペペ    
「イテテテテ、おいおい、どこ見て歩いてやがる・・・。」
キャンディ 
「イタタタタ。ごめんなさい。私、仕事に送れそうで慌ててて。どうかしましたか?」
ペペ    
「(ドキドキ)いや、俺も急いでいたから。怪我は無いか?」
キャンディ 
「大丈夫。あ、急がなきゃ。ごめんね、ギャングのお兄さん。」
ペペ    
「あ、ちょっと・・・。」

   キャンディ、去る
   ペペ、足元に落ちているハンカチに気付く

ペペ    
「これは・・・。それが彼女との最初の出会いだった。」
ゴッドヘル 
「なるほど、分かりやすい展開だね。」
ペペ    
「彼女と別れた後、俺は仕事に行った。そこで運命が俺を待ち受けていた。
調子はどうだジョージ。ケチャップは足りてるかい?この赤いソースは俺たちの命だからな、切らさないように気をつけろよ。うん?新人を雇ったのか?初日から遅刻?とんでもない奴だな、パスタなら伸びきっちまってるぞ。どんな奴だ?」

   そこへキャンディがやってくる

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ペペ    
「お前は。」
キャンディ 
「あなたは。」
ペペ    
「(ジョージに)いや、知り合いって程では無い。ちょっと知ってるだけだ。」
キャンディ 
「また会えるなんてすごい偶然だね。あ、自己紹介もまだだったね、私はキャンディ。よろしくね。」
ペペ    
「ほ、ほら・・・コレ。(ハンカチを出す)」
キャンディ 
「あ、コレ私の。」
ペペ    
「さ、さっき落ちてたから。」
キャンディ 
「ありがとう。実は私、最近悩みがあって。」
ペペ    
「いきなり?」
キャンディ 
「だって、ペペさん悪い人じゃなさそうだし。頼りになるって言うか。」
ペペ    
「キャンディ。何だい、悩みって?」
キャンディ 
「実は最近、私の周りで変な事が起こってて。」
ペペ    
「変なこと?」
キャンディ 
「塩と砂糖を間違えたり、醤油とソースを間違えたり、赤い狐と緑の狸を間違えたり。」
ペペ    
「うん、ただのうっかりさんだな。」
キャンディ 
「いっけない。もう休憩時間終わっちゃう。あの、ペペさん。良かったら今度ゆっくり相談に乗ってくれませんか?これ、私の連絡先だから、電話してね。」
ペペ    
「え?ああ。――と言う訳だ。つまり今からキャンディちゃんがここに来るから出ていけ。」
ゴッドヘル 
「断る。」
ペペ    
「何でだ。」
ゴッドヘル 
「おかしいと思わないのかい?」
ペペ    
「おかしい?」
ゴッドヘル 
「何故いきなりそんな展開になる?都合がよすぎないか?」
ペペ    
「仕方ない。そういう運命だからだ。」
ゴッドヘル 
「それに、気にならないのか?」
ペペ    
「何が?」
ゴッドヘル 
「砂糖と塩を間違える、醤油とソース、赤い狐と緑の狸。普通間違えるかい?」
ペペ    
「ドジっ子で可愛いじゃないか。」
ゴッドヘル 
「いや、もしかしたら神の裁きかも知れない。」
ペペ    
「まさか、神様が入れ替えてるのか?」
ゴッドヘル 
「可能性は否定できない。その女性の近くに使者が潜んでいるかも知れない。」
ペペ    
「そんな、どうすれば。」
ゴッドヘル 
「人間には出来ないけど、僕には出来る。」
ペペ    
「助けてくれるのか。」
ゴッドヘル 
「ただし、条件がある。僕をこの家に居候させるんだ。」
ペペ    
「背に腹は代えられない、か。いいだろう。ただし、炊事洗濯掃除は分担だ。」
ゴッドヘル 
「果たして僕に出来るかな?」
ペペ    
「覚えてもらう。」

   その時、チャイムの音

キャンディ 
「(声)こんにちはー。おじゃましちゃいまーす。」
ペペ    
「いらっしゃーい。どんどん邪魔しちゃって。」
キャンディ 
「へえ、ここがペペさんのお家なんですね。」
ペペ    
「散らかってるけど、ごめんね。」
キャンディ 
「全然散らかってないですよー。私、こういうシンプルなお部屋好きなんです。」
ペペ    
「ちょっと待っててね、今何か飲み物入れるから。」
キャンディ 
「お構いなく。家に行きたいって言ったのは私の方なんですから。」
ペペ    
「じゃあ、コーヒーでいいかな?」
キャンディ 
「スタバのキャラメルマキアートで。」
ペペ    
「買って来るね。待ってて。」
キャンディ 
「はーい。気を付けて。」

   ペペ、去る
   部屋に残っているのはキャンディとゴッドヘル
   沈黙
   キャンディ、ゴッドヘルが気になっているが、話しかけない
   ゴッドヘル、黄昏ている

キャンディ 
「何この人?」
ゴッドヘル 
「(溜息)」

   そこへペペが帰ってくる

ペペ    
「ごめんごめん、お待たせ。はい、キャラメルマキアート。」
キャンディ 
「わーい、ありがとう。」
ペペ    
「それで、一昨日言ってた相談なんだけど。」
キャンディ 
「その前に、ペペさん、アレ何?(ゴッドヘルを指差す)」
ペペ    
「ああ、あいつは、話すと長くなるんだけど。」
キャンディ 
「ペット?ペットでしょ?」
ペペ    
「あんなペットはいない。あいつは、何ていうか、まあ、居候かな。」
キャンディ 
「へぇ~、よろしくね。(ゴッドヘルと握手をしようとする)」

   ゴッドヘルはキャンディを無視する

キャンディ 
「あれ?警戒されてるのかな?」
ペペ    
「ごめんね、あいつ人見知りだから。」
キャンディ 
「へぇ~。そうなんだ。」
ペペ    
「それで、相談のことなんだけど。」
キャンディ 
「相談?」
ペペ    
「ほら、最近塩と砂糖を間違えたりするって。」
キャンディ 
「あ、そうそう。そうなの、もしかしたらストーカーの仕業なのかなぁって。」
ペペ    
「ストーカー?」
キャンディ 
「うん。何か最近誰かに見られてる気がして。キャンディ可愛いから、すぐ変な人に付きまとわれるの。」
ゴッドヘル 
「こんなに人を殴りたい気持ちになったのは初めてだ。」
ペペ    
「そのストーカーの姿は見た?」
キャンディ 
「ううん。でも最近私のアパートの近くに、変な馬の被り物を被った変態が出るって噂があって。」
ペペ    
「馬頭・・・。ゴッドヘル。」
ゴッドヘル 
「(かっこつけて)当たりだ。」
キャンディ 
「ゴッドヘル?」
ペペ    
「ううん、何でも無いよ。その被り物の仕業かも知れないね。」
キャンディ 
「ペペさんって、「パスタ・ザ・スパゲッティ」の幹部なんでしょ?助けてくれる?」
ペペ    
「もちろんだ。」
ゴッドヘル 
「やれやれ、仕方ないね。」

ペペ    
「こうして俺とゴッドヘルはキャンディちゃんのアパートの近くを捜査することになった。恐らく犯人は神々の使者。塩と砂糖を入れ替えているうちはそれほど危険はないだろうが、いつ人間に襲いかかって来るか分からない奴らだ。俺はキャンディちゃんのため、いや、人類の為に戦うんだ。」
ゴッドヘル 
「それで、どうなんだい?怪しい動きはあったかい?短パン?」
ペペ    
「いや、まだ特には。って言うか、短パンって何だよ?」
ゴッドヘル 
「君たち人類はこういう時、コードネームで呼び合うんだろう?君は短パンだ。」
ペペ    
「ドラマの見すぎだろ。それにもう少し俺の特徴にあった名前つけろよ。俺のどこが短パンなんだ。」
ゴッドヘル 
「そうやってすぐに怒りやすい所が短パンだと言うんだ。心のパンツが短すぎる。」
ペペ    
「何だよ、心のパンツって。じゃあ、お前のコードネームは何なんだ?」
ゴッドヘル 
「ノーパンだ。」
ペペ    
「履いてすらいないのか。お前の心は丸出しなんだな。」
ゴッドヘル 
「僕の心にはATフィールドが張ってあるから大丈夫だ。」
ペペ    
「あっそ。」
ゴッドヘル 
「ねえ、短パン。」
ペペ    
「何だ、ノーパン。」
ゴッドヘル 
「あのキャンディと言う女、おかしいと思わないかい?」
ペペ    
「そうか?まあ特徴的な子ではあると思うけど。」
ゴッドヘル 
「僕が言っているのはそう言うことでは無い。あの女、本当は何歳なんだ?少し配役に無理があるんじゃないか?」
ペペ    
「それは、俺に言われても・・・。」
ゴッドヘル 
「じゃあ、誰に言えば良いと言うんだ?」
ペペ    
「神様、かな。」
ゴッドヘル 
「なるほど、創造主め。これも人類への裁きと言う訳か。」
ペペ    
「お前、その内殺されちゃうぞ。」
ゴッドヘル 
「僕は神に裁きを下す者だ。簡単にはやられはしない。いや、僕が言いたいのはそんなことではないんだ。あの女からは邪悪な何かを感じる。」
ペペ    
「邪悪な何か?何だそれ?」
ゴッドヘル 
「分からないのかい?これだから人類は。気を付けた方が良い、あの女は危険だ。恐らく、人あらざる者、だ。」
ペペ    
「どういうことだよ、それは。」
ゴッドヘル 
「あの女からは僕に近いものを感じる。」
ペペ    
「それって、キャンディちゃんも天使ってことか?確かに俺にとっては天使かも知れない。いや、だとしたら何で使者に狙われてるんだ?」
ゴッドヘル 
「実際に見たのかい?全部あの女が言っているだけだ。もし、これが僕たちをおびきよせるための罠だとしたら・・・?」

   その時、袖から声が聞こえる

声     
「おい、お前。そこで何をしている。」
二人    
「!」
ペペ    
「誰だ?」
声     
「誰だ、じゃない。警察だ。」
ペペ    
「警察?」
声     
「この辺りで怪しい奴がいると通報があった。ちょっと署まで来てもらおうか。」
ペペ    
「いや、俺は怪しいものじゃ。」
声     
「怪しい奴は大体そう言うんだ。怪しくないと言うなら、質問に答えてみなさい。」
ペペ    
「ついてないな、こんな時に職務質問なんて。」
声     
「いいか、まず第一問。あなたの名前は?」
ゴッドヘル 
「ピンポーン。」
ペペ    
「は?」
声     
「はい、2番さんお答えください。」
ゴッドヘル 
「堕天使ゴッドヘル。」
声     
「正解。ゴッドヘルさんに一ポイント入ります。」
ペペ    
「何これ?」
声     
「では職務質問クイズ第二問。ゴッドヘルさんのご職業は?」
ゴッドヘル 
「ピンポーン。堕天使。」
声     
「正解。ゴッドヘルさんこれで連続正解。」
ペペ    
「職業堕天使に疑問はないのか。」
声     
「第三問。今ここで何をしていましたか?」
ペペ    
「ピンポーン。」
声     
「おっとここで、1番さんが回答権を獲得!ではお答えをどうぞ。」
ペペ    
「知り合いに頼まれてここで怪しい奴を探していました。」
声     
「ブッブー。残念不正解。」
ゴッドヘル 
「ピンポーン。」
声     
「さあ、ゴッドヘルさんこれはチャンス。お答えをどうぞ。」
ゴッドヘル 
「漆黒に染まり、静寂の中、ただ無限に広がる虚空を眺めていた。」
声     
「・・・正解。では、一問も正解できなかった1番さんは罰ゲーム。連行します。」
ペペ    
「ちょ、ちょっと待て。どう考えてもあいつの方が怪しいだろ。」
声     
「ああいう、気持ち悪い奴は放っておいても大丈夫。」

   ペペ、連れて行かれる

ゴッドヘル 
「ふっ、何故かな。勝ったのに、胸が痛むのは・・・。あれ?これは、僕の涙?」
声     
「ようやく一人になった。」
ゴッドヘル 
「現れたか。」

   そこへ現れたのはキャンディ
   昼間とは雰囲気が違う

キャンディ 
「まるで私が来ることを待っていたような言い方ね。」
ゴッドヘル 
「『ような』ではなく、待っていたんだ。」
キャンディ 
「そんなに私に会いたかったの?キャンディ嬉しい。」
ゴッドヘル 
「僕の前ではそんな喋り方をしなくてもいい。自分でも無理があると分かっているんだろう。」
キャンディ 
「(イラっとして)そっちこそ、その気持ち悪いキャラ何とかしたらどう?」
ゴッドヘル 
「・・・うるさいバカ。」
キャンディ 
「何だとこのキモ男。」
ゴッドヘル 
「バーカバーカバーカ。」
キャンディ 
「うわっ、キモキモキモ。」

   二人、互いの悪口を言い合う
   しばらくして

キャンディ 
「やめない?互いに傷つくだけの気がする。」
ゴッドヘル 
「そうだね。何のメリットも無い。これも創造主の仕業か。」
キャンディ 
「創造主の仕業?」
ゴッドヘル 
「いや。それより警察に通報したのも君か?」
キャンディ 
「そうよ。不審者がいたから。」
ゴッドヘル 
「彼は君の為にここまできてくれたんだぞ。」
キャンディ 
「ええ、とってもいい人だったわ。私の思い通りに動いてくれた。」
ゴッドヘル 
「どういうことだ?」
キャンディ 
「私の狙いは、初めからあなた。彼に近づいたのはあなたと接触するため。」
ゴッドヘル 
「やはり君は・・・。」
キャンディ 
「ある日、町を歩いていたらすれ違った彼から、天使の気配を感じた。だから、可愛い女の子を演じて彼に近づいたの。」
ゴッドヘル 
「なるほど、そういうことか。」

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キャンディ 
「彼はとってもいい人だったわ。お願いすれば何でも買ってくれたし、美味しい物も食べさせてくれた。馬鹿な男は利用しやすかったわ。もう少し、搾り取っても良かったかもね。」
ゴッドヘル 
「と言うことだ。」
キャンディ 
「え?」

   そこへペペがやってくる

ペペ    
「全部嘘だったのか。」
キャンディ 
「ペペさん・・・どうして。」
ゴッドヘル 
「ペペが警察の職務質問くらいでやられるとでも思ったか。君を油断させるための演技だ。」
ペペ    
「いや、普通に連れて行かれた。ダッシュで戻って来ただけだ。それより、今の話は本当なのか?全部キャンディちゃんの作り話だったのか?俺と曲がり角でぶつかって、職場で運命的な再会を果たしたのも、相談したいことがあるって言ったのも。ヴィトンのバッグが無いと弟の病気が治らないって言っていたことも、毎日ステーキを食べないとアレルギーが出てくるってことも、結婚式は2000万必要だって言うことも・・・。全部作り話だったのか。」
ゴッドヘル 
「信じる方も悪いと思うけどね。」
キャンディ 
「ばれてしまったら仕方ない。あんたは良いカモだったってだけよ。」
ペペ    
「何でそんなことを・・・。」
ゴッドヘル 
「言っただろう、こいつは人あらざる者だと。」
ペペ    
「天使。」
ゴッドヘル 
「いや、こいつは天使では無い。こいつは、こいつの正体は、小悪魔だ。」

   間

ペペ    
「ん?うん・・・。ああ、小悪魔・・・?」
ゴッドヘル 
「そうだ、こいつは小悪魔だ。」
ペペ    
「それ、普通の女の子ってこと?」
ゴッドヘル 
「いや、小悪魔だ。騙されるな、こいつは小悪魔だ。」
ペペ    
「いや、人でしょ。小悪魔って比喩表現だからね。」
ゴッドヘル 
「人あらざる者、小悪魔キャンディ。」
キャンディ 
「(笑う)」
ペペ    
「ほら、笑われてるよ。」
キャンディ 
「まさか、私が悪魔だと見破る奴がいるとはね。これは少々侮っていたようだ。」
ペペ    
「ええー!本当に悪魔?」
キャンディ 
「いかにも、私は魔界中級悪魔『小悪魔キャンディ』。人間の愚かな欲望を喰らい生きる存在。」
ペペ    
「中級悪魔『小悪魔キャンディ』・・・。」
ゴッドヘル 
「やはりね。ついに正体を現したか、悪魔め。」
キャンディ 
「私を滅するために地上に降りてきたか、天使よ。人として近づいて油断しているうちに始末しようと思ったが、なかなか隙を見せなかったな。」
ペペ    
「隙だらけだったと思うけどな。」
ゴッドヘル 
「何が目的だ。」
キャンディ 
「決まっている。私が人間界で贅沢をするために貴様ら天使が邪魔なだけだ。」
ゴッドヘル 
「残念だが、僕は天使でありながら天使あらざる者。」
キャンディ 
「何を訳の分からないことを・・・。」

   そこへ効果音と共に、馬を被った男が入ってくる

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ペペ    「こいつは・・・。」
ゴッドヘル 
「こんな時に。」
キャンディ 
「神々が遣わせし者、使者まで引き連れて来たか。天使よ。ちょうどいい、まとめて始末してやろう。」

   馬頭は、キャンディの方を向く

ペペ    
「襲ってこない?」
ゴッドヘル 
「使者は天界の敵である悪魔の排除を最優先する。僕たちよりも、キャンディを敵として認識したんだ。」
ペペ    
「そんな。」
キャンディ 
「面白い。まずはお前から葬ってやろう。悪魔の力を見せてやろう。」

   キャンディと馬頭、向き合う
   緊張感
   次の瞬間、馬頭のパンチがキャンディに直撃
   キャンディ倒れる

キャンディ 
「ぐわっ!」
ペペ    
「え?」
キャンディ 
「しまった・・・。私は、ただ男に貢がせることしか出来ないんだった。戦闘など出来るはずが無い。」
ペペ    
「天使とか悪魔とか、こんなんばっかりなの?」
キャンディ 
「ここまでか・・・思えば悪くない人生だった。ただ一つ心残りがあるとすれば、クッキー、もう一度お前に会いたかった・・・。」
ペペ    
「誰?クッキーって誰?」

   馬頭の攻撃がキャンディに止めを刺そうとする
   しかしその攻撃を止めた男がいる
   それはペペだった

キャンディ 
「馬鹿な、何をしている、人間。」
ペペ    
「目の前で女の子がピンチなんだ。放っておける訳ないだろ。」
キャンディ 
「何故だ、私は、お前を利用したんだぞ。」
ペペ    
「そんなこと関係あるか。例え嘘だったとしても、利用されていたんだとしても、キャンディちゃんと一緒にいた時、俺は楽しかった、幸せだった。俺はそれだけで良かったんだ。」
キャンディ 
「ペペさん・・・。」
ペペ    
「ゴッドヘル!」
ゴッドヘル 
「聞こえているよ。君の意志、叫び、想い全て。その全てを僕が力に変えよう。天界の力を解放する。黙示録23章の名に於いて僕に力を。喰らうがいい、人類の想いの力を『エデンズガーデン』!」

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   激しい音と光
   それらが収まり、辺りは静寂に包まれる
   全員、何も変わっていない

キャンディ 
「(驚愕しながら)何も起こっていない・・・?」
ペペ    
「(おもむろにピストルを取り出し、馬頭に発砲)」
馬頭    
「(倒れる)」
ゴッドヘル 
「『エデンズガーデン』!」
ペペ    
「何もしてねーだろ。」

   暗転

Epilogue

   舞台上にペペがいる

ペペ    
「これまで想像もしていなかった出来事が次々と起こり、俺の日常は一気にその景色を変えて行った。そして俺と堕天使の奇妙な共同生活が始まったのだった。」

   ゴッドヘルがやってくる
   その手にはフライパンと、菜箸

ゴッドヘル 
「さあ、地獄の業火で焼き尽くしてあげよう。その罪を後悔しながら燃えろ。強火点火!フハハハハ、どうだい、自分が炒められる気分は?玉ねぎ、ピーマン、ソーセージよ。さあ、そのまま無数のパスタの餌食となるがいい。そして灼熱のマグマに沈め。」
ペペ    
「あれが彼なりのナポリタンの作り方だ。」

   そこへキャンディがやってくる

キャンディ 
「ペペさ~ん、お邪魔します。キャンディ今日お休みだから、遊びに来ちゃった。」
ゴッドヘル 
「何だ、また来たのか、低級悪魔め。」
キャンディ 
「何よ、文句あるの?キモ堕天使。」
ゴッドヘル 
「キモ堕天使のキモは、気持ちいいの、キモだ。」
キャンディ 
「気持ち悪いのキモに決まってるでしょ。馬鹿じゃないの。」
ゴッドヘル 
「ふっ、人の事を馬鹿だと言う奴が馬鹿だと言うことを知らないようだな、バカめ。」
キャンディ 
「何それ。何が堕天使よ。堕天使の堕は、駄目の駄でしょう、駄天使でしょう。」
ゴッドヘル 
「何て事を言うんだ・・・勝てない、このままじゃ勝てない。僕は、こんなところで死ぬのか。」
キャンディ 
「ねえ、ペペさん。実は相談があって。弟の病気の治療にダイヤモンドが効果があるらしいの。」
ゴッドヘル 
「またペペにたかろうと言うのか。」
ペペ    
「ふっ、ゴッドヘル。俺だって何回も騙されたりしないさ。それで、いくらなんだい?」
キャンディ 
「7万円。」
ペペ    
「よし、買おう。」
ゴッドヘル 
「地味にリアルな金額に騙されるな。」
キャンディ 
「ペペさん、大好き。」

   別の場所へミエールが出てくる

ミエール  
「なるほどね。君は、我々に牙をむくのか。ルーシー・・・いや、ゴッドヘル。いいだろう、ならば例え弟であろうと容赦はしない。必ず後悔することになるだろう、私をトイレに閉じ込めた事を・・・フフフフフフ、ハーッハッハッハッハ!」

   トイレットペーパーを取る音がして、やがて消える

ミエール  
「ば、ばかな・・・紙が無くなった、だと・・・。まさか、神々の身に何かが・・・?不吉だ、もしや、ゴッドヘル。運命が君の味方になると言うのか・・・。」

   ミエール、消える

ペペ    
「きっとこれからも神々は俺達に裁きを下そうとするだろう。俺たちが正しいのかなんてのは分からない、でも俺はこんな日常も悪くないと思っている。」
ゴッドヘル 
「ペペ、騙されるなそいつは小悪魔だ。」
キャンディ 
「そっちこそ邪魔をするな、駄天使。」
ミエール  
「必ず神の裁きを下してやる。無くなった紙の分まで。」
ペペ    
「うるせー!」

   全員笑う
   暗転
   幕

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最後まで読んでいただきありがとうございました
このEpisode3までが「聖なる堕天使-GODHELL-」の初演版で上演した内容です
その後、地元の大学の学園祭に招待された際は、持ち時間30分だったので
このEpisode3をカットして上演しました
しかしこのEpisode3が一番人気もあったんですよね、実は
色んな俳優さんが、このGODHELLで遊んでくれると嬉しいですね


気に入っていただけたらサポートも嬉しいです サポートしていただいた分は全て演劇界の発展のために使わせていただきます