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No.5 NIDEKシステム検眼機器を使った両眼視機能検査 【2-2 予備検査/調節近点(NPA)テスト】

【2-2】予備検査 調節近点テスト

■ 調節機能について

調節とは、目標物に焦点を合わせる機能でイラストのように眼の内部の水晶体というレンズの厚みを変えることにより遠くから近くまでのピントを合わせることが可能となります。
ここ数年~の傾向としては、デジタル機器の影響で子供から大人まで、調節機能のトラブルの問題が多くなってきており、様々な世代で社会問題となってます。具体的には、全世代に多い調節の麻痺(痙攣/けいれん)などが挙げられます。

どのような症状なのでしょうか?

一つは、長時間の近距離のモニター注視(スマホ・タブレット・PC等)により眼の内部の水晶体が膨らんだ状態が長く続くと毛様体筋が痙攣をおこしてしまい水晶体の厚みの変化を上手くコントロールできなくなります。
そのため近くから遠くへのピンボケや視力低下が見られ、眼精疲労や頭痛など身体的にも影響が現れてきます。よく耳にする「スマホ老眼」という症状がこれです。

もう一つは、幼児から児童に増えている後天的な内斜視です。今は2歳児からスマホを与えています。眼の機能が完成する6歳~8歳前後までに長時間スマホの画面を注視してしまうために眼球が内側に向いてしまう " 急性の内斜視 "に変化してしてしまうという大きな社会問題も出てきております。
この傾向が続くと調節機能の問題と共に輻輳機能にも問題が起きてきます。

ここではこのような問題も頭に入れておきながら、年齢別の調節機能が左右眼と両眼と問題ないかチェックしておきます。

年齢により調節力は変わりますので年齢別の調節近点を確認しておきましょう。

眼内部の調節イメージ


■” Donders (ドンダーズ)”

●10歳 / 調節力14D / 調節近点  約 7cm
●15歳 / 調節力12D / 調節近点  約 8cm
●20歳 / 調節力10D / 調節近点  約10cm
●25歳 / 調節力8.5D / 調節近点  約12cm
●30歳 / 調節力7.0D / 調節近点  約14cm
●35歳 / 調節力5.5D / 調節近点  約18cm
●40歳 / 調節力4.5D / 調節近点  約22cm
●45歳 / 調節力3.5D / 調節近点  約29cm
●50歳 / 調節力2.5D / 調節近点  約40cm
●55歳 / 調節力1.7D / 調節近点  約58cm
●60歳 / 調節力1.0D / 調節近点  約100cm
●65歳 / 調節力0.5D / 調節近点  約200cm
●70歳 / 調節力0.25D /調節近点 約400cm
●75歳 / 調節力 なし / 調節近点    ―   


被検者の調節力が年齢に相応にあるかチェックします。ここでは予備検査の段階ですので定規の数字を見せて簡単にチェックします。


■ 調節近点検査手順(旧メガネがあれば装用する)


(1)片眼(右)からチェックします
(2)眼前40cm位の位置から被検者に向けて定規数字を近づけ数字が "ぼやけた" ら合図してもらいます
(3)定規の数字を被検者の両眼の正中線上の位置からゆっくり近づけます
(4)完全な "ぼやけ" の合図があった時の視標の位置を測定します

*右眼 ⇒ 左眼 ⇒ 両眼 の順番で行います
*老視の人であれば自覚検査終了後の遠用度数から球面度数(+2.00 位)を加入し調節機能をチェックしてください。検査手順は、近方自覚検査の項目で解説します。


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