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No.22 上下開散力(#12B検査)から判断する ”瞳孔中心とメガネ光学中心” のずれからくる身体的不調と複視の原因


前回(No.21)記事で上下開散力の検査方法を説明しました。上下開散力とは、6本の外眼筋の主に ”上直筋と下直筋” の筋力パワーだと説明しました。

このことからわかることは、上下斜位がある人は眼筋パワーで、視線の位置を調整しながら日常遠方や近方の両眼視をコントロールして生活しています。

前回の記事で、上下斜位の持つ人(1△以下の軽度は除く)の割合は、「比較的に少ない」とお伝えしました。

私たち人間持つ上下開散力の力は、平均すると ”2~3△” の力しかありませんが、これも個人差があり”0~1△” 位の人も意外と多く、個人が持つ上下開散力(上直筋・下直筋の力) は弱いことが言えます。

このように上下開散力が弱いとメガネを装用した際に不調を訴える人が時々いますので注意が必要です。

■ 瞳孔中心とアイポイントの位置

通常メガネを作る際には必ず瞳孔距離(PD)を計測します。自覚検査前の ”オートレフ” (コンピュータ自動屈折測定器)での屈折測定と同時に瞳孔距離は自動測定できます。

他にも瞳孔距離測定機器は数種類あり、もっとも原始的な方法は物差し(定規)を使った瞳孔距離測定です。

瞳孔距離とメガネレンズの中心点(光学中心)の位置関係は、光学中心が瞳孔中心より下方にくるのが一般的です。

厳密に言えば遠方用と近方用の眼鏡により光学中心点の位置は変わります。

何故でしょうか?

常用視線は、地面から平行ではありません。普段歩いている場合の視線は20m〜30m先です。そのため瞳孔中心の位置から1〜2㎜下に光学中心を取ります。

近用では、40cm先にターゲットPC、スマホなどがあるために遠用眼鏡より光学中心を3〜4㎜下方にとります。

最高の検査をして最高のフィッテイングをしたが、仕上がったメガネが「見えづらい、度が強く感じる、二重に見える、ピントが合わない」という症状を訴える人がいます。

再チェックしても度数やメガネの仕上がりに問題ないが何故か ⁇

このようなケースは、時々眼鏡店あるシーンです。

様々な原因がある中で、一つの原因としてアイポイントの位置が、左右斜め方向にズレてしまっているためです。この状態になると上下のプリズム負荷が掛かってしまうためです。

注意が必要な人は、「上下開散力(#12B検査)の弱い人、強度近視・強度遠視度数の持ち主(±5.0D以上)」のお客さんです。

■ チェックポイント

【1】アイポイント良い例


下記の写真のように瞳孔中心と光学中心が、キッチリ一致していれば上下開散力が弱くても身体的不調や見え方に影響はでにくいですね。

瞳孔中心に対して光学中心が
きれいに一致しています。
眼鏡が真っ直ぐに掛かっていて
ポイントにズレがない


【2】アイポイント位置ズレ


下記の写真のように瞳孔中心と光学中心がズレがあると上下プリズムが発生し開散力の力が弱いと遠方や近方の対象物が二重に見える等の複視が起ったり眼精疲労の原因になります。

〇 『例1』

左右 S-6.00D の人が、上下斜めにアイポイントが 2mmずれてしまうと

P= DH/10
P= ‐6.0D×2mm/10
P= 1.2△(プリズム)

上下開散力が”1△”しかない人は、メガネが写真のように左右で2mmずれると(傾くと)完全に複視となってしまいます。

先ほど説明しましが、人の持つ上下開散力の平均は、上方開散、下方開散ともに”2△~3△”しかないので強度近視、強度遠視のお客さんは、アイポイントと光学中心の位置関係は重要になります。

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